スタッフ神田のゲーム紹介:ムーン・リバー

プレイ人数:2人~4人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:45分
小売希望価格:4950円(税込)

◆「キングドミノ」シリーズの最新作はどんな変化が加わった?

「ムーン・リバー」は2017年のドイツ年間ゲーム大賞を受賞した人気タイトル「キングドミノ」シリーズの最新作です。「キングドミノ」の特徴的なルールはそのままに、配置するドミノタイルをカスタマイズできるようになったことが大きな変更点です。

ドミノタイル? カスタマイズ? 疑問に思われる人もいるかと思いますので、そもそもの「キングドミノ」について少しご説明させて頂きましょう。

「キングドミノ」はドミノ状のタイルを配置することで自分の王国を拡大して高得点を目指すゲームです。タイトルの「キングドミノ」は「キングダム」と「ドミノ」をくっつけた造語です。で、2つの要素を持つドミノ牌のように「2つの地形マスを持つ長方形タイル」をこのゲームではドミノと称しています。

「キングドミノ」ではこの地形の組み合わせはタイルごとに固定だったのですが、「ムーン・リバー」では獲得した2枚の正方形タイルを組み合わせて1枚の長方形ドミノタイルを作ることができるようになりました。両方の地形が同じドミノタイルなどは上手く使えば結構な得点源になるのですが、「ムーン・リバー」ではそうしたタイルを自分で用意することができるのです。

◆倉庫管理と新要素「パートナー」の追加でプレイフィールも様変わり

手番では「キングドミノ」と同様に手番順にタイル1枚を獲得します。選んだタイルによって次のラウンドの手番順が決まるのもまた同じです。

異なるのは獲得したタイルをすぐに配置するのではなく、2枚を繋げてドミノにしてから配置するところです。そのため、保留地ボードには3枚までタイルを保管できる保管スペースがあります。2枚の区画タイルが溜まったら、早速それらを繋げてドミノタイルとしてもよいですし、保管上限の3枚まで溜め込んでも構いません。保管スペースを越える4枚目のタイルを獲得したら即座にドミノタイルを作って配置しなければなりません。

このドミノタイルを組み合わせる要素によってタイルパターンが広がったため、「ムーン・リバー」は「キングドミノ」よりも思い通りの箱庭を作りやすい仕様になっています。最終的な得点は各地形グループのマス数*牛駒で計上されるのですが、牛駒は配置後から移動させる要素があるため、特定の得点源を特化しやすい作りになっています(「キングドミノオリジンズ」の火山のルールにちょっと似てますね)。

また、タイルを取ってから即配置ではなく、一度保管スペースに置いて、ワンテンポ待ってからの配置となるため、不要なタイルの処理に一手「待った」をかけることができます。これが地味ながら配置の自由度を高めていて、保管スペースを使うべきか空けるべきかのマネジメント要素が加わっています。

この保留地ボードも地味ながら機能的…… 「キングドミノ」と同じように最終的には5*5マスの正方形が完成形となりますが、その5マス制限のうっかり忘れを防止することができます。

もう一つ、「ムーン・リバー」では特殊効果が得られる「パートナー」の要素が加わっています。

先述の牛駒の移動はパートナーの1つ「カウボーイ」の特殊効果なのですが、各タイルにはパートナーを獲得できるサークルが示されたものもあり、パートナーの争奪戦という新しい争点が追加されています。

パートナーの中には区画タイルを交換する「無法者」や牛駒を他人から奪う「牛泥棒」など強烈なインタラクションを持つものもあり。全体的には「キングドミノ」をよりアッパーに、より派手めに調整している印象です。

ゲーム終了時に追加点をもたらしてくれるパートナーも強力。特定の要素に特化した場合の大きな武器になります。

◆ゲーム好きに向けた、よりマッシブな「キングドミノ」

「ムーン・リバー」は、「キングドミノ」以上にプレイのテクニックの余地があるため、細かい小技を効かせることでチャンスを広げる機会が多く用意されています。そういう意味ではよりゲーマーに向けて遊び応えを強くした「キングドミノ」と言えるでしょう。

また、「ムーン・リバー」には上級ゲームとしてバリアントルールも用意されています。上級ルールでは、プレイヤーボードにそれぞれ変化が生まれます。タイルの保管数と配置できる縛りについて、それぞれが長所と短所を持つ軽めの非対称能力をもたらします。

バリアントルールの4つのシナリオではそれぞれ達成することで追加の勝利点が獲得できる新ルールが加わります。シナリオという名称ではありますが、物語が用意されているのではなく、それぞれが条件の異なる追加ルールといった塩梅です。

総合的には「キングドミノ」に新しい要素を肉付けしているのでプレイ時間はやや長くなり、ルール量もやや増えています。「キングドミノ」を何度か遊んでみて、次に遊ぶべきゲームを探している方向けのゲームと言えるでしょう。

「キングドミノ」は削りに削ったルールで、シンプルながらジレンマに唸れるゲームといった風合いでしたが、「ムーン・リバー」はプレイヤーの介入余地を増やしたことで創意からより積極的に得点をガツガツ取りに行くことができる、より大人向けのゲームと言えます。メインシステムは同じながら方向性はかなり異なる二作と言えるので、両作ともに遊び比べてみてどちらが好みか話し合ってみるのも面白いでしょう。

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