テンデイズゲームズのゲームを遊んだ感想ツイートキャンペーン実施中!

 テンデイズゲームズのゲームを遊んだら、ぜひ、感想を聞かせてください!
 
 というわけで、みなさまの感想をツイートをお待ちしております。
 以下の参加方法の通り、Twitterでツイートをしていただいた人の中から抽選で、締切り以降、最初に発売されるテンデイズゲームズ新商品を3名にプレゼントいたします。
 

参加方法:
 テンデイズゲームズのゲームを遊んだら、ハッシュタグ「#テンデイズのゲーム」を付けて感想を、Twitterで呟いてください。

 

実施期間:
 5月1日から5月31日

 期間中に呟いてくれた人の中から抽選で3名様にテンデイズゲームズの最新タイトルをプレゼントいたします。

※コロナウィルスによる感染症の状況があまりよくありません。国や各自治体の発表を踏まえた上で、ゲームを楽しむ際には十二分な感染症対策を行ってください。
※この企画は、感染症が拡がりを見せる中での、ゲーム会やパーティーを奨励するものではありません。節度をもった行動をお願いします。

 

テンデイズゲームズ:これからのラインナップ(2021年12月3日更新)

2021年8月以降の発売済みタイトル

おじゃまっシー(ブロックネス日本語版)
ドクターエウレカ(再版)
グラスロード ミニ拡張同梱版 日本語版(ミニ拡張単体販売あり)
ドラゴミノ 日本語版
レス・アルカナ:拡張2 力の真珠 日本語版
ニュートン:偉大なる発見同梱版 日本語版

パックス・パミール:二版 日本語版(限定数でメタルコインセットあり)
オリジンズ:ファーストビルダーズ 日本語版

オーディンの祝祭:拡張 ノース人(再版)
ヴェニス 和訳付輸入版
タロス 和訳付輸入版(Spielworxx
12王国の玉座(再版・一部仕様変更の二版)

2021年12月発売予定

準備中
オーディンの祝祭(再版)

12月11日発売予定
キングドミノオリジンズ 日本語版
レクト・ベルソ 日本語版


12月18日頃発売予定(まもなく予約受付開始予定)
サポテカ 日本語版
タバヌシ 日本語版
テケン:拡張 セトの時 日本語版

2022年1月発売予定

1月上旬発売予定
テラミスティカ:オートマソロボックス 日本語版

1月発売予定
ペーパーダンジョンズ 日本語版
ゴーレム 日本語版
バラージ:5人プレイヤー拡張 日本語版
12王国の評議会 日本語版
パンピンポンカードゲーム

2022年初頭発売予定

アークノヴァ 日本語版
カエサル! 日本語版
パンピンポンカードゲーム
テオティワカン(再版)
ペッパー(再版・新仕様小箱版)

フォーラムロマナムの商人
クニツィアの「だるま」(海外で「Hit」、「Family Inc」(ボードゲーム版)」として流通しているタイトルの日本版です)

そのほか、未発表のエッセンシュピール新作で発売決定しているもの、さらに企画進行中のものもいくつかあります。
ぜひ、ご期待ください!

※予定は変更となる場合があります。

【スタッフ神田の視点】ファウンダーズ・オブ・テオティワカン

 このエントリーは、テンデイズゲームズスタッフ神田が、自らの視点でゲーム内容を読み解き、紹介していきます。

◆「テオティワカン」と同テーマのスピンオフタイトル

 「ファウンダーズ・オブ・テオティワカン」は、Board & Diceの人気ゲーム「テオティワカン:シティ・オブ・ゴッド」と同テーマのゲームです。しかしながら、この両者はテーマこそ同じものの、実は作者もシステムも全く異なる二作なのです。まずはこの点に触れていきましょう。
 「テオティワカン」の作者は「ツォルキン」「マルコポーロの旅路」の共作者として知られるDaniele Tasciniです(ちなみにTasciniの作品はほとんどが共作で、「テオティワカン」は珍しい単著のタイトルです)。独創性のある仕掛けを盛り込むことに定評のあるデザイナーで、歯ごたえのあるゲーマーズゲームを多数世に送り出してきました。
 かたや今作の作者Filip Głowaczは、いくつかの著作はあるものの、あまりその名前を知られてはいないデザイナーです。同社の「Mandala Stones」が一番名前を知られているかも? くらい。
 そういった事情もあり、個人的には新人デザイナーのチャレンジングな新作に、保険として人気IPのガワを載せたのかなーといった印象を抱きもしました。あるいは「テオティワカン・ダイスゲーム」とか「テオティワカン・カードゲーム」といった本歌取りの内容なのかも……とも推測を働かせたりもして。
 しかも、見た目は個人ボードにポリオミノタイルを敷き詰めていくパズル的な内容。これも今となってはいささか新鮮味の薄れたビジュアルではあり、正直、事前の期待感はそれほど高くはありませんでした。
 ですが、実際遊んでみたら予想外の完成度でビックリしたのです。「え、このゲーム『テオティワカン』と全然違うぞ!? しかもめっちゃ作りが巧みなんだけど!?」
 予想に反してこのゲーム、実によく練り込まれた作品だったのです。なので、「なるほど、これならテオティワカンシリーズに並べたくなる気持ちもわかるなー」と頷いてしまったんですね。
 では、この作品はどこに見どころがあるのか。それをこれから述べていきたいと思います。

◆配置タイミングを計るワーカープレイスメント

 各ラウンドにおいて、各プレイヤーは数枚のディスクをワーカーとして持っています。手番にディスク1枚をアクションスペースに配置することでプレイヤーはアクションポイントを貰い、即座にそれを仕払って対応するアクションを行います。貰ったお小遣いでお買い物をするイメージとでもいいましょうか。
 原理としてはワーカープレイスメントと言っていい……かとも思うのですが、排他性は薄く、メカニズムの力点が多少異なるのでこれは別物と言ってもいいかもしれません。
 というのはこのゲーム、すでにディスクが置かれているアクションスペースにも新しくディスクを重ねてアクションを実行することができるのです。この時、プレイヤーは「積み重ねたディスクの枚数+1点」のアクションポイントを貰えます。つまり、後乗せを狙って効率的にアクションポイントを貰いたいゲームなのです。
 とは言え、それぞれのアクションスペースにはディスクを置ける上限数が決まっているので、アクションスペースが「育つ」のを待っていても自分の手番が回ってくるまでに定員オーバーになってしまうかもしれません。また、アクションで獲得する要素自体は早いもの勝ちなので、ワーカープレイスメント特有のダッチオークション的な趣は健在です。
 また、手番にパスを行うとそのラウンドはもうアクションを行うことができなくなるので、下家を利してしまうことがわかっていても已む無くアクションを選択せざるを得ない局面もあります。このように、本作はアクションを選択するタイミングにインタラクションとジレンマを仕込んだゲームなのです。
 では、最初にアクションを踏むのは不利なのかと思いきや、各アクションスペースにはそれぞれボーナスディスク1枚が配置されていて、最初にアクションを踏んだプレイヤーはこのボーナスを得ることもできるのです。しかもこのボーナスの効果はなかなかに強力です。
 各アクションスペースに置けるディスクの上限は3枚なのでx枚目にディスクを置くことで貰える効果の対応関係は下記の通りとなります。
1枚目:2アクションポイント+ボーナスディスクの効果
2枚目:3アクションポイント
3枚目:4アクションポイント
 一見してちょっとお得感に欠けるのは2枚目の配置ですかね。できれば1枚目の配置でボーナスを貰うか、3枚目の配置で4アクションポイントを貰いたいところです。
 しかしながら、そうそう都合よく手番が回ってくるとも限らず「やりたいけど今じゃないんだー!」と歯ぎしりすることもしばしば。逆に選ぶつもりのなかったアクションが偶然育ったまま目の前に出てきて悩むこともあり。トスのインタラクションを交えたこのプレイ感覚は計画性とアドリブ性の両方を求められて、なかなかにユニークです。

◆ユニークで悩ましい資源管理

 アクションの1つ「建物の建設」では、アクションポイントと同サイズのポリオミノタイルを取って個人ボードに配置できます。こうして配置されたポリオミノタイルは種類に応じて木・石・金の3種の資源のいずれかを産出します。「建物の建設」という名前ではありますが、機能的にはいわゆる資源獲得アクションと言えるでしょう。
 ここでちょっと面白いのが、資源は配置したポリオミノタイルに隣接するすべての空きマスに湧き出す点です。そのため、例えばサイズ1のタイルであれば、最大で上下左右の空きマス4つに資源が湧きますし、凸型のポリオミノタイルであれば、1度で最大8個の資源が得られるワケです。
 つまり、このゲームではタイルを隙間なくピッチリ噛み合わせるのではなく、むしろそれぞれにある程度余裕を持たせて配置した方が効率的に資源を集められるのです。このシステムは単独でもかなり面白い仕組みで、ちょっと違った脳の使い方を要求されて刺激的ですね。
 すでに資源が置かれているマスに新しくポリオミノタイルを配置すると、その資源は消滅してしまうというルールもうまい作りで、資源を使う順番にもプレイングの余地があります。
 さらにボード上には仮面シンボルが記された一まとまりのスペースがあり、それをポリオミノタイルで埋めきることで仮面タイルが貰えます。仮面タイルはいわゆる早取り要素で、即時で得点を得られるため、これもなるべくなら狙っていきたい要素です。
 しかしながら、先述の通り、ポリオミノタイルに覆われた資源は消滅してしまうため、もし仮面シンボルの上に資源が置かれていた場合、その資源を手早く使うか、消滅を覚悟で埋めるかしないといけないのです。この辺りのポリオミノタイルと資源の関係は実に悩ましく、よくできています。

◆ゲームのキーとなる存在「建築士」

 「建物の建設」で獲得した資源は、主に2つのアクションによって消費されます。それが「神殿の建設」と「ピラミッドの建設」です。
 「神殿の建設」では、「建物の建設」で獲得した資源を支払って緑・青・赤の3色のポリオミノタイルをボード上に配置します。
 神殿はこのゲームにおける得点源の一つです。神殿は、建物と同様のポリオミノタイルなので、建物とはボード上の空きマスを奪い合うライバル関係となります。
 そのため、ボード上の限られた空きスペースを資源(建物)に割くか、得点(神殿)に割くかというジレンマがあり、ゲーム中は用地の使い道に頭を悩ませることになるでしょう。
 「ピラミッドの建設」では、ボードの中央部分にピラミッドタイルを配置することができます。ピラミッドは神殿と並ぶ得点源の一つです。こちらも神殿と同様に緑・青・赤の3種がありますが、ピラミッドタイルはポリオミノタイルではないため、建物や神殿とは干渉しません。
 ピラミッドは最大で3段まで建てることができます。1段目には33の9枚、2段目は22の4枚、3段目は1枚のピラミッドタイルを配置することができます。ピラミッドは上段ほど価値が高いので、なるべく高いピラミッドを作りたいところですが、建設には貴重な資源である金が大量に必要となるため、ピラミッドの完成はなかなかに困難です。
 さて、このゲームには都合「建物」「神殿」「ピラミッド」と3種の建築物があるのですが、これら全ては「建築士」駒の位置によって配置可能な位置を制限されています。この建築士の存在は、ある種このゲームの一番のキモと言っても過言ではありません。
 ゲーム中、建築士は個人ボードの4つの辺のいずれかの辺に面しています。手番中プレイヤーはあらゆる建築物を建築士の面する側の辺の2象限、個人ボードの半分の範囲にしか建築物を配置できません。
 手番が終わると建築士は時計回りに次の辺に移動します。そのため、手番によって建設可能な範囲が90度ずつ移り変わっていきます。
 この建築士駒による配置制限は大変いやらしく、「ピラミッドを建てたいんだけどそこじゃない!」というような場面が頻発するのです。計画的に建築物を建てるためには数手先の展開を見越して準備を整えておく必要があります。

◆シンプルながら頭を悩ませる得点システム

 個人ボードは4つの象限で分割されています。ゲーム終了時、それぞれの象限においてプレイヤーは建てられた神殿タイルの数にピラミッドタイルから算出される倍数をかけ合わせた得点を得ます。このゲームには仮面タイルなどのいくつかの得点要素がありますが、メインの得点源となるのがこの神殿とピラミッドの掛け算によるものです。
 神殿とピラミッドはそれぞれが緑・青・赤の3色のいずれかの色に属し、緑の神殿×緑のピラミッド、青の神殿×青のピラミッドのように、同色の神殿とピラミッドだけを掛け算します。
 従って1つの象限には同色の神殿・ピラミッドを集めるのが基本……なのですが、ここがまた心憎いことに、2つの象限を跨ぐ神殿とピラミッドは両方の象限で得点計算を行えるというウマ味要素があるのです。
 そのため可能ならば象限を跨いでタイルを配置したいのですが、先述の建築士駒の制限により、象限を跨ぐ建設は機会が限られているためラクして儲けるのはなかなかに難しいのです。効率的に得点を獲得しようとするならば、相当なグランドデザインが要求されるゲームと言えましょう。

◆オリジナリティに満ちた硬質なゲーマーズゲームをぜひ

 とまあ、主要な要素を書き出してみましたが、どこをどう切り出しても悩ましさが湧き出てくるゲームです。得点システムがシンプルな掛け算なのでプレイの道筋は極めて明瞭なのですが、先述の建築士駒の制限や資源の確保、使う順番などを考えると一筋縄では行きません。
 4人プレイならゲームを通して12手番と手番数もタイトなため、寄り道している暇もなく、あれが足りない、これが足りないと言ってる間にラストスパートに突入する印象です。
 また、結構なボリュームを備えつつも「テオティワカン」からの借り物要素はまったくなく、独自のゲーマーズゲームとしてハイレベルな仕上がりとなっているのは特筆すべきポイントです。共通点は資源を集めてピラミッドを建てる……くらい?
 「テオティワカン」は、コンボ感強めで資源をドバドバ手に入れてドバドバ使うバブリーな作りなのに対して、こちらも資源はドバッと手には入るんですけど、それを効率的に使うには一苦労という出口戦略の難しさがあり、プレイ感は相当に異なります。
 運要素はタイルのめくりとボーナスタイルの並び順ぐらいで全体としてはかなりドライでメカニカルな手触りです。個人ボードいじりがメインなのでインタラクションはそこまで濃くはないのですが、ディスク配置とタイルの先取りに関して絡みは十分で、狙っているタイルの色が被ると手番順のアヤで泣くこともあり、要所要所でボードゲームならではの駆け引きを感じられる内容です。
 一か所難点を上げるとすると、手番最後に建築士駒の移動を忘れやすいという点があります。ここは何かしらコンポーネント上の補助があってもよかったかもしれません。
 他プレイヤーに影響を及ぼさない箇所なのでうっかりを見落としやすい点ですが、前述の通り、建築士駒の制約が効いたゲームなので、参加者全員でチェックを行うなどして防いだほうがよいでしょう。
 といった感じで、「ファウンダーズ・オブ・テオティワカン」は、大変に見どころが多いゲームです。正直無名に近いデザイナーの作品に「テオティワカン」の名前を与えるのは結構なチャレンジではないかとも最初は思ったのですが、遊んでみるとやすやすとハードルを越えていて、これは凄いことをやっているんじゃないかと思います。これはBoard & Diceのデベロップの腕前なのかしら……?
 本家「テオティワカン」に比べると処理もスッキリしてますし、一回りコンパクトになったプレイ時間でお手頃感もあります。どちらが遊びやすい内容かと言えば、これは本作で間違いないでしょう。
 とは言え、「テオティワカン」も完成度が高く、乗りこなし甲斐のある戦略ゲームなので、ゲーム好きの皆様にはぜひ両者を遊び比べて頂いて、どちらがより自分好みかを確かめて頂きたいです。
 また、本作ではBoard & Dice製品ではお馴染みの感もあるソロプレイモードも搭載しています。AI「最初の創設者たち」を相手取り、スコアアタックに挑みましょう。
 実際に遊んでみることで「なるほど、そういうことか!」と膝を打つ部分が多いゲームなので、ルール確認がてら挑戦してみるのもいいかもしれません。

【スタッフ神田の視点】タバヌシ

 このエントリーは、テンデイズゲームズスタッフ神田が、自らの視点でゲーム内容を読み解き、紹介していきます

◆ウルの街で最高の建築士を目指す

 「タバヌシ:ウルの建築士たち」は、「ツォルキン」「テオティワカン」「テケン」など複雑かつ独創性のあるゲーマーズゲームで知られるDaniele TasciniのTシリーズ最新作です。Simone Luciani、Dávid Turczi、Federico Pierlorenziなどパートナーにも恵まれる彼は、今回は新人David Spadaとタッグを組んで新境地の開拓を図りました。
 「タバヌシ」において、プレイヤーは大建築士となり、5つの区画に分かれたウルの都市建築に従事します。プレイヤーは、家を立て、庭園を造り、港を支配し、ジッグラドに祭壇を建築し、ウルで最も偉大なる建築士になることを目的とします。
 このゲームは、独特なダイスの扱いによるゲームエンジンを主軸に据えたゲーマーズゲームで、モダンゲームらしい高度な計画性を要求しつつも、古典的かつ濃厚なインタラクションを備えた、贅沢でハイカロリーなゲームです。Tasciniの諸作を楽しんでいる方でも新鮮さを感じられる一風変わったゲームと言えましょう。
 ちなみに表題の「タバヌシ」は、シュメール語でいうところのBuild、つまり建築を意味する言葉だそうで、全部日本語にすると「建築:ウルの建築士たち」という意味になるようです。サルサソースみたいですね。

◆ダイスピックで移動先が決まる独特のエンジン

 さて、Board&Diceで出版された「テオティワカン」「テケン」において独特なダイスの扱いを見せたTasciniは、この「タバヌシ」においてもその手腕を存分に発揮しています。
 ゲームの舞台となるウルの街は5つの区画に分割されています。それぞれの区画には対応する色のダイスが規定数配置され、プレイヤーはそのうち1つをピックして区画に対応するアクションを行います。ピックされたダイスはそれ自体がリソースとなり、以降のアクションのコストとして用いられます。
 しかしながら! 初手こそ自由にダイスをピックできるものの、2手目以降のダイスピックからは強烈な制限がかかってきます。それは、ピックしたダイス目によって次に選択できる区画が決まってしまうという縛りです。
 先程、ウルの街は5つの区画に分割されていると述べましたが、ダイス目1~5は、それぞれ区画1~5に対応しているんですね。なので、出目1のダイスをピックしたら次回のアクションでは区画1でダイスをピックしてアクションすることが確定してしまうのです。
 当然、次のアクションで選択したダイスによって次次回の区画も決まりますし、その結果、次次次回の区画も……となるため、プレイヤーは常に2手3手先を読む計画性を求められます。今やりたいアクションと次にやりたいアクションをどう折り合わせるかがこのゲームの最初のジレンマと言っていいでしょう。
 ちなみに出目6のダイスは「場にないダイス目として扱える」特殊なダイスです。場にあるダイスが少なくなるほど使える幅が広くなるという扱いは、細かいながら工夫の効いたルールです。
 また、オールマイティな資源「黄金」を支払うことでダイス目の制約を一時的に無視することもできます。とは言え、「黄金」は大事な資源なので、基本的にはダイス目の流れに乗って計画を実行する必要があるでしょう。

◆濃厚なインタラクション。計画? 建築? それとも庭園?

 さて、このゲームは、一言で言えば、リソースを集めて建物を建築することで勝利を目指すリソースマネジメントゲームです。戦略ゲームとしては極めて王道的な組み立てとも言える本作ですが、作者はそこに大きなツイストを持ち込みました。
 それは建物の建築を「計画」と「建築」の二段階の工程に分割したことです。しかも、これは単純に工程を増やしただけではなく、「計画」と「建築」がそれぞれ違うプレイヤーによって行われることもある、という所有権の分割をもツイストとして持ち込んでいるのです
 プレイヤーAが「計画」した建築予定地にプレイヤーBが建物を「建築」するというような、協力、相乗りのインタラクションがこのゲームでは頻繁に発生します。「計画」と「建築」両方を自分1人で行うこともできるのですが、自分で「計画」した建築予定地に建物を「建築」する場合、余分なコストがかかる縛りがあるため、基本的には
・自分が「計画」した建築予定地に他人に建物を「建築」してもらう
・他人が「計画」した建築予定地に自分が建物を「建築」させてもらう
のいずれかが効率的な動き方になります。最終的には自分の所有する建物をボード上により多く建てたいのですが、建物の建築に絡むこと自体に特有のメリットがあるため、他人との相乗りを積極的に狙っていく方がよい結果に結びつく場合が多いです。
 こうした他プレイヤーとの濃厚な絡み合いは二次産業をベースとした経済ゲームではしばし散見されるのですが、このような建築ゲームではなかなか珍しい仕組みです。
 Tasciniの諸作を見ても、例えば「テオティワカン」などはピラミッドの建築次第で他プレイヤーにチャンスを与えるトスのインタラクションがありましたが、他プレイヤーの介在をここまで強烈に意識させるメカニクスではありませんでした。あるいはこれはパートナーのDavid Spadaの持ち味なのかもしれません。
 さらにこのゲームでは、これらの建築のインタラクションをより悩ましくさせる「庭園」という要素もあります。これは独自のアクションによって区画上に配置することができるタイルです。
 庭園は、その周囲の建物により多くの得点機会を与えるため、庭園に隣接させて建物を建築できれば単純にオトクです。しかしながら、そうして建物を建築した場合、庭園の持ち主にも特有のボーナスが与えられます。
 つまり、庭園の持ち主と建物の建築主、両方が庭園に隣接させて建物を建築するメリットがあるのですね。
 どちらも自分のものであれば話は簡単ですが、それぞれ持ち主が異なる場合、自分が得るメリットと他人に与えるメリットを勘案する局面も生まれます。このように自分と他人の利益についてとにかく考える機会が多いゲームなのです。このインタラクションの濃密さはこのゲームの特筆すべき点の一つでしょう。

◆優先すべきは建物? 船? ジッグラト?

 さて、ゲームのメインとなる得点行動は先述の建物の建築です。これは5つに分割された区画のうち3つの区画において実行できる行動で、残りの2つの区画、港とジッグラドではまた異なる要素が用意されています。
 港区画では、資源の変換を容易にする木箱タイルを獲得できたり、持続能力をプレイヤーにもたらす船を獲得できます。どちらの要素もプレイヤーの選択肢を広げる効果があるため、早めに抑えたい要素ではあります。
 特に船は戦略の基幹になるような強力な効果を持つものもあるため、ゲームを始めて何をすればいいか迷ったらまずは船の効果を指針にして戦略を検討するのもいいでしょう(なお、船は建築の副産物として獲得することもできます)。
 ジッグラドでは、家駒を配置することで様々なセットコレクションの得点倍率を高めることができます。
 この区画は、単純に得点を獲得するために訪れる区画ではありますが、一般的な建築区画と異なり、他プレイヤーとの絡みなしに自分の家駒を配置できる点に独自の魅力があります。家駒の配置は後述の「布告カード」の達成条件にも関わってきます。

◆機会「不」均等な決算を乗りこなせるか?

 さて、先述のように、プレイヤーはこれら5つの区画を行き来しながら様々なアクションを行います。各区画で行うアクションは、基本的にその区画で得られる得点に繋がります。
 しかしながら、ただ建物を建築するだけ、船を獲得するだけ、ジッグラドに家を配置するだけでは得点を得ることはできません。
 プレイヤーが得点を得るにはその区画で決算を起こす必要があります。そして、この決算こそが、このゲームの最重要項目なのです。
 繰り返しになりますが、5つの区画には、それぞれに対応する色のダイスが規定数配置されます。これらのダイスはアクションの度にプレイヤーにピックされ、盤上から数を減らして行くワケですが、すべてのダイスがピックされた瞬間、「その区画のみ決算として得点計算を行います」。
 そして、重要なのは、ゲームを通してこの決算は5回しか行われないという点です!
 区画は5つ。決算は5回。ということは、ゲームを通して複数回の決算が行われる区画もあれば、その逆に1回も決算を行わないままゲームが終わる区画も出てくるということです。
 決算を行った区画には規定数のダイスが再配置されるため、特定の区画で何度も決算が行われる例はそれほど顕著ではありません。しかしながら、先述したようにダイス目によって次にアクションを行う区画はほぼ決まっているため、もし、あるダイス目が1つもなければ、その区画で決算を起こすのは極めて難しいということになります。盤上のダイス目を眺めるだけでも今後の流れを予測することができるでしょう。
 自分がどれだけ頑張ってその区画を発展させたとしても、その区画で決算が起こせなければ得点には結びつきません。となれば、1つの区画を独占するよりも他プレイヤーを呼び込んで共存共栄を図ったほうがその区画の決算を確実なものにできます。
 ここもまたやはりプレイヤー間の思惑が色濃く介在する部分で、このゲームでは建物の建築のみならず決算でも互いに協力、あるいは出し抜く必要があるのです。
 なお、ゲーム終了時には最後の得点計算として、全ての区画で1回ずつ決算を行います。なので、区画に投じたリソースがまったく無駄になることはありません。
 とは言え、ゲームを通して自分が注力した区画で重ねて決算を起こした方が得なのは言うまでもないので、全体の流れを読んで決算の起こりそうな区画でアクションを重ねたいものです。

◆「布告カード」誰よりも先んじて達成せよ

 区画の決算はゲームの大半を占める得点源です。そして、次に紹介する「布告カード」は補助的な得点源です。
 布告カードには達成するための条件と、達成した際に得られる得点やリソースが描かれていて、いわゆる目的カードとして機能します。
 特徴として、この布告カードはセットアップ時にのみ公開され、ゲーム中に補充されることがありません。また、布告カードを達成し、得点やリソースを得られるのは先着1名限りとなっています。この得点やリソースは結構な価値があるため、ゲーム中は布告カードを巡っての熾烈な争奪戦が展開されます。
 布告カードは「白の建物を3つ建築せよ」「茶色のジッグラドに家を3つ配置せよ」といった達成条件の組み合わせを持っていて、この組み合わせによってゲーム中の各アクションの価値が微妙に変化します。
 また、先程「独力で建物を計画して建築までするのは非効率的ですよ」と述べといてなんなんですが、布告カードの達成のためには無理矢理にでも自分1人で建物を建てる必要がある局面もあります。「達成条件を競り合って結局布告カードを取れなかった!」という展開が一番悲しいので、流れを捻じ曲げてでも布告カードを取りに行くか、それとも無理はせずに布告カードを見送るか、押し引きの判断は重要です。

◆インタラクションてんこ盛り。Tasciniの新たな側面。

 とまあ、「タバヌシ」の各要素について触れてきましたが、どこをどう取っても他プレイヤーとのインタラクション抜きには語ることのできない、インタラクションの塊のようなゲームです。
 特に不均等な決算は、先進的なモダンユーロよりも古典的なドイツゲームによく見られる仕掛けで、プレイヤー間の強烈な駆け引きを誘発する要素です。決算を発生させたプレイヤーはマルチリソースである黄金を獲得できるオトクさもあるため、決算間近の区画に誰が飛び込むのか睨み合う構図が生まれたりもします。
 一方で、メインとなるダイスピックのエンジンは自分のリソースをスムーズに繋げて得点を伸ばしていくパズル感強めの要素ではあり、各要素をうまくコンボさせていく快感は今風のゲームのそれなんですよね。そのため、外向きの要素と内向きの要素が巧みにミックスされた一作ではあります。
 総合的には、TasciniがBoard&Diceで展開してきた一連のシリーズの中でも際立ってインタラクションの強い一作と言えます。「テオティワカン」「テケン」と作を重ねるにつれ、そうした傾向は少しずつ色濃くなってはいたのですが、このゲームでは特にその風味が強いです。
 なので、Tasciniの過去作が好きな人も苦手な人にも触ってみて欲しいゲームではあります。過去作とは明確に勝負どころの異なるゲームなので、「これが好き」も「これは苦手」も両方あり得ると思います。もちろん、Tasciniのゲーム特有の要素の多さは健在ではあるので、トゥーマッチに感じる方はいるでしょう。
 ただ、要素は膨大ながら実際遊んでみると圧迫感を覚えるような重さはなく、意外とスッキリしてる印象です。「テオティワカン」「テケン」のような処理の枝葉もまあまああって、手番の最後に建築士駒を動かす処理忘れは割と頻発するんですが、これは見た目で処理忘れと一発でわかるので補正が効くのはあるのかもしれません。
 また、他プレイヤーの行動によってオトクな区域やアクションがコロコロ変わるのでアドリブ性、即応力が要求されるゲームではあります。なので、プレイの経験値だけで勝負が決まるような直線勝負だけのゲームではないですね。
 その点も懐が深いというか、1回遊んで底が見えるようなゲームではありません。逆に言えば、乗りこなすにはなかなかの修練がいる暴れ馬ということでもありますが。
 また、実は運要素がそれほど高くないのも興味深いところで、これだけダイスを数多く使うゲームなのだからさぞかしアンコントローラブルなのではないか、と思いきや、ダイス目の修正にも使える黄金が手軽に手に入るので割と行動のコントロールが効くんですね。それ以外の要素となるとセットアップ以降でランダム性のある要素が皆無なので、「テケン」と比べると触感としてはかなりドライです。
 インタラクションとパズル性。アドリブ性と計画性。要素は多くともプレイ感スッキリ。背反する要素をこれだけいっぺんに抱えるゲームはユニークで、よくぞまとめ上げたなと感嘆させられる芸術点の高いゲームと言えましょう。
 特にモダンなゲームが好きだけどソロプレイは好みではないというインタラクション重視な方にはぜひ遊んでもらいたいタイトルです。

「タバヌシvsゴーレム遊び比べキャンペーン」開催!

 イタリアを代表するデザイナー二人、タッシーニとルチアーニの新作がこの冬、同時期に発売されました。
 それがタッシーニによる「タバヌシ」とルチアーニ(アッキトッカとの共作)による「ゴーレム」です。

 いずれも、良い意味で「こじらせ感」のある、好事家向けの―いや、好事家であっても受け入れられない人は少なくないかもしれません―タイトルであり、テンデイズゲームズとしては、「ぜひ、この二作を遊び比べて欲しい!」というところから、この度、遊び比べキャンペーンを行うことといたしました。

参加方法:
 「タバヌシ」、「ゴーレム」を遊んだら、ハッシュタグ「#タバヌシvsゴーレム」を付けて感想を、Twitterで呟いてください。

 かならずしも、両タイトルを遊んでいただく必要はなく、一方のタイトルだけでも問題ありません。
 また、優劣を付ける必要もありません。
 お気軽に呟いてみてください。

実施期間:
 1月29日から2月28日

期間中に呟いてくれた人の中から抽選で3名様に景品をプレゼントいたします。

※コロナウィルスによる感染症の状況があまりよくありません。国や各自治体の発表を踏まえた上で、ゲームを楽しむ際には十二分な感染症対策を行ってください。
※この企画は、感染症が拡がりを見せる中での、ゲーム会やパーティーを奨励するものではありません。節度をもった行動をお願いします。

 

【ゲームプレビュー】アーク・ノヴァ-新たなる方舟-

 昨年のエッセンシュピールでの販売が少部数だったにも関わらず、現地の人気投票「スカウトアクション」で一位となり、その後もBoardGameGeekの注目ランキング「THE HOTNESS」でも常に上位(というより、ほぼ一位!)に位置している「アーク・ノヴァ」。
 その「アーク・ノヴァ」日本語版が、いよいよ2月中旬~下旬の発売となります。
 詳細な紹介はあらためて行う予定ですが、簡単な紹介を少し早くお届けいたします。

 日本語ルールをこちらにアップロードいたしましたので、合わせてご覧いただけると参考になるかと思います。→アーク・ノヴァ日本語版ルール

 まず、この「アーク・ノヴァ」は、「どんなゲームなのか」ですが、プレイヤーは、科学的に管理された動物園の運営者となり、動物の生態に応じた囲い地を用意し、さまざまな動物を保護するための保全活動を進めることになります。しかし、そのためには動物園としての人気を高め収入に繋げたり、いろいろな後援者を頼ったりする必要もあります。これらを200枚を超えるカード、個人ボードなどで表現した本格的な戦略ゲームが「アーク・ノヴァ」なのです。

 さて、その「アーク・ノヴァ」、一回目の紹介ではありますが少しマニアックに進めて行きたいと思います。
 というのも、この「アーク・ノヴァ」は、これまでに発表されてきたさまざまなゲームのさまざまな要素をこれでもか!ミックスしたとも言えるタイトルになっており、例えば、BoardGamesGeekでも、このような画像が投稿されていたりします。→リンク
 そこで、このプレビューでは、これまでに発表されてきたタイトルと合わせて、「実際のところどうなんだ?」という形で紹介していきたいと思います。

テラフォーミングマーズ的カードプレイが面白い!

 世界で圧倒的人気を獲得し、今や2010年代~20年代を代表するボードゲームとなった「テラフォーミングマーズ」。
 膨大な枚数が用意されたカードを組み合わせてプレイし、ゲームごとに異なる展開が楽しめる点、それらが生み出すシナジー効果を活かす面白さは、「テラフォーミングマーズ」の影響下にあると言っていいでしょう。
 200枚を超えるカードは、主役でありゲーム展開の主軸となる「動物カード」、永続的なものも含めてより特徴的な特殊効果を持ち活用の仕方が腕の見せ所となる「後援者カード」、ボーナス得点に繋がる「保全計画カード」があり、カードを見ているだけでもゲーム好きにとっては刺激的、やはり一番の魅力と言えるのではないでしょうか。

シヴィライゼーション:新たな夜明け的アクション選択が悩ましい!

 「アーク・ノヴァ」でプレイヤーは、各手番、5種類のアクションカードの中から一種類を選び、そのアクションを実行することになります。
 このアクションカードは、手札と言うわけではなく、個人ボードに用意されたスロットに並べられています。
 スロットは、左から右へ1から5が割り当てられ、そのスロットの数値に応じた強さでアクションを行うことができます。すなわち、1よりも3、3よりも5にあるカードの方がより強力ということになるわけです。
 そして、使用したアクションカードは、それまで置かれていたスロットから1のスロットへと移します。他のカードは、そのカードが置かれていたカードを埋めるように右へと詰めることになります。
 この仕組みにより、同じアクションを効果的に続けて行うことは難しく、どのタイミングでアクションを実行するかの判断がポイントとなるわけです。
 これは、「シヴィライゼーション:新たな夜明け」でも見られた仕組みで、非常にシンプルな仕組みでありながら、アクションの組み立ての面白さ、悩ましさは十二分に感じられるものになっているかと思います。

ブルゴーニュ、オーディン的タイル配置パズルが奥深い!

 カードプレイと並んで、もう一つのメインとなるのが個人ボード上にさまざまな大きさの囲い地やは虫類館、鳥類館、ふれあい動物園と言った動物を飼うための施設や、ロープウェイ、特殊なサル山などの特別な建物のタイルを配置していく、動物園を作り上げるという要素です。
 ボード上をタイルで埋め切ることはもちろんのこと、埋めることによってボーナスを獲得できるマスもあり、いくつかの制限の中で効率よくタイルを配置していくパズル的な面白さがあり、この部分だけでも「一要素」という枠に収まらない奥深さがあります。
 

テラミスティカ的開放システムが気持ちいい!

 さまざまなカードの効果が積み重なることによって、より手が加速、拡大していくのはもちろんですが、「テラミスティカ」や「ハンザテウトニカ」のように個人ボード上に用意された収入や効果が開放されていくことで、さらに手が進むような仕組みも用意されています。
 収入を増やしたり、特別なトークンを獲得したり、アクションカードをレベルアップさせたり、ワーカーである職員を増やしたり……一つ一つの効果はそれほど大きな効果ではありませんが、これらの効果の多くはゲームを通して影響があるため、着実に開放していくことはとても重要です。
 また、それによりプレイの自由度、戦略の幅が広がるため、プレイングの気持ちよさにも繋がっているのです。

ガンジスの藩王的得点システムに痺れる!

 こうして、それぞれのプレイヤーの動物園は拡大し、保全計画も推進していくことになります。
 しかし、「アーク・ノヴァ」の得点システムは非常に凝ったものになっており、どのように動物園を拡大し、保全計画を推進していくか、安易に行っていては決して勝利することは出来ないのです。
 そのポイントは、二つの勝利点トラックにあります。
 それが動物園の人気、アピール力を表す「訴求点」と、どれだけ動物の保全に関わり学術的な貢献を行ったかを示す「保全点」です。
 最近、日本語版も出版された「ガンジスの藩王」でも見られた仕組みですが、「アーク・ノヴァ」でも、この二つの得点トラックを逆のサイドから進めていき、交わったところでゲーム終了となるのです。
 訴求点は、人気の高い、愛らしい動物や勇ましい動物を飼う(カードをプレイする)ことで上がることが多く、収入の底上げに繋がっています。
 保全点は、直接的な得点行動である保全活動を行ったり、希少な動物を飼うことで上がることが多く設定されています。
 訴求点は、比較的上げやすく収入にも繋がるため注力しがちなのですが、保全点のほうが最終的な得点に直結するように作られているため、注意が必要です。 
 このバランスに気を配りつつのプレイが大きなカギとなるでしょう。

強く断言します!ただ盛り込んだだけの安直なゲームではありません!

 ゲームには得てして「オリジナリティ」が求められることがあります。
 そういう点では、この「アーク・ノヴァ」はいささか分が悪いかもしれません。
 しかし、これだけの要素をこれだけ高いレベルでまとめ上げたゲームは他になかなか見ることはできないのではないでしょうか。
 そういう意味では、「アーク・ノヴァ」は唯一無二の存在感を放っており、2022年、間違いなく注目すべきタイトルだと思います。

 このブログでは、「アーク・ノヴァ」の魅力や面白さをさらにお伝えしていく予定です。
 ぜひ、ご期待ください。

「ラ・グランハDX版」Kickstarterについて

 1月24日(日本時間では1月25日)から、人気戦略ゲーム「ラ・グランハ」の新版のKickstarterでの出資者募集が始まりました。
 →Kickstarterプロジェクトページ
 このプロジェクトページにあるとおり、リテール版(一般発売版)について、テンデイズゲームズで日本語版を販売することが決まっています。
 ただ、その点しか触れられていないため、Kickstarterでバッカーになるべきか、日本語版を待つべきか、迷われている方もいらっしゃるかもしれません。というより、そもそも、情報が少ないかと思いますので、こちらで詳細を質問形式でまとめておきたいと思います。
 これらを参考に、プロジェクトへの出資や日本語版購入の参考にしていただければと思います。

※この記事は、1月25日に書かれたものです。よって、情報も1月25日現在のものとなります。Kickstarterでのプロジェクトは、その性質上、計画が進行するにつれ、内容が変更となる場合があります。ご了承ください。

Q.Kickstarterで出資すると日本語版が届くのですか?
A.いいえ。日本語版は届きません。このプロジェクトは、版元であるBoard&Dice社が直接行うものであり、Board&Dice社が発売しない言語版については、出資の対象とはなりません。

Q.テンデイズゲームズが発送やサポートを行うのですか?
A.いいえ。Board&Dice社による直接の対応(もしくは直接の委託先)となります。

Q.大型版「La Granda」も日本語版は発売されますか?
A.いいえ。日本語版は「La Granja Deluxe Master Set」のみとなります。

Q.日本語版の発売はいつ頃ですか?
A.Kickstarter版とほぼ同時期の予定です。(2022年内)

Q.日本語版発売の時にAdd-Onも買えますか?
A.その予定です。ただし、詳細はまだ決まっていません。また、お求めいただけるとしても、限定数量やテンデイズゲームズ直販のみとなる可能性が高いです。

Q.日本語版にストレッチゴールのアイテムは付きますか?
A.はい。「ラ・グランハDX版」においては、Kickstarter版と一般発売版の差はありません。そのため、達成したストレッチゴールを含めた内容となります。

Q.日本語版はいくらくらいになりそうですか?
A.定価が90$なので、税抜で9500円~12000円くらいになる見込みです。

Q.これまでに発売された「ラ・グランハ」とどこが違うのですか?
A.アートワークの刷新、アップグレードされた内容物、ステファン・フェルトやアンドレイ・ノヴァックらによるモジュール形式の拡張同梱が大きな変更点です。

Q.出資の参考にルールが読みたいです。
A.ローカライズ用のデータ等が一切届いていないこと、現時点で聞いているスケジュール等から、プロジェクト中の日本語ルールの公開はありません。

 続いて、迷われている方向けに出資したほうがいいのか、日本語版を待ったほうがいいのか、簡単にまとめておきます。

・英語が苦手でよくわかりません。
日本語版がオススメです。テンデイズゲームズでは、このプロジェクトについて、出資前、出資後、商品到着後のサポートを行うことはできません。また、ゲームに含まれるカードに言語依存があります。

・ちゃんと届くかどうか心配です。
日本語版がオススメです。Board&Dice社は非常に信頼のおける出版社ですが、Kickstarterの性質上、予期せぬトラブルが起る場合があります。また、発送に際しての手続きやトラブル対応が必要となる場合があります。

・大型版「La Granda」がほしいです。
プロジェクトへの出資(英語版、フランス語版、スペイン語版)がオススメです。日本語版の制作は今回のプロジェクトのメイン、ベースとなっている「DX版(Delue Master Set)」のみとなっています。大型版の日本での一般販売の可能性もありますが、あったとしても、日本語版ではなく、また数量も極めて少なくなる見込みです。プロジェクト中にこれらの点が確定までいくのは難しいかと思います。

・アドオンをどうしても手に入れたいです。
プロジェクトへの出資(英語版、フランス語版、スペイン語版)がオススメです。日本語版では、限定となる可能性が高いです。

【ゲーム紹介】ゴーレム(Golem / Flaminia Brasini, Virginio Gigli, Simone Luciani / Cranio Creations / 2021)

インパクト大のパッケージ

パラメーター上げモンスター爆誕!

 いまやイタリアを代表するデザイナーの一人として、常に注目を集める存在となったシモーネ・ルチアーニと、イタリアのゲームシーンを世界に知らしめた第一人者ともいえるデザイナーチームのアッキトッカが手を組んで発表した最新作が、今回紹介する「ゴーレム」です。

 ゲームの概要としては、プレイヤーは、ゴーレム伝説発祥の街「プラハ」を舞台に、プレイヤーは「ゴーレム」に命を吹き込み、街の中でさまざまなアクションを実行させ、より高い得点を獲得することを目指すというもの。しかし、勝手に街を闊歩するゴーレムを常に支配下に置いておかねばならず、これは決して簡単ではないのです。

 さて、この「ゴーレム」、メインとなるシステムは「パラメーター上げ/パラメーターコントロール」。「パラメーター上げ/パラメーターコントロール」を簡単に説明すると、ルチアーニを人気デザイナーに押し上げたタッシーニとの共作「ツォルキン」でも見られたシステムで、ゲームを通じ、さまざまなトラックを進めていくことで、得点効率を上げたり、ボーナスを獲得したり、収入レベルを押し上げたりを行っていくことになるというもの。
 この「パラメーター上げ/パラメーターコントロール」は、他のシステムと組み合わされ……例えば、ワーカープレイスメントをメインに据えつつ、アクションの結果としてパラメーター上げがあるというようなことが多いのですが、今回の「ゴーレム」は、「パラーメーター上げ/パラメーターコントロール」が、ガツンと主役に据えられたゲームになっているのです。
 いや、「主役」という表現でも生ぬるいかもしれません。「パラメーター上げ/パラメーターコントロール」に偏執的なまでのこだわりが感じられる「パラメーター上げモンスター」と言ってもいいくらいの内容なのです。

どこを見てもパラメーターと開放要素があるのみ!

 普通のゲーム紹介であれば、アクションがどうだとか手番がどうだという話をするところなのですが、「ゴーレム」においては、それは相応しくないでしょう。
 というわけで、このゲームの主役となる「パラメーター」、また、改良することで開放される要素を見ていきたいと思います。

 「ゴーレム」に用意されたパラメーターと改良、その効果は以下の通りとなります。

個人ボード
・研究トラック(「知識」収入アップ、場に出せる書物の数アップ)
・研究進展タイル(書物を出せる場の開放)
・ゴーレム向上タイル(ゴーレムの特殊効果開放)
・ゴーレムトラック(「得点」収入アップ)
・アーティファクト(さまざまな収入の開放)

メインボード
・三列ある街の「通り」(通りに対応する種類の収入アップ)

 と端から端までがパラメーターなり開放要素となっています。さらに、これらはほぼすべてが最終得点にも関連してくるため、ゲーム終了時を見据えて上げたり開放していく必要があります。
 プレイヤーは、ゲームを通じ、これらをひたすら上げ、開放するためにアクションを繰り返していくことになるのですが……このあたりの詳細はのちほど詳しく紹介するとして、それぞれのパラメータと改良について、さらに掘り下げてみたいと思います。

要素が詰まった個人ボード

 まず、「知識」に関連した研究トラックと研究進展タイルです。
 この研究トラックを上げることで、「知識」の収入がアップすると同時に、場に出せる書物の数そ増やすことができます。
 書物は、獲得し場に出すことで、特別なボーナスを得ることができる特殊カードなのですが、同じ色の書物は同じ場に出すことになり、場に出す度にそれまでに出していた書物のボーナスも再び得ることができるのです。研究トラックを進めることで、場に出せる数も増えることになります。「コンボ数を増やす」と考えるとわかりやすいでしょうか。
 しかし、もちろん、そう易々とは許してくれません。
 まず、そもそも書物を出す場を開放しなければ、そもそも同じ色の書物しか出すことができず、著しくプレイの幅は狭くなってしまうのです。
 研究進展タイルによる改良は、その場を増やしてくれるのです。さらに、タイルごとに固有のボーナスもあり、単に場を増やすにとどまりません。どのようにゲームを進めていくかを見据えて改良することが重要です。
 場を開放し、数を増やし、収入を増やし、さらなるアプローチをする―研究トラックと進展タイルひとつとっても、この一連の流れを作らなければならないところに、「ゴーレム」の難しさと面白さがあるのです。

 次は、ゴーレム向上タイルとゴーレムトラックです。
 このゲームのタイトルにもなっている「ゴーレム」は、町中でさまざまなアクションを実行できるものの、そのほかに特別な能力や、もたらしてくれる恩恵はありません。しかし、ゴーレム向上タイルの改良することで、ゴーレムに新たな力を付与し、より強力な存在へと押し上げてくれるのです。
 また、ゴーレムトラックを進めることで、収入として得点を得ることができるようになります。タイトルになっているだけあって、ゴーレムの強さは即ち勝利への近道というところでしょうか。
 しかし、概要でも触れたように、ゴーレムを支配下に置いておかなければなりません。ゴーレムトラックを進めることにより、街にいるゴーレムは通りをより早く進むようになってしまい、結果、プレイヤーの支配力を容易く超えるようになってしまうのです。

 プラハは、錬金術でも有名な街です。錬金釜を用いてアーティファクトを作ることで、プレイヤーは収入の内容を自分なりに決めることが出来ます。
 まず、決められた黄金駒を大釜に配置することで、まず、ボードに用意された収入を開放することになります。
 次に、そのアーティファクトを改良することで、異なる内容でいくつか用意された改良タイルを配置することになり、ボードに用意された収入に改良タイルの効果を組み合わせることで、収入の内容を自分なりに決めることが出来るのです。
 自分の戦略にあったものを伸ばすのか、自分の弱いところを補うのか―ここまで説明してきた研究トラック、ゴーレムトラックにも当てはまるのですが、改良と開放において提示される選択肢は、常にプレイヤーを悩ませてくれるでしょう。

独特な色使いのメインボード

 さらにメインボードにもプラハの「通り」として表現されたトラックが用意されています。
 それぞれの通りに置かれた助手を薦めることで、基本的なリソースの収入を増やすことができます。
 また、各通りにはゴーレムも置かれることになります。ここまでゴーレムを支配下に置くことが重要であることは触れましたが、この通りにおいて、助手がいるマスまでに置かれたゴーレムであれば、支配下に置くことができます。コストを支払えば、助手よりも先に置かれたゴーレムも支配下に置くことはできますが、もちろん、そのコストを安易に支払っているようであれば勝利は遠いものとなるでしょう。
 この通りに置かれたゴーレムもトラックと言っていいかもしれません。ですが、趣は大分異なります。というのも、ゴーレムは命を与えられた存在だけあり、プレイヤーの意思とは別に自らの足で進んでいくのです。
 通りの各マスにはアクションの描かれたタイルが置かれており、ゴーレムを働かせることでゴーレムがいるマスのアクションを実行することができます。
 しかし、ゴーレムが自らの足で進んでいく以上、魅力的なアクションが目の前にあるにも関わらず、狙って実行できると限りません。これは、プレイヤーにとってアンコントローラブルな要素ではあるのですが、決してストレスを受けるようなランダム要素ではありません。むしろ、アンコントローラブルであるが故、今、提示されているアクションを実行することでどれだけ自分に利があるのかを考えるのは、このゲームならではの妙味と言え、この揺らぎを大胆にゲームに取り入れているところにルチアーニとアッキトッカの凄みさえ感じると言っても言い過ぎではないでしょう。

すべては3アクションに凝縮されている

 ここまで各種のパラメータ、開放要素を紹介してきましたが、では、それらの要素にどのようにアプローチしていくのかを次に紹介していきます。
 プレイヤーは、各ラウンドで通常のアクション選択といえる「マーブルアクション」を2回、プレイヤーの分身でもある「ラビ(神父)」と呼ばれるワーカー駒を用いた「ラビアクション」を1回の計3アクションを実行することになります。そして、これを4ラウンドに渡って行うことになります。
 そうです。たったの12アクションで、前述のパラメーターを上げ、開放要素を開放していかなければならないのです。この辺りにも、私が「ゴーレム」を「パラメーターコントロールモンスター」と評する理由があります。
 
 これだけのボリュームと真っ向勝負でアクションを選択していく悩ましさだけでも面白さは十二分ですが、「ゴーレム」は、このアクション選択自体にもしっかりと面白さを盛り込んでいます。

 まず、通常のアクションに該当するマーブルアクション。
 各ラウンドで、ユダヤ教の会堂の名が付けられた「シナゴーグ」と呼ばれるコンポーネントに色つきの球「マーブル」を入れることになります。入れられたマーブルは、アクションが割り当てられたレーンにランダムで振り分けられることになります。
 それぞれのレーンからマーブルを選び取り、対応したアクションを実行するのがマーブルアクションです。
 このとき、重要なのが、振り分けられたマーブルが多いアクションほど、アクション効果が高くなるということです。すなわち、4個のマーブルのあるアクションのほうが、2個のマーブルがあるアクションよりも効果的となるわけです。
 自分の実行したいアクションにマーブルがより多く振り分けられていればいいのですが、そうでないことも多いでしょう。
 また、アクションを実行する際には、マーブルを選び取ることになるため、アクションが実行されるごとにマーブルが減ることになり、対応したアクションの効果は弱められることになります。
 マーブルの個数と、アクションの実行順に気を配り、より効果的にアクションを実行しなければなりません。なにせ、4ラウンドで8回しかマーブルアクションを実行することができないのです。
 さらには、マーブルの色にも注意しなければなりません。各ラウンドごとに用意された人物カードのボーナスを得るためには、カードに描かれた組み合わせでマーブルを取らなければならないのです。
 手番数が少ないことから、ボーナスを取れたかどうかの差が相対的に大きくなることはおわかりかと思います。どのアクションを実行するかはもちろんのこと、マーブルの色もまた軽視できないのです。
 しかし、ただ、考えるポイントを増やし、窮屈なだけではありません。他のレーンのアクションを実行できる「模倣」アクションや、マーブルが減ってしまうもののラウンドの最後にマーブルを入れ直した上でアクションを選択する権利を得る「パス」が用意され、プレイヤーはじっくりと自分の戦略と向き合えるように作られているのです。

人物カードにも注目すべし

 各ラウンド、1回ずつ実行することにある「ラビアクション」ももちろん重要です。
 いずれも特殊な効果が用意された、この「ラビアクション」、どのようなアクションが出てくるのか、なんと、引かれたタイル次第という、ランダム要素になっているのです。それも、ラウンドごとに異なるアクションが出てくることになるのです。
 オーソドックスなマーブルアクションに対し、特殊な効果ばかりのラビアクションは、活かすことができれば強力なアクションですが、それだけに選択の難しさもあるのです。

いずれも独特な効果を持つラビアクション

もちろん、ゴーレムの存在感は大!

 ここまで軽く触れてきましたが、タイトルにもなっている「ゴーレム」についても今一度、しっかりと紹介しておきましょう。
 ゲームのセットアップ時、そして、ゲーム中に作られたゴーレムは、ボード上の通りにあるマスに置かれます。
 このゴーレムは、マーブルアクションの「労働」によって働かせることで、各マスに対応したアクションを実行させることができます。
 労働アクションにおけるマーブル数は、そのまま「働かせることが出来る(=アクションを実行することができる)ゴーレムの数」になるため、各プレイヤーに用意されたゴーレム4体すべてをボード上に置いていれば、アクション数にものを言わせることができるようになるのですが、さきに説明した通り、ゴーレムを支配下においておくことは「ゴーレム」において難しいポイントであるため、「ゴーレム」をいたずらに増やすことは危険かもしれません。
 支配下におけるかどうかは、各通りに置かれた助手次第。助手が置かれたマスと同じか、手前までのゴーレムは支配下に置いていると見なされます。助手をより進めているかがすなわちゴーレムへの支配力になるわけです。
 しかし、助手をどれだけ進められるかもアクションの効果に依るところである上に、通常のマーブルアクションでは進めることはできません。限られた機会の中で助手を進め、その上でゴーレムを確実に活用するのは、決して簡単なことではないでしょう。
 さらに、ゴーレムは、プレイヤーに恩恵をもたらすほどに、支配下に置くことも難しいものになっていきます。
 ゴーレムに対応するゴーレムトラックを進めることで、収入として得点を得ることができるようになるのですが、と同時に、ゴーレムはよりボード上を早く進むようになっていきます。そして、それは、支配下に置くのをより難しくすることを意味するのです。

 扱いが難しくとも、大きな力を秘めたゴーレムですが、ゴーレム自信の力を開放することで、さらに強大な存在になっていきます。
 支配に置きやすくなったり、労働をより多く実行する機会を得たりと、開放することで得られる効果はいずれも強力です。どの効果をどのような順番で開放していくかもまた悩ましいものとなるでしょう。

 手に余るようになってしまったゴーレムは、解体することで取り除くことが可能です。
 解体することで得られるボーナスも用意されているため、積極的に解体したほうがいい状況も少なくないでしょう。
 しかし、支配に頭を悩ませつつもゴーレムを置いておいたほうがいいのか、それとも解体し、支配にかかる労力を他に割いたほうがいいのか。
 ここにも悩ましい選択が待っています。

そして最終得点計算へ……パラメーター上げの醍醐味、ここにあり

 こうして4ラウンドを行った後、ゲームは終了となり、最終得点計算へと進みます。
 ゲーム中、さまざまな要素を開放すると同時に、各カテゴリーに対応した「燭台」を獲得することになります。
 カテゴリーごとに、「対応した燭台の数」と「各カテゴリーでの得点に関係する要素(例えば完成させたアーティファクトの数など)」を掛け合わせたものを最終得点計算中に獲得します。
 ゲーム中に進めたり開放した要素が最終得点に直結する仕組みになっていることで、いわゆる「得点行動」を積極的に取らずとも最終結果に繋がるように作られているのは、非常に気持ちのいいポイントです。もちろん、進めること、開放すること自体がとても難しくはあるのわけですが……。
 
 最終得点計算において、「目標カード」も無視できません。
 描かれた条件を達成することができていたかどうかでボーナス点を得ることができるのですが、異なる種類、系統の目標カードを達成していたならば、その種類数に応じて追加ボーナスを獲得できるのも大きなポイントです。
 もし、目標カードを戦略の柱のひとつにするならば、なにかの要素に特化するだけでなく、満遍なくさまざまな要素に注力する必要が出てくるのです。
 ここまで読んできた方なら、それは決して容易いことではないのはおわかりでしょう。

 パラーメーターのひとつひとつ、開放要素のひとつひとつ、そのすべてがゲームの結果に直結しているというのは当たり前のことかもしれません。しかし、この手応えこそがゲームの醍醐味であり、それを存分に味合わせてくれるのは、「ゴーレム」の、いや、パラメーター上げゲームの強みと言えるでしょう。

ルチアーニ&アッキトッカが放つモンスターに真正面からぶつかれ

さまざまな形で用意されたパラメーターと開放要素に、限られた手番数の中、どうアプローチしていくか。
 ただ着実に積み重ねていくだけでも簡単ではないでしょう。
 しかし、「ゴーレム」に用意された各要素は、必要なコストと進めること、開放することで得られるリターンとのバランスや、ゴーレムに見られるような扱いの難しさなど、隅々まで考えられたものになっており、ただアクションを積み重ねるだけの要素には留まりません。
 
 さらには、マーブルの振り分けやラビアクション、書物カードに見られるランダム性にどう対処していくかという点で、臨機応変さも求められることになります。
 もちろん、このランダム性は、リプレイビリティーにも繋がっていることは言うまでもありません。

 そのボリュームと随所に見られるこだわりから「モンスター」と評しましたが、決してややこしいだけのゲームではありません。
 むしろ、ルチアーニとアッキトッカが「世のコアゲーマーをなんとしてでも満足させるぞ」という意気込みのもと、過剰なサービス精神で作られたゲームのように思えるのです。
 ぜひ、彼らの渾身の一作であるだろう「ゴーレム」を真正面から受け止めてみてください。

「ゴーレム」は、一月下旬発売予定です。

【ゲーム紹介】タバヌシ:ウルの建築士たち(Tabannusi: Builders of Ur / David Tascini, David Spada / Board&Dice / 2021)

 シモーネ・ルチアーニと組んで発表した「ツォルキン」、「マルコポーロの旅路」といったタイトルでゲーマーから熱い支持を集め、その後も精力的に作品を発表し続けるデビッド・タッシーニによる2021年新作です。(デビッド・スパダとの共作)

 これまで、タッシーニの作品で見られた「パラメーター上げ」を今作でも中心に据え、ダイスの出目に翻弄されつつのアクション選択と資源獲得、建築競争による陣取りなどを取り入れ、今作もまたゲーム好きを唸らせる一作となっています。

資源と移動……悩ましすぎるダイス選択

 ゲームの中心に据えられたメカニクスは、「ダイス選択」です。
 まず、プレイヤーは各手番において、自分の駒が置かれた区画に用意されたダイスを選び取ることになります。
 このゲームでは、このダイスに大きな二つの役目が割り当てられており、どちらを重視したダイスを選択するか……いや、いずれもおろそかにできないため、そのダイス選択はとても悩ましいものになっているのです。
 
 まず、一つ目の役目は「資源」です。
 「タバヌシ」においても、他のゲームと同様、さまざまなアクションを実行するために資源が要求されることになります。
 しかし、それぞれの区画には、対応した色のダイスしか置かれていません。
 欲しい色の資源があるならば、それを踏まえ、区画を移動する必要があります。

 では、どのように区画を移動するのでしょうか。
 それが、二つ目の役目、「区画の移動」です。
 区画には1~5が割り当てられており、この区画の番号はダイス目に対応しています。ゲーム中、選び取ったダイス目に対応した区画へ移動することになるのです。
 もちろん、この区画は、単に対応したダイスが置かれているだけの場所ではありません。
 区画ごとにアクション(3つか4つ用意されています)と、さまざまなゲームの要素が割り当てられており、どの区画に行って、どのようにアクションを実行し、どう得点へアプローチしていくかをしっかりと見極めなければなりません。

 しかし、当然、ダイスである以上、その目による揺らぎが存在します。
 決算のたびに資源としてダイスを区画へと戻すことになるのですが、その際にダイスは振られ、その目が決定されます。
 狙った通りに資源を獲得し、区画を訪れ、アクションの効果を積み上げていけるか。ダイス目に翻弄されつつも、的確に手を進めなればならないでしょう。

区画内での建築による陣取り……と同時に、これはパラメーター上げへの挑戦的なアプローチだ

 「タバヌシ」における得点へのアプローチでもっとも重要なものは、区画1、2、3での建築競争です。
 それぞれのエリアで建築を行うためには、まず、計画タイルを配置し、区画内に用意されたマス目のどの場所にどの色の建物を建築するかをあらかじめ決める必要があります。
 その後、その計画タイルに基づいて建物を建築、配置することになります。

 建物を建築するために使う計画タイルは、必ずしも自分のものではなくていいというのが、「タバヌシ」の面白く難しいところです。
 建物の建築は、得点へのアプローチで重要であることは先に触れた通りですが、自分の計画タイルを使って他のプレイヤーが建築を行ったとしても、悪いことばかりではありません。
 他のプレイヤーの建築に自分の計画タイルを使われたプレイヤーは、熟練トラックと呼ばれるパラメーターを上げることができるのです。
 この計画タイルと建築の関係により、自分の狙い通りの建築を進めつつ、他のプレイヤーが建築を狙っているところへうまく介入するというプレイが求められることになります。

 各区画の建築可能な場所(マス)は決して多くありません。また、「水域」、「庭園」といった得点へのさらなるアプローチへの足がかりとなるタイルも用意されており、それらを配置することも重要な要素となっています。
 そのため、必然的に陣取り的な駆け引きが繰り広げられることになり、それもまた大いに悩ましいところです。

 計画タイルの配置によってマス目を確保していく際にボーナスが描かれたタイルに配置をしたならば、そのボーナスを得ることができます。
 どのマスに計画タイルを配置するか、得点へのアプローチや陣取りの駆け引きだけでなく、ボーナスも踏まえた配置が求められることになるわけです。

 この計画タイルの配置とその後の建築は、「パラメーター上げ」メカニクスにおける新たなアプローチと言えるかもしれません。
 単にトラックを上げるだけでなく、縦と横、どのように配置を行うか、どのように広げて行くか、極めて自由度の高いパラメーター上げのように思えるのです。
 これまで、数多くのパラメーター上げタイトルを手掛けてきたタッシーニによる挑戦と言ったら大げさでしょうか。

能力アップとジッグラト建築も軽視するべからず

 「タバヌシ」にはもちろん、その他の要素もしっかりと用意されています。
 
 「港」での家の建築や船の獲得は、さらなる勝利点や、アクションのパワーアップをプレイヤーにもたらしてくれます。例えば、ある船を獲得した際には「庭園タイルを置くたびに2勝利点を得る」という能力を得ることができるのです。

 「ジッグラト」の建築を進めるならば、得点計算時にボーナス点をもたらす条件を開放することができます。また、開放した後も同様に建築を進めるならば、
ボーナス点の得点効率を上げることができるため、なんとなく実行するのではなく、自分の戦略に合致した条件であったならば、積極的にジッグラト建築に関わるべきかもしれません。

 こうして、ダイス選択とアクション実行を繰り返し、ある区画からダイスがなくなったならば、その区画での決算を行います。アクションが積極的に行われた区画ほど決算へと近づくわけです。
 決算時に重要な処理が一点あります。決算が行われた区画に対応した資源を手元に持っていたならば、その資源を失うことになります。失うことで、トラック上での前進や、タイルの獲得といった利益を得ることができるのですが、場合によっては戦略に大きく影響が出ることもあるでしょう。
 決算のタイミングを見極めることもまた重要なのです。

「テオティワカン」、「テケン」と異なるタッシーニ流ヘビーユーロ!

 ダイス目に応じたアクション効果の幅とロンデル的なアクション選択、そしてブロック積み上げ要素が特徴的だった「テオティワカン、さまざまなアクションが複雑に絡み合い、解きほぐすかのようなプレイングが新鮮だった「テケン」に続き、タッシーニがBoard&Dice社から発表した「タバヌシ」は、ダイスとパラメーター上げが重要なウエイトを占めつつも、まったく新しいアプローチが見られるタイトルに仕上げられています。
 
 中でも区画内で繰り広げられる建築競争は、陣取り的な駆け引きとあいまって、展開のダイナミックさを感じることもできます。

 2021年の年末年始を代表する一作と言って間違いないでしょう。

「セイミ・イン・ザ・スーパークレイジーワールド」インスパイア元紹介 

 テンデイズゲームズが以前発売した「セイミ・イン・ザ・スーパークレイジーワールド」。
 ライナー・クニツィアによる傑作カードゲーム「ロード・オブ・ザ・リング二つの塔カードゲーム」のリメイク作である「セイミ」ですが、私、タナカマが、「二つの塔」カードゲームが好きすぎるということもあり、「せっかく作るんだから、好きなものをこれでもかとぶち込んで、『俺なら100個買う』ものにするぞ!」と意気込んで作ったのですが、ぶち込み方が過剰だったせいか、ゲーム内容はともなく、アートワーク、テーマは賛否両論、中にはまったく受け付けなかった方もいるようで…。
 その点については、ちょっぴり反省もしているわけですが、せっかくそれだけ熱い思いをぶち込んだので、それらのインスパイア元、元ネタをここでまとめてみようかと思った次第です。
 「デザイナーズノート」とはちょっと違うかもしれませんが、どのようにアイデアを膨らませ、どのようにゲームに落とし込んでいくのかの参考になれば幸いです。

 なお、「セイミ」のアートワークは、イラストレーター、デザイナーの大城聖未さんにお願いをしました。→ホームページ
 こちらのアイデアをしっかりと汲み取ってくれ、最高のアートワークを提供してくれました。
 他にも素敵なイラストを描いているので、ぜひ、上のアドレスにもアクセスしてみてください。

テーマ&設定

  • 奇々怪々(ビデオゲーム)
  • 妖怪道中記(ビデオゲーム)
    子どもが異世界を旅するというジュブナイル的設定の基本は、これらのビデオゲームから。
  • アリス・イン・ワンダーランド(小説、映画)
  • ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(映画)
  • ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド(映画)
    「・」がたくさん入ったタイトルに惹かれるので、いつかやりたいと思っていた。
  • モータルコンバット(ビデオゲーム)
  • ラストハルマゲドン(ビデオゲーム)
  • ハイドライド3(ビデオゲーム)
  • 死亡遊戯(映画)
  • ジャッジドレッド(映画・2012年版)
    さまざまなエンターテインメント作品に登場する「塔」は、非常に優れた設定だと思う。
    さらに「セイミ」は、「二つの塔カードゲーム」のリメイクということで、当初は「異世界を旅してきたセイミが、最終的にたどり着いた塔で、各フロアごとのボスキャラと戦って、元の世界に戻ることを目指す」という設定にした。
    最終的には、その辺りの設定はなくなったのだが、前面には出なくなったものの、私にとっては最後まで舞台は「塔」だった。
  • ブレインデッド(映画)
    「過剰なまでのサービス精神とスプラッター表現」は、この映画がベース。
    映画「ロード・オブ・ザ・リング」の監督ピーター・ジャクソンのデビュー作ということもあり、インスパイア元としてはこれ以上ないものだと思った。
    しかし、過剰なまでのスプラッター表現は、クニツィアに怒られてしまうのだった。
  • 漂流教室(マンガ)
    言うまでもなく、ワイルドカードとして登場する「両親」の元ネタ。時空を超えて主人公を助ける親。そのまま。
  • ウロボロスの偽書(小説)
    「実在の人物が作品中に登場する」というメタな部分の元ネタ。主人公のセイミは、イラストを描いていただいた大城聖未さん本人という設定です。
  • バトルランナー(映画)
    変な敵キャラと続けざまに一対一で戦うという設定に合っている上、「バトルランナー」の敵キャラのユニークさは大いに参考にした
  • 死霊のはらわた(映画)
    言うまでもなく「クレイジーの書」の元ネタは「死者の書」。そのまま。

パッケージ

  • ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘(映画)
  • エドワードランディ(ビデオゲーム)
    「多数のモンスターの右下にそれを見上げる主人公」という構図が好き。
    プラス、「セイミ」では「エドワードランディ」の躍動感を加えたかった。
こうして見てみると割とそのままですね。

モンスター

 このゲームのもう一方の主役であるモンスター。
 わかりやすいゾンビとか騎士、悪魔みたいなものにはしたくないのもあって、こちらもいろいろとぶち込みました。

  • 「ディアブロ」から、ブッチャー(ビデオゲーム)
  • 八仙飯店之人肉饅頭(映画)
    言うまでもなく「スーパークレイジーブッチャー」のインスパイア元。
  • キョンシー(映画)
    言うまでもなく「スーパークレイジーホッピングデッド」のインスパイア元。「キョンシー」の名称が商標的に微妙だったので、改名。
  • テンタクルズ(映画)
    言うまでもなく「スーパークレイジーオクトパス」のインスパイア元。モンスターパニックものとしては他に「グリズリー」、「オルカ」などが候補になった。
  • リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(映画)
    言うまでもなく「スーパークレイジープラント」の元ネタ
  • ブレインデッド(映画)
    ここでも登場「ブレインデッド」。
    「スーパークレイジーナース」の元ネタ。
  • バトルヒーター(映画)
  • バスケットケース(映画)
    無機物がモンスター化したものはどうしても入れたかった。
    コタツが人を襲う「バトルヒーター」のようなシュールさに、「バスケットケース」で見られる、「中から異形のものが覗いている」というシチュエーションのミクスチャー。
  • ブレインデッド(映画)
    ここでも登場「ブレインデッド」。
    「スーパークレイジーナース」の元ネタ。
  • クリスティーン(映画)
    「スーパークレイジーポリスメン」の元ネタ。
    私の中では、「実は車の方が本体」という設定があります。
  • キラートマト(映画)
  • アメリカン・バーガー(映画)
    「スーパークレイジーバーガー」の元ネタ。
    「食べ物」がモンスター化というアイデアは好きなので入れたかった。
    あと、ハンバーガーにそこはかとない狂気みたいなものを感じるので、それとミックス。

 細かいものを入れると、まだまだあるのですが、特徴的なところといえばこの辺りでしょうか。
 興味がありましたら、インスパイア元もチェックしてみてください。