プレイ人数:2人
プレイ時間:20分~30分
対象年齢:12歳~
◆単体の2人用ゲームとしても、拡張セットとしても利用できる
「レス・アルカナ デュオ」は、Thomas Lehmannの人気カードゲーム「レス・アルカナ」の2人用スピンオフタイトルです。このゲームはは単体で遊べるスタンドアローンゲームであると同時に、「レス・アルカナ」に新たなカードを追加する拡張セットでもあります。
そのため、すでに「レス・アルカナ」を遊んでいて、さらに遊びの幅を広げたい方にも、これまで「レス・アルカナ」を遊んだことがないけれど、この世界に興味があるという方にもどちらにもおススメのゲームと言えるでしょう。元々「レス・アルカナ」は2人で遊んでも楽しいゲームなので2人専用になっても魅力はそのままですし、お値段的にもお手頃なので「レス・アルカナ」シリーズの最初の一歩としてこちらから入るのも面白い選択だと思います。
箱はコンパクトながら、しっかりとしたインレイもついていてプロダクトとしての満足感が高い一品です。
◆様々なカードを読み解き&使いこなすエンジンビルドの魅力満載
「レス・アルカナ デュオ」は、内容物やメカニクスこそ絞られていますが、ゲーム内容は「レス・アルカナ」そのものです。2人用の特別ルールなどもないので、「レス・アルカナ デュオ」から「レス・アルカナ」への移行はスムーズに行くことでしょう。
「レス・アルカナ」において、プレイヤーは特殊な能力を持つメイジカード1枚と、これまた様々な能力を持つアーティファクトカード8枚のデックを持ってゲームを始めます。手持ちのメイジとアーティファクトを活用することで、様々なリソースを集め、より早く10点に到達することがゲームの目的です。
通常は高級なリソース「黄金」で購入することができるモニュメントカードがメインの得点源となりますが、他にもカード同士のシナジーによって様々な形で得点を稼ぐことができます。
こうしたカード効果を活用する多くのゲームは、ゲームを通して追加のカードを獲得してデックなどを強化していくものが多いのですが、「レス・アルカナ」は最初に手にした8枚のアーティファクトカードだけでゲームをやりきる点が大きな特徴です。使えるカードは少枚数ですが、それらのカードを全て使い切らずに終わるゲームも珍しくはありません。
「レス・アルカナ」ではコストを支払ってプレイしたカードは場に残り、永続的にその効果を利用することができます。そのため、デック構築ゲームのような即時効果を積み重ねていくタイプのゲームではなく、カード同士のシナジーによって巨大なリソースを得るように場を整えていくゲームと言えます。構造としては、建物を立てて、その効果を活用するような拡大再生産のゲームに近いです。
作者のThomas Lehmannと言えば「レースフォーザギャラクシー(2007)」や「王への請願(2006)」などのデザイナーとしてもよく知られるのですが、どちらのゲームでもカードを自分の場に加えることで出力を上げてより大きなリターンを目指すエンジンビルド的、拡大再生産的な要素を持つゲームです。「レス・アルカナ」はそんな氏の得意なエンジンビルドをよりコンパクトに実現したゲームと言えます。
その上で、過去の諸作が全員共通の山札からカードを引いたりダイスを振ったりと、ランダム性と向き合って戦略を都度修正していくアドリブ性の強い作りなのに対して、「レス・アルカナ」は最初に手にした8枚のアーティファクトカードを元に戦略を組み立てる点がよりソリッドで個人主義的なゲームです。他人に奪われることのない自分だけの持ち物である8枚のアーティファクトカードをどう組み合わせ、どう活かしていくかがこのゲームの要点となります。
リソースが少なくカードがなかなか出せない序盤は静かな動きのゲームなのですが、終盤になってカードが揃うとそれらのシナジーが爆発してゲームが一気に動き出します。この展開のメリハリ、インフレ感は驚異的で、「レス・アルカナ」の大きな華と言えましょう。
一度ゲームを遊んでみると、一見して何に使うかわからないようなカードでも組み合わせによって大きなシナジーを得られることがわかります。様々なカードの効果を読み解き、それらを使いこなす楽しさはこの手のカードゲームのキモと言える部分ですが、「レス・アルカナ」はそれが存分に味わえるゲームと言えます。
◆特徴的なカードが多数新登場
「レス・アルカナ デュオ」では新規のアーティファクトカードが16枚、メイジカードが4枚、モニュメントカードが7枚、力ある場所が2枚登場します。これらのカードやタイルは基本ゲームに混ぜて拡張セットとして利用することができます。
ここではそのうちいくつかをご紹介します。
新規のアーティファクトカード「黄金の鍵」は、プレイヤー1人の持っているモニュメントの数だけ黄金を生み出す効果を持ちます。「プレイヤー1人の」という表記がミソで、自分でも他プレイヤーでも対象に取ることができます。ゲーム序盤では置物にしかならないのですが、モニュメントの建設ラッシュが始まる頃には強烈な効果を発揮するフィニッシャーとして働くでしょう
「白鳥」は、平穏エッセンスと+Xエッセンスのセットを置くと、追加のXエッセンスが貰えるカード。初期投資は重めですが、1ラウンドで何度も起動することができるので、回り始めてしまえば莫大なリソースを生み出します。
「レス・アルカナ デュオ」単体だと特定のエッセンスを大量に生み出すカードが希少なので、そうした尖った戦略を狙う場合の選択肢に入るでしょう。
「霊知の書」は、2つの効果を持ち、デックからカードを1枚引くか、捨て札1枚を手札に入れます。コストは軽く、効果はその後の選択肢を大幅に増やすのでプレイして損のないカードと言えましょう。こういうカードが最初にプレイできると安心感があるんですよね
この他にも「レス・アルカナ デュオ」には魅力的なカードが数多く登場します。「レス・アルカナ デュオ」を遊んでみて、より広いカードプールで、より深く遊んでみたいと思ったら「レス・アルカナ」に手を伸ばしてみてもよいでしょう。
「レス・アルカナ」は、すでに拡張が2種発売されている人気シリーズです。この「レス・アルカナ デュオ」はそんな奥深い世界に足を踏み入れる最初の一歩としても、これまで「レス・アルカナ」を楽しんできた方への新たな挑戦としても、最適な一作となりえるでしょう。様々なカードを駆使して巨大なエンジンを作り上げるコンボの楽しさをぜひ本作で味わってみてください。