テンデイズゲームズブログ 
テラノヴァは大人気ゲーム「テラミスティカ」のスピンオフ作品です。よりコンパクトで短時間に、そして、ルールも簡易化されており、コアなゲームファンでなくても、多くの方が遊びやすいよう高難度なゲームの入門編的立ち位置でデザインされています。
ファンタジー世界を舞台に勢力の拡大を競う中量級戦略ゲーム
各プレイヤーは1つの種族を担当し、自身の勢力の新たな地形への入植と版図の拡大を競う。それぞれの種族には入植可能な地形が異なっており、住める環境へと変化させ、建物を建てていく陣取りゲームです。また、各種族は固有の能力をもち、それらを活かし、勝利点を獲得していく。ゲーム終了時に最も多くの勝利点を獲得したプレイヤーが勝利します。
ゲームは5ラウンド、各ラウンドの最初に定期収入を得て、手番順にアクションを繰り返していく。アクションには、地形の変化や建物の建設・改良などがある。建物をボード上に配置することで、個人ボード上で隠れていた収入アイコンが見えることにより、固定収入が増えたり、また、ゲームボード上で、建物群が一定の大きさになることで町へとなる。町になることで、追加の大きな得点を得たり、大量のお金を得ることができる。さらに、改良で建物をアップグレードしていくことで、種族ごとの固有能力をアンロックできる。アクションを繰り返していき、全員がパスするとラウンド終了となる。新たなラウンドでまた、収入を得て、アクションを実行していく。5ラウンドを終え、最も多くの勝利点を獲得したプレイヤーが勝利する。
本作の（テラミスティカも）代表的な特徴は、緩い共存関係の陣取りです。一般的に陣取りは、取った取られたのバチバチし、広い場所を独り占めしたいものですが、このゲームでは、他プレイヤーと隣接している建物間でメリットがあります。新たに建てたり、改良を行った際に、隣接している建物はパワー（リソース）を得ることができます。さらに、改良を行う際には、支払うお金が少なくなる場合もあります。これらのように隣接させることで、お互いにメリットを享受できます。しかし、やはり陣取りですから、うまく相手を出し抜き、先に手を打つのも大切です。テラノヴァはプレイヤー同士が意図的に近づき、陣取りの駆け引きが発生し易いようデザインされたゲームシステムです。共存関係のある陣取りは本作の大きな特徴の一つです。
毎手番では、様々なアクションを行いますが、特定のアクション（例えば家の建設とか、交易所への改良など）を行うと勝利点が得られる条件（得点タイル）が決まっています。これらの得点タイルはラウンド毎に異なります。ゲームを通して勝利点を獲得する機会は非常に限られており、しっかりと得点タイルで勝利点を獲得することは勝利のためには重要です。得点タイルの指針に従い手堅く得点を取るのか、それよりも別のアクションを取り、もっと大きな勝利点を目指すべきなのか、非常に悩ましい選択を迫られます。
ゲームに登場するリソースは2種類しか登場しません。お金とパワー。お金は、地形を変化させたり、建物を建てたり、さまざまな支払いで使用する。もう一方のパワーは、スピンオフ元のテラミスティカと同様、個人ボード上のトレイの上で消費と獲得を繰り返していく。トレイには3段階あり、3段階目まで貯まると、初めて使用でき、使用すると1段目に戻る。獲得する場合、1段目のトレイから2段目に、そして3段目へと移動していく。パワーコマは3つのトレイの間をぐるぐる回るように使用と獲得を繰り返していく。溜まったパワーは、ラウンド中1度使えるいくつかのパワーアクションに使用できる。パワーアクションには、コストを必要とせず、地形を変化させたり、お金を得たりできる。この少しコツのいるパワー管理も本作の（テラミスティカ同様）大きな魅力の一つです。
テラミスティカに代表される作品群の最大の魅力が、勢力毎に異なる非対称な能力です。他プレイヤーと最初から違うことで、ある分野でのアドバンテージを持っています。そこをさらに活かすよう戦略を立てることで、有利にゲームを展開できるでしょう。例えば、交易所で多くの得点を得られる勢力は、なるべく多くの交易所を保持するようになど、分かりやすいものから、少々癖のある能力まであります。勢力の方針と選んだ戦略がピタリとハマった時の快感はボードゲームの醍醐味だと思います。この勢力でこの戦略はどうだろうと、思考に耽るのも楽しいですね。
プレイ中ほかのプレイヤーが上手く立ち回るのを見ると、あの種族強いんじゃないかと感じます。他の勢力が強く見えることは常にあります。ですので、是非とも全10種の種族をプレイし、様々な戦略で繰り返し楽しんでいただければと思います。
テラミスカ好きにも、テラミスティカ未経験者（敷居が高いと感じている方）にも、多くの方にプレイしてほしい作品です。
現在輸送手配中で、8月上旬発売予定です。発売まで楽しみにお待ちください。
