スタッフ神田のゲーム紹介:ニュークレウム 拡張3種

「ニュークレウム」に待望の拡張セットが発売されます。しかも3種! リリースが早い! ちなみに海外ではさらに新拡張が発売されるようです(日本語版の発売は現在未定)。

改めて触れておきますと「ニュークレウム」は、第一次世界大戦前に原子力発電技術が開発された架空の世界で実業家としての成功を目指すゲームです。非対称能力を駆使するパズルチックな拡大再生産要素と電力網拡大を巡る他プレイヤーとの駆け引きが組み合わさって世界的なヒットを飛ばした本作に、今回、ゲームプレイの幅を広げる3種の拡張が追加されます。

この記事ではそれぞれの拡張の特徴や、どのようなゲームの変化が起きるかをご紹介させて頂きます。

◆「オーストラリア」— 新戦略を生む海運システムと資源管理のジレンマ!

「ニュークレウム 拡張:オーストラリア」の目玉要素は、基本の舞台であるザクセンから遠く離れたオーストラリア(及びタスマニア島)を模した新マップとなります。基本ゲームのザクセンに近いオーストリアではなく、全然遠いオーストラリア!(ちなみに基本ゲームの冒頭にフレーバーとして出てくるフリードリヒ・アウグスト2世の在位は1836年から1854年だったそうで、その頃のオーストラリアはというと、まだ国家として成立する前の時代となります。まあ、これは現実世界の話なので、「ニュークレウム」世界線だと技術革新から物事が色々と前倒しに起きている可能性はあります)

さて、この新マップでは新しく海運の要素が加わります。基本ゲームでは完成した鉄道網はプレイヤー共通のネットワークとして機能し、他人の鉄道を使ってウランや石炭を運ぶことができたのですが、新登場する海上交通路では自分が作った海上交通路でしか石炭やウランを運ぶことはできません。

また、基本ゲームの設定では送電線は鉄道に沿って敷設されるため、鉄道網=電線網と抽象化されていたのですが、海上には電線を引くことはできないため、海上交通路はウランや石炭を運べても電気は運べません(史実だと海底での電力系統が実用化されたのは1950年頃だそうで、史実ベースだとあと100年は待つ必要があります)。

海上交通路の特徴をまとめると、

・プレイヤー全員の共有インフラではなく、個人の資産である。
・石炭やウランを運ぶことはできるが、電力を運ぶことはできない。

この2点が既存の鉄道網との大きな違いでしょうか。

そのため、特に本土から離れたタスマニア島の電力事情は悩ましいことになります。というのは、このオーストラリアマップでは一番最初のニュークレウム発電所は必ずタスマニア島に建設されるルールがあるため、タスマニア島は発電するには便利な土地ながら、島の外に電力を持ち出すことができないというメリットとデメリットを併せ持っている土地なのです。

言わば、基本ゲームのプラハのような戦略上の要地…… 手出しするか無視するかで大方針がガラッと変わる重要な土地と言えるでしょう。

また、敷衍すると、内陸部のどの予定地に最初の原発が建つかも重要なポイントとなるので、最初のリチャージの仕掛け方もよりシビアになります。

さて、海上交通路を作るには新規の「ボートの配置アクション」を行う必要があります。「ボートの配置アクション」は通常アクションに加えてプレイできる新登場の特別海運タイルに記されています。

配置コストとしてアクションタイルや労働者が必要だった鉄道と比べると海上交通路のコストは1金と割安ではあります。ただ、各海上交通路上には複数のプレイヤーがボート駒を配置可能で、後乗りする場合、先に置かれているボート駒1つごとに1金の追加の支払いが必要になるため、重要なポイントを先に抑えるのが展開の優位に繋がるのは鉄道と同様です。

また、基本ゲームでプレイヤーがウラン鉱山を開発したようにオーストラリアマップでは炭鉱を開発することができます。自分専用の炭鉱として炭鉱1個あたり1石炭を無料で利用することができます。

オーストラリアマップでも旧来通り石炭の輸入はできるのですが、用意されている石炭輸送車の数が基本と比べて大幅に減っているため石炭主体の発電計画はコスト面の負荷が大きくなっています。そのため、有限のウラン鉱山だけに留まらず、出力こそ低いものの何度も利用できる炭鉱を活用する必要があります。

◆「進歩の宮廷」— 政党の駆け引きと新実験でよりダイナミックなゲーム展開に!

「進歩の宮廷」では、新しく宮廷サイドボードが登場します。この拡張では資本主義、自由思想、共産主義、王制主義の4つの政党が登場し、宮廷サイドボードに手持ちの労働者を政治家駒として送り込む「宮廷アクション」が追加されます。

宮廷アクションを行うことでプレイヤーは政党にちなんだ利益を即時の利益として得ます。例えば資本主義であれば「即時の2金と1金収入」を得ることができ、共産主義であれば「即時の2勝利点と1労働者収入」を得るといった具合です。

さらに国王の日では政党間、政党内でマジョリティ比べを行い、どちらも多数派に属することで勝利点を得ることができます。勝利点は「履行済みの契約ごとに1勝利点」や「解放済みの技術1つごとに1勝利点」といった形で与えられるため、自分の戦略に応じた政党に肩入れすることでより効率的に勝利点を得ることができるのです。

ただ、多数派に属さなければ政党から得点を得ることができず、しかし政党に注力すれば本業が疎かになり……といったジレンマがあるため、自分だけで多数派を目指すよりも他プレイヤーと協力して与党を狙うような、ラクして実を取るムーブが重要になります。こうした政党にまつわるゲーム力学から基本ゲームよりもインタラクションは色濃さを増しています。

また、1度得点に絡んだ政治家駒は宮廷を離れて労働者駒として手元に戻ってくるため、ゲームの進展に伴って優位な政党はコロコロと移り変わっていきます。うまく勝ち馬に乗ることができれば労せずして勝利点を稼ぐこともできるので、政局の潮目を見極める大局観も重要になります。

さらに「進歩の宮廷」では実験Eと実験Fの2種類が登場します。これで基本ゲームの4種類の実験と合わせて6種類の実験の組み合わせを楽しむことができるようになりました。実験Eは宮廷アクションに追加の利益をもたらす宮廷特化型タイプ、実験Fは専用の「連鎖タイル」を利用できる特殊タイプの実験となります。

また、「オーストラリア」「進歩の宮廷」各拡張では上級者向けの選択ルールとしてゲーム開始時に実験を競りで選択するルールが用意されています。勝利点を原資として競りを行うので、プランニングがより重要になることでしょう。

◆「後援者セット」— 勝利点を賭けた一手が戦局を変える!

「ニュークレウム:後援者セット」は上述の2つとは異なり、カードのみのミニ拡張となります。この拡張により各プレイヤーに後援者カードを得て、ゲーム中1回だけ使える後援者能力が使用できるようになります。

各後援者はコストとして勝利点を支払うことで様々な効果を得ることができます。ゲーム中1度限りという条件もあいまってゲームを劇的に動かすほどの力はありませんが、「あと1金あったらメチャクチャうまく回るのになあ……!」というリソースマネジメントゲームあるあるな状況を打開する一手にもなりえるでしょう。

「ニュークレウム」は拡大再生産のゲームなので、基本的には後援者カードをより早く使うことが優位に繋がります。リチャージによる勝利点収入や銀の契約タイルからの勝利点など、序盤では軽視されがちだった要素にスポットが当たるため、収入の最適なバランスが少し変化することになるでしょう(「進歩の宮廷」と一緒に使うと即時の勝利点を得られる共産主義政党の価値が上がるかも)。

また、ソロモードでは対戦相手となるNPCのバロンも後援者カードを駆使して電力網を広げてきます。より手強い対戦相手を求めるソロプレイ好きにもおススメの内容と言えるでしょう。

◆新戦略を生む3つの拡張! どれを選ぶ? どれがおススメ?

以上、「ニュークレウム」の3つの拡張セットについてご紹介させて頂きました。

それぞれの特徴を簡潔に述べるならば、
・ルール負荷は基本とさほど変わらず新マップで新戦略を楽しめる「オーストラリア」
・宮廷アクションと2種の新規実験の追加でより駆け引きが深化する「進歩の宮廷」
・拡大再生産の潤滑油としてゲームに彩りを添える「後援者セット」
といった塩梅でしょうか。

どれもゲームの幅を広げる内容ではありますが、個人的におススメなのは、新しい実験が追加される「進歩の宮廷」でしょうか。プレイヤーごとの非対称な能力をいかに使いこなすかが問われるゲームが好きなので対戦のバリエーションが増えるこの内容は外せないなと思います。

一方で「ニュークレウム」は元からしっかりとインタラクションがあるゲームなので、インタラクションがこれ以上増えるのはちょっとバチバチすぎるかなという気持ちもあり(これはどちらかと言えばぼくがソロプレイ寄りのゲームが好きな気質なせいもあります)、そういう意味では実際に遊んでみて肌に合うのは「オーストラリア」なのかなという気もします。

また、これら3種の拡張は全部を組み合わせて遊ぶこともできます。基本ゲームからの変化量は相当なものとなりますが、元から骨組みがしっかりしているゲームなので、違和感なくプレイできるのではないかと思います。色々な組み合わせでより深く「ニュークレウム」を楽しんで貰えれば幸いです。

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