ゲーム紹介:クスコ(Cuzco / Michael Kiesling, Wolfgang Kramer / Super Meeple / 2018)

キースリング&クラマーの黄金コンビによる「ジャワ」がリメイクされました。
おなじくスーパーミープルからリメイクされた「メキシカ」、「ティカル」に続いてリメイクされたことで、日本では「怖い顔三部作」として知られる三作が揃ったことになります。

プレイヤーは、インカの民となり、山岳地帯において畑や村をつくり、神殿を建設し都市へと成長させ、祝祭を執り行い、太陽神を讃え、名声点を獲得していきます。

「怖い顔三部作」の他のタイトルと同様に、「クスコ」でもメインとなるシステムは、「アクションポイント」です。
プレイヤーは、毎手番、6ポイントのアクションポイントの中で、さまざまなアクションを組み合わせ実行していきます。
タイル配置による土地の拡大、自分の駒の配置と移動、灌漑池の造成など、どのアクションも重要で、アクションポイントが6ポイントあるとはいえ、その配分はとても悩ましいものになっています。

ボードに広がる大地

「クスコ」において、もっとも独自性のある要素となるのは「高さ」の概念があることでしょう。
タイルを配置する時は、ボードの上に直接置くだけでなく、すでに配置されているタイルの上へと配置することも可能です。
タイルが重ねられることで、ゲームが進んでいくと、ゲームボードには高低差が生まれます。
この高低差こそが、このゲームならではの要素なのです。
というのも、神殿の建設や拡大、灌漑池からの得点、ゲーム終了時の最終得点など、その権利を持つのは、対象となるそれぞれの箇所で、もっとも高い位置に駒を置いているプレイヤーなのです。
それぞれが勝利に直結しているのは言うまでもありません。
高さを制するものが「クスコ」を制するのです!

より高い地を目指せ

ここまで読んできた方でピンと来た方もいるかもしれませんが、「クスコ」は、同コンビによる「トーレス」と似た箇所の多いゲームです。これは私見ですが、「トーレス」を発展させたタイトルと言ってもいいかもしれません。
この「クスコ」では、「トーレス」で少し煩雑な印象のあった「城における面積と高さの関係」や、「移動時における登り降り」などを無くしたり、要素の切り分けを行うことで、とてもスマートなものにしているのは、それが強く感じられるポイントでしょう。
それだけでなく、ダイナミックなボード上の変化は「トーレス」よりも華やかで、また、テーマとも合致しており、見事というしかありません。
発売時期や日本での流通量の少なさもあり、「トーレス」と比べ、存在感の薄かった「クスコ(ジャワ)」ですが、その内容は、まったく遜色ないもの、人によってはより優れたものになっていると言っていいでしょう。

アクションポイント制であるがゆえ、ダウンタイムが長くなる傾向にあることや、運の要素が低く、ゲーム性としてはアブストラクト寄りであること(競りに似た「祝祭」という、アブストラクトっぽさを薄める要素も盛り込まれており、そのあたりはさすがのゲームデザインになっています)など、プレイヤーを選ぶゲームではありますが、時代を超える名作であることには違いありません。
スーパーミープルならではの豪華コンポーネントも大きな魅力です。

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