スタッフ神田のゲーム紹介:マイシェルフィー ダイスゲーム

プレイ人数:2~4人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:25分

「マイシェルフィー ダイスゲーム」は、様々なコレクションを棚に収める「マイシェルフィー(2022)」のテーマ性を引き継いだ簡単で遊びやすいロールアンドライトゲームです。

元ネタの「マイシェルフィー」はPhil Walker-HardingとMatthew Dunstanによる共作なのに対して、「マイシェルフィー ダイスゲーム」は「バラージ」「ロレンツォ・イル・マニーフィコ」などで知られるSimone Lucianiのデザインとなります。そこからも原版とは一味違う内容だぞという空気感が伺えるでしょうか。

どちらかと言えば、Lucianiの過去作「Penk!」の系譜とも言えるこのゲーム、どのようなゲームなのかをご紹介したいと思います。

いわゆる紙ペンゲームですが、描き込むのは用紙ではなく、PP加工されたボードです。

個人ボードは5段5列の25スペースに様々なアイテムが収納された本棚です。各スペースにはチェックを入れるために必要なダイスの数と、そこから得られる得点が記されています。

各手番でプレイヤーはダイスを6個振ります。出目が気に入らない場合、2回まで振り直すことができます。

こうして得た最終的なダイスの組み合わせから対応するアイテムにチェックを入れます。基本的にはより多くのダイス目が必要なアイテムほど達成が難しいため、高得点が設定されています。

また、ダイス目はアイテムに対応した5種のほか、オールマイティとなるジョーカーの出目もあります。

先述の通り、なるべく出目を1つのアイテムに集中させた方が効率的なので、ジョーカーの出目はありがたい存在なのですが、「1つの組み合わせでジョーカーは1個しか使うことができない」「ジョーカーは単独では使用することができない」という弱点もあり、ジョーカーばかり出すぎるとそれはそれで困る場面もあったりします。

チェックが終わったら、左隣の人にダイスを渡して手番を交代します。これをゲーム終了まで繰り返すだけ…… とまあ、流れは実にシンプルなゲームなのですが、シンプルなだけに終わらない気の利いた工夫がこのゲームには2つ仕掛けられています。

1つ目の工夫は得点計算の仕組みです。各アイテムはチェックを入れれば即座に得点できるかと言えばさにあらず。このゲームでは各列、各段のそれぞれで得点計算を行うのですが、そこで3つ以上のアイテムがチェックできていない段/列は得点の対象外になってしまうのです!

こちらの例ではトロフィーの段では2つしかチェックが入っていないので、チェックを入れたものの1点と3点のトロフィーから得点を得ることができません。

このルールがあるため、どの段/列の得点化を目指すべきか、プレイヤーには選択と集中が求められます。特に高得点が得られる8点の列は達成がハイリスク・ハイリターンと言えるでしょう。

このように段/列で3つ以上のチェックができればそのアイテムから得点可能です。

2つ目の工夫は「アイテムの削除」です。いずれかのプレイヤーが棚の1段か1列を埋めきった場合、他プレイヤーは即座に同じ1段か1列に×印をつけてアイテムを削除しなければなりません!

このルールが先ほどの得点計算のルールと噛み合って、このゲームを手強いものにしています。チェックを2つつけてリーチをかけた段/列を削除されてしまったとしたら損害は甚大です。そのため、自分の手元だけではなく、他人の進み具合も注視する必要があります。

また、いずれかのプレイヤーの2つの段が全部埋まった場合(チェックされたか削除された場合)、ゲームの終了トリガーが引かれるため、思っている以上にゲームの決着は早いです。

アイテムの削除が予期せぬゲーム終了を引き起こすこともあるため、早め早めに得点条件の達成を心掛けるべきではあります。しかし、同時にリスクを取らなければ勝ち切ることは難しいため、どの程度のリスクを冒し、どの程度のリターンを見込むかの見極めが勝敗のカギになるでしょう。

ルールはこれ以上ないというほどにシンプルなゲームです。ですが、実際に遊んでみると歯応えのあるジレンマが奥底に込められたゲームであることがヒシヒシと感じられます。

必要なのは度胸と計算高さ。小箱に詰められた勝負の楽しさをぜひ味わって貰えればと思います。

ちなみに箱は小さくマグネットで開閉し、内容物は専用インレイで綺麗に収納できます。プロダクトとしての完成度が高くて、持ってて満足感を感じる作りのゲームですね。この辺りの所持する楽しさにぬかりがない点は「マイシェルフィー」と同じです。

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