テンデイズゲームズブログ 
現在でも非常に高い人気を誇る2012年発売の「テラミスティカ」が、本作が初作品となるデザイナーAndreas Faul氏と老舗ドイツのメーカーKOSMOSがタッグを組んでテラミスティカユニバース作品として発売された話題作の日本語版です。
各プレイヤーは1つの勢力を担当し、自身の勢力の版図を拡大しましょう。非対称な能力を有効に使用し、新たな地形に入植し、建物を建設/改築する。ラウンド毎、ゲーム毎に変わる目標で多くの得点を獲得し、勝利を目指しましょう。
手番では、地形の変換、建物の建設/改築などの7種類のアクションの内1つを行います。さまざまなアクションを繰り返し行い、最も多くの得点を獲得することを目指します。
今回はゲームの内容の紹介というより、製品自体にフォーカスした紹介記事です。「テラミスティカ」をご存じの方に向けた少し穿った視点で作品を掘り下げております。細かな要素、システムというよりもう少し広い視点での記事です。ゲーム紹介はこちらです。
今回発売されたテラノヴァは、テラミスティカのスピンオフ作品。テラミスティカユニバースの作品のうちの1つとの位置付け。言わずと知れた人気作「テラミスティカ」にはファンも多く、当然賛否が多く出ることはメーカー※も作者も想像していたであろう。しかし、そのような作品に手を加え、高い熱量を持って出版することは、ボードゲーム業界において非常に挑戦的であると感じる。「テラノヴァ」の良し悪しは一旦別として、昨今の暗にアートワークを変えたリメイク作や、カード/ダイスに差し替えただけの派生作としてではなく、ゲームデザインにしっかりと向き合い、バランスの調整を行い、新たなゲームとして出版することに大変意義深い面があると感じる。と同時に時代を築いてきた名作に自ら挑んでいくそんなメーカーの男気のともとれるボードゲームへの熱意も伺えます。
※出版元はKOSMOSですが、開発はテラミスティカの発売元Feuerland Spieleが行っております。（引用元）
では実際どのようにスリム化しているかというと、地形が7種類から5種類（合わせて勢力が14種類から10種類）に、リソースは3種類から1種類に、宗教トラックは不採用となっている。これによりBGGのWeightは3.97から2.92に、ラウンド数も6から5に、プレイ時間も最大150分から最大90分にコンパクトになっている。一方、プレイ最大人数は5人から4人に減っている。ルール量も圧縮され、初プレイの遊びやすさは各段に向上している。様々な要素を削り、重量級ゲームが見事に中量級ゲームに変貌している。ただ決して要素を削っただけでなく、面白さも損なわないようリデザインされ、テラミスティカとは別のゲームに成っている。「テラミスティカ」と「ガイアプロジェクト」の関係のように、「テラミスティカ」が「テラノヴァ」に置き換わるわけではない（逆もしかり）。
「テラノヴァ」をプレイすることで、同時にテラミスティカのいくつかのコアのシステムが非常に強固であると再認識できる。同じユニバースの作品群「テラミスティカ」「テラノヴァ」「ガイアプロジェクト」「テラミスティカ：革新の時代（秋発売予定）」を横断的に分析してみると面白そう。
個人的な印象でしかなく、実際には未プレイなので、確証はないのですが、実は2人、もしくは3人がプレイに適しているのでは？と個人的に感じています。というのも、テラミスカは、5人までプレイできるが、マップは固定のため、少数人数でやると、マップが広くなりすぎてしまう。一方のテラノヴァは、上限の人数が4人であり、さらにゲームボードの裏面は2人プレイ用となっている。通常の面でも遊べるが、ゲームに慣れた2人のプレイヤーなら、裏面のより歯ごたえのある選択ルールが推奨されている。選択ルールでは、ゲームの途中で、ノンプレイヤーの家駒が一定のルールに従って建設される。これをうまく利用して、陣取りに生かしていくのか、プレイヤーの手腕が試されるのか。
改めて振り返ってみると、テラノヴァはテラミスティカのいくつかある特徴の一つ『他プレイヤーとの絡み・緩い協力関係と陣取り』がうまく発生するようデザインされている。陣取りにより強くフォーカスするよう、意図的に他の要素をそぎ落としているデザインといえるかもしれません。少数人でもバッチリ楽しめるテラミスティカ的陣取りを目指しているのかも。
テラミスカ好きにも、テラミスティカ未経験者（敷居が高いと感じている方）にも、広くプレイしてほしい作品です。
現在輸送手配中で、8月上旬発売予定です。発売まで楽しみにお待ちください。