【ゲームプレビュー】レス・アルカナ:拡張2 力の真珠

 トム・レーマンの人気シリーズ「レス・アルカナ」、二つ目の拡張セットです。

 大きな拡張要素としては2点あります。
 ひとつは、タイトルにもある新しいエッセンス「真珠」、もうひとつは勝利条件が「13点」に引き上げられるということです。

 「真珠」は、「真珠」として扱われるほかに、自分がアクションを行うタイミングで「黄金1個」か「(黄金と真珠以外の)エッセンス2個」へと変換することが可能という、とても強力なエッセンスなのです。
 このことにより、ゲーム中に得た「真珠」をその後の展開に応じてどうように使用するのか、という選択がプレイヤーに求められることになります。
 着実に手を進めるために1個ずつ使うのか、タイミングを見極めここぞという爆発力に繋げるのか―「真珠」をどう活かすかがプレイングのカギとなるのは間違いないでしょう。

 勝利条件が「10点」から「13点」に引き上げられたことも大きな変化です。
 これまでの「レス・アルカナ」が、初めてプレイする前のイメージをはるかに越える「鋭さ」を持ったゲームであることは、この記事を読んでいる人なら、よくおわかりかと思います。
 超高効率なシナジーを持ったエンジン/タブローを作ることが出来たならば、次のラウンドでは勝敗が決してしまう―この鋭さは「レス・アルカナ」の大きな魅力である一方で、自分で戦略を組み立て、じっくりと手を進めていくという点においてはやや物足りなさがあったことは否めないところです。
 今回、勝利条件が「13点」に引き上げられたことで、カード選び(ドラフト採用時)とエンジン構築の面白さに、さらには手を進めていく面白さも加えられたと言っていいでしょう。
 新たに加わった「真珠」のポテンシャルと、それをどう活かすかの応用力が求めらることと、この「13点」へ引き上げられたことはとても相性がよく、「面白さのシナジー効果」を生み出しており、ファンであるほどにその違いを感じられるのではないでしょうか。

 もちろん、力ある場所、アーティファクト、マジックアイテム、メイジカード、モニュメントカードも追加されます。

 ファン必携の拡張セット「力の真珠」は、10月9日発売予定です。

【ゲームプレビュー】パックス・パミール:第2版

 まもなくの発売を予定しているタイトルを、詳細な紹介に先駆けて簡単にお伝えする「ゲームプレビュー」。今回は、「パックス・パミール:第2版」です。

 「パックス・パミール:第2版」は、日本でも大きな話題となった「ルート」の作者、Cole Wehrleによるアフガニスタンの歴史的背景をテーマに据えた本格的な戦略ゲームです。

 プレイヤーは、アフガニスタンにおける有力者となり、「グレート・ゲーム」と呼ばれる19世紀から20世紀にかけて英露両国、そしてアフガニスタンに権力者によるアフガニスタンの争奪抗争を通じ、自らの影響力を高めることを目指します。

 ゲームは、ルールブック冒頭でも触れられているように「タブロービルド」と呼ばれる「カードを獲得し自分の場へプレイすることで、カード効果を得て自らを成長させ、より強力な手を打っていく」ことが主となるゲームシステムです。
 この「タブロービルド」は、「エンジンビルド」と非常に近く、同義の言葉として扱われることもありますが、「パックス・パミール」においては、拡大再生産、リソースの再利用といった効果を持つカードはなく、「エンジンビルド」的な側面は薄くなっています。
 代わりに、争奪抗争をテーマとしているだけに、ボード上への戦略的アプローチの選択肢を増やすことや、アクションの強さに関わってくることになります。

 この「パックス・パミール」のもっとも重要、かつ、面白さの元となっているのが、プレイヤー自らがイギリスやロシア、アフガニスタンの権力者になるわけではなく、あくまで有力者の一人として、それぞれの勢力の力を高めていくよう立ち回ることで、得点に繋げていくという点です。
 ボード上では、実際にイギリス、ロシア、アフガニスタンの権力者の駒が展開され、激しく戦いが繰り広げられるのですが、その結果、得点を得られるのは、「影響力のもっとも高い勢力(=得点獲得の権利が発生した勢力)と同盟を組んでいたプレイヤー」なのです。
 そのため、ある勢力と二人、三人のプレイヤーが同盟を組んでいたのであれば、それぞれのプレイヤーの得点機会となるわけです。
 加えて、この同盟関係はゲーム中に変えることもできます。ゲーム展開に応じ、どこと同盟を結ぶのか、大きな決断を迫られることになるかもしれません。

 一方で、ボード上には、プレイヤー自らの駒が置かれることもあります。もちろん、自らの駒がゲーム内において大きな影響があることは言うまでもありません。
 
 カードを獲得しプレイすることでアクションの質や効果を高め、自分の影響力を高めつつ、他の有力者の動向を見据えながら、同盟先を見定め、それら同盟の力を高めるよう、手を打っていく。
 この多層構造が「パックス・パミール」の魅力です。
 
 展開によってはサドンデス勝ちとなることもあり、ゲーム中は一瞬たりとも気が抜けません。
 多層構造かつ、緊張感の高いゲーム展開を、このクラスのゲームとしてはスマートなルールで見事に作り上げています。

 細かいフレーバーも丁寧に日本語化した美麗なカードを含んだ「パックス・パミール:第2版」は、10月下旬発売予定です。

 さらなる詳細なゲーム紹介は、発売の前後にお送りいたします。

※「グレート・ゲーム」の背景となっている英露両国のアジア進出や、アフガニスタンの歴史等を「ゲーム」のテーマとして扱うことの賛否はあるかもしれません。ルールブック巻末でも触れられている通り、デザイナーは真摯に取り組んでいます。

※発売後、この日本語版の売上の一部は、アフガニスタン復興のために寄付されます。