テンデイズゲームズ店長のタナカマです。
先日、テンデイズゲームズスタッフのたかたくんと「2025年に、もっとも不遇だった(テンデイズゲームズの)タイトルは何か?」みたいな話になりまして。
そして、それは「ゴールデンカップ」だろう、と。ここで言う「不遇」とは、「面白さ、魅力が伝わり切らなかった」という「ゲームとして」の視点もあれば、「売れ行きが芳しくなかった」という「商品として」の視点もあります。「面白さ、魅力が伝わらなかったから売れ行きに結びつかなかった」ということもありますし、逆に「あまり多くの人に手に取ってもらえなかったから、魅力が広がらなかった」ということもあるでしょう。 (そして、これはもちろん、私たちの努力が至らなかったから故の部分も多々あるかと思います)
そんなところから、今一度、「ゴールデンカップ」をオススメすべく、この記事を書くことにしました。
いろいろなポイントについて書くにあたり、まず、前提として私自身が「ゴールデンカップ」を大好きだ、ということを強調しておきたいと思います。
「ゴールデンカップ」が好きだという人が一人でも増えたらいいなあ。

どんなゲーム?
まず、最初に触れるべきは、一番重要な「どんなゲーム?」というところでしょう。
「ゴールデンカップ」は、ファンタジー世界で行われる架空のスポーツをテーマとしたチーム運営のゲームです。
プレイヤーは、チームの運営責任者となり、(僅かな)収入をもとにした予算の中で選手をスカウト、トレーニングし、スタジアムの拡張やスカウト陣の充実を図りながら、チームを強化し、試合に臨み、最終的な優勝を目指します。
各ラウンド、チーム運営のフェイズを行った後、1vs1の試合フェイズで他プレイヤーと試合を行い、次のラウンドへ―という流れを繰り返し、最後に上位2チームによる決勝戦を行い、その勝者が最終的な勝者になります。
チームの強化は、それぞれ固有の能力を持った選手の雇用と、試合に用いるトークンの強化が中心となります。
固有の能力を持った選手の雇用は、言わずもがな、攻撃だったり守備的だったり、高い人気を誇っていたりという特性を踏まえ、また、選手間のシナジーも考慮し、行うことになります。スカウト陣が見つけてくる=デッキからドローされる選手からどの選手をピックすべきかがカギとなるのは言うまでもありません。
トレーニングによるトークンの強化は、チーム力そのものの底上げそのものです。試合に用いる攻撃、もしくは防御に用いるトークンの数字を上げたり、トークンの枚数を増やすことになります。
チームの強化を図った上で行われる試合は、変則的なバッグドローです。
対戦を行うチーム、それぞれのトークンを一つの袋へと入れ、それをランダムに引くことで試合は進んでいきます。
攻撃トークンと防御トークン、それぞれがどのタイミングで引かれるかによって、防御の態勢が整わない中で一方的な攻撃が立て続けに行われたり、細かい防御で嫌らしく攻撃をいなし続けたり―実際にそれぞれがゲームの中で具体的に描かれるわけではないのですが、そのように見えてくる、感じられるのが楽しいところです。
そして、ここでも選手の能力が効いてくることになります。トークンを引いて攻撃判定が通ったタイミングで、実際にそれがゴールに繋がったかどうかをダイスで判定することになります。せっかくの得点チャンス、決定力の高い選手がいれば、非常に心強いでしょう。
それぞれのチームのトークンとは別に用意されている時間進行を表すトークンがどう引かれるかによって、チームが本来持つポテンシャルを活かせないまま試合終了になることもあり、熱くさせてくれるポイントです。
そのほか、スタジアムを改修することで集客を増やし収入を増やすことや、スカウト陣を強化することでスカウトの際にカードを引くデッキのレベルを上げることもできます。
チームビルドの面白さと、試合中に感じる興奮を十二分に味わうことの出来る一作だと思うのです。
実際のところ、評価はどうなの?
そんな「ゴールデンカップ」、いわゆる「ユーザーによる評価」はどうなのでしょうか?
世界最大のボードゲームデータベースサイト「BoardGameGeek」におけるレーティング(評価点)は6.5。BoardGameGeekが評価の目安としている点数としては決して低くはないのですが、ここ数年の作品が高めの評価点になりやすい傾向からすると、それほど評価されているわけではありません。
好意的なコメントについては、主に私が感じることと重なる部分が大きいため、あとから魅力して書くこととして、ここでは割愛して、否定的なコメントとして目立つのは、「テンポが悪い」、「運の要素が強すぎる」、「チームビルドが完結せず、中途半端で終わってしまう」、「チャレンジャーズの方が優れている」というものでしょうか。日本でも否定的な感想としては、おおよそ、同様かと思います。
「テンポが悪い」という点については、まさにその通りで、私も大いにうなずくしかありません。
チームの運営やチーム力の強化といった点を盛り込んだがゆえ、多くのユーザーにとって一番の魅力となるであろう「選手の雇用~試合」というところを味わうには、それ以外の部分のウエイトが大きすぎるように思います。もちろん、盛り込まれた要素によってゲームの幅は広がっているのは間違いないのですが、広がり具合の割りに、失ったものが大きすぎるのではないでしょうか。
また、トークン類の管理などを煩雑に感じること、人も多いのではないでしょうか。試合においても、トークンを引いて、結果の確認を行い、ゴール判定という流れもいまいちスマートではありません(古くさいゆえに、その楽しさがわかりやすいという利点はあります)。
もう少し軽快に遊べる作りであれば、その評価は一変していたかもしれない、と思うくらいには、大きな欠点かと思います。
「運の要素が強すぎる」という点については、「ゴールデンカップ」が目指した楽しさが、まさにそこにあるように思うため、ここでは触れずに、魅力として書きたいと思います。
「チームビルドが完結せず、中途半端で終わってしまう」という点は、そうとも言えるし、そうでないとも言える、というところです。
収入の増加やスカウトの強化と選手のドロー、その成長曲線や機会の数は、私もやや歪つで少ないように感じるところはあります。とはいえ、それぞれを自由に行えないからこそ、どの部分にフォーカスを当てるか、そしてその順番は、といった点でジレンマを生んでいるのは間違いないですし、ゲーム終了時にはそれなりにチームとしては完成した手応えを感じるので、「ゲーム終了時がすなわちチームのゴール」と考えれば納得はできるのですが、せっかくの自分のチームでもっと試合をしてみたいというのが多くの人の思うところではないでしょうか。ちょっとドライ過ぎる気がします(笑)。
「チャレンジャーズの方が優れている」という点は、難しいところです。
私は「チャレンジャーズ」も大好きで、「チャレンジャーズ」は数年に一作級のゲームだと思います。コンセプトが近いという点で比較は免れないところですが、とはいえ、「チャレンジャーズ」は相手が悪すぎます。それは認めざるをえません。
その一方で、まったく違う面白さや興奮、要素を打ち出したり、盛り込んだゲームである以上、「ゴールデンカップ」ならではの部分を感じてほしい気持ちもあります。
では、「ゴールデンカップ」の魅力とは
さて、お待たせしました。いよいよ本題です。
ここからは、「ゴールデンカップ」の魅力を書いていきたいと思います。
>展開が読めないからこその試合の興奮!
さきに触れた否定的な感想にみられる「運の要素が強すぎる」という点ですが、私は逆に大きな魅力に感じています。
このゲームにおいて、プレイヤーはあくまで運営者であって、選手ではありません。
運営者として行うことは、チームの強さを出来る限り高めること。チームを試合に送り出したら、あとは見守るだけ。
そして、その結果も、単なる答え合わせではありません。
勝負のアヤによって、せっかくのスター選手であってもゴールが決めきれないことや、どうにもかみ合わなかった選手による値千金となる一点、「あのトークンさえ引けば……」という中でじりじりとただ過ぎていく時間―一方では早く終わって欲しいと願っているはず―ということがいくらでも起きるのです。
これらを生み出す装置として、「運(ランダム性)」がとてもよく作用しているように思います。
予期せぬゴールが生む逆転劇や意外な選手の大活躍によって得られる興奮は、「運」のウエイトが大きいゆえの大きな魅力だと思います。
>ままならないチーム作り
「チャレンジャーズ」との比較の中で(運の要素やその機会の少なさと相まって)「狙ったチームビルドができない」という点を上げる人もいました。
私は「ゴールデンカップ」は、シリアスに勝ちを求めるゲームというよりは、ままならない過程に一喜一憂しつつチームの行く末を見守るという流れを味わうゲームだと思っています。
それは試合においても当てはまりますが、ここではチームビルドの観点から書いてみたいと思います。
「ゴールデンカップ」では、スカウトによる選手獲得(選定)の機会は非常に限られています。
チームにフィットした選手が引ければ最高ですが、その確率は低いように思います。ですが、引けなかったとして、決してそれはネガティブなものではなく、例えば、引いてきたどちらも「採点すると50点」の選手の中でどの選手を採用すべきか、「最高」でないからこその選択の妙もあるのではないでしょうか。さらに、その選手が活躍でもしたら……。
もちろん、確率が低いからこそ、まさに狙った通りの選手を獲得できたときの喜びは格別です。
一方、「チャレンジャーズ」は、自分のデッキの質を高めていく面白さが重視されているように思います。そのためのバランス調整が図られていることは言うまでもなく、だからこそ、(程度の差はあれど)「狙う」ことができるようになっているのではないでしょうか。
また、このことにより、チームビルドの幅を生み出すことにも繋がっているように思います。
狙い通りの選手ではないからこそ、自分では思いもしなかったシナジーが生まれることもあるのです。
意外な選手の大活躍といった興奮、期待のメジャー級選手がお荷物となってしまったときのガッカリ感といったものを「ドラマ」として素直に大いに楽しんでもらえれば、納得していただける人も多いのではないでしょうか。
これらの魅力については、前述のBoardGameGeekでの高評価のコメントでも触れられているのがよく見られます。
「強さ」や「シナジー」を追い、その勝敗の点だけでなく、それまでの過程をどう見るか、また、勝敗においてもシステムがどのように作用しての勝敗かというよりも展開の機微や「らしさ」に楽しさを見出すことが出来たなら、とても楽しいゲームになるということだと思います。
「ゴールデンカップ」をこう楽しんでほしい!
「ゴールデンカップ」は、イタリアを代表するゲームデザイナー、シモーネ・ルチアーニが関わっている作品ではありますが、その作りと面白さの本質的なところは、非常にファミリーゲーム、パーティーゲームのようなゲームです。ファンの期待との差が大きかったことも高い評価とならなかった一因だと思います。
私自身も、「ゴールデンカップ」の作者が想定するユーザーについては、なかなか自分の中で確信に至らず、直接、ルチアーニに訊ねたほどです。そして、ルチアーニの答えは、「試合を見守る時のスリル、得点の時の興奮をファミリ―で味わってほしくて作った」というニュアンスのものでした。
私たちの設定した価格が為替の影響もあり、ファミリーやパーティーゲームライクに気軽に楽しめるものを探している方へ勧めにくい価格だったことも広がらなかった要因だと思います。
しかし、「ゴールデンカップ」は、見逃すにはあまりに惜しい、ユニークな一作であることには違いありません。
袋から引かれるトークン、確率通りに出ないサイコロの目、山から引かれるまだ見ぬ選手―「運」による余白があるからこそ生まれるドラマは、勝者にとっても敗者にとっても味わい深いものになるはずです。
得点を決めたら、ぜひ、大げさにガッツポーズを。
最高の選手を引いたら、ぜひ、自慢げに。
ゲームが終わったら、さも解っているかのように、お互いのチーム分析を。
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