【ゲームプレビュー】アーク・ノヴァ-新たなる方舟-

 昨年のエッセンシュピールでの販売が少部数だったにも関わらず、現地の人気投票「スカウトアクション」で一位となり、その後もBoardGameGeekの注目ランキング「THE HOTNESS」でも常に上位(というより、ほぼ一位!)に位置している「アーク・ノヴァ」。
 その「アーク・ノヴァ」日本語版が、いよいよ2月中旬~下旬の発売となります。
 詳細な紹介はあらためて行う予定ですが、簡単な紹介を少し早くお届けいたします。

 日本語ルールをこちらにアップロードいたしましたので、合わせてご覧いただけると参考になるかと思います。→アーク・ノヴァ日本語版ルール

 まず、この「アーク・ノヴァ」は、「どんなゲームなのか」ですが、プレイヤーは、科学的に管理された動物園の運営者となり、動物の生態に応じた囲い地を用意し、さまざまな動物を保護するための保全活動を進めることになります。しかし、そのためには動物園としての人気を高め収入に繋げたり、いろいろな後援者を頼ったりする必要もあります。これらを200枚を超えるカード、個人ボードなどで表現した本格的な戦略ゲームが「アーク・ノヴァ」なのです。

 さて、その「アーク・ノヴァ」、一回目の紹介ではありますが少しマニアックに進めて行きたいと思います。
 というのも、この「アーク・ノヴァ」は、これまでに発表されてきたさまざまなゲームのさまざまな要素をこれでもか!ミックスしたとも言えるタイトルになっており、例えば、BoardGamesGeekでも、このような画像が投稿されていたりします。→リンク
 そこで、このプレビューでは、これまでに発表されてきたタイトルと合わせて、「実際のところどうなんだ?」という形で紹介していきたいと思います。

テラフォーミングマーズ的カードプレイが面白い!

 世界で圧倒的人気を獲得し、今や2010年代~20年代を代表するボードゲームとなった「テラフォーミングマーズ」。
 膨大な枚数が用意されたカードを組み合わせてプレイし、ゲームごとに異なる展開が楽しめる点、それらが生み出すシナジー効果を活かす面白さは、「テラフォーミングマーズ」の影響下にあると言っていいでしょう。
 200枚を超えるカードは、主役でありゲーム展開の主軸となる「動物カード」、永続的なものも含めてより特徴的な特殊効果を持ち活用の仕方が腕の見せ所となる「後援者カード」、ボーナス得点に繋がる「保全計画カード」があり、カードを見ているだけでもゲーム好きにとっては刺激的、やはり一番の魅力と言えるのではないでしょうか。

シヴィライゼーション:新たな夜明け的アクション選択が悩ましい!

 「アーク・ノヴァ」でプレイヤーは、各手番、5種類のアクションカードの中から一種類を選び、そのアクションを実行することになります。
 このアクションカードは、手札と言うわけではなく、個人ボードに用意されたスロットに並べられています。
 スロットは、左から右へ1から5が割り当てられ、そのスロットの数値に応じた強さでアクションを行うことができます。すなわち、1よりも3、3よりも5にあるカードの方がより強力ということになるわけです。
 そして、使用したアクションカードは、それまで置かれていたスロットから1のスロットへと移します。他のカードは、そのカードが置かれていたカードを埋めるように右へと詰めることになります。
 この仕組みにより、同じアクションを効果的に続けて行うことは難しく、どのタイミングでアクションを実行するかの判断がポイントとなるわけです。
 これは、「シヴィライゼーション:新たな夜明け」でも見られた仕組みで、非常にシンプルな仕組みでありながら、アクションの組み立ての面白さ、悩ましさは十二分に感じられるものになっているかと思います。

ブルゴーニュ、オーディン的タイル配置パズルが奥深い!

 カードプレイと並んで、もう一つのメインとなるのが個人ボード上にさまざまな大きさの囲い地やは虫類館、鳥類館、ふれあい動物園と言った動物を飼うための施設や、ロープウェイ、特殊なサル山などの特別な建物のタイルを配置していく、動物園を作り上げるという要素です。
 ボード上をタイルで埋め切ることはもちろんのこと、埋めることによってボーナスを獲得できるマスもあり、いくつかの制限の中で効率よくタイルを配置していくパズル的な面白さがあり、この部分だけでも「一要素」という枠に収まらない奥深さがあります。
 

テラミスティカ的開放システムが気持ちいい!

 さまざまなカードの効果が積み重なることによって、より手が加速、拡大していくのはもちろんですが、「テラミスティカ」や「ハンザテウトニカ」のように個人ボード上に用意された収入や効果が開放されていくことで、さらに手が進むような仕組みも用意されています。
 収入を増やしたり、特別なトークンを獲得したり、アクションカードをレベルアップさせたり、ワーカーである職員を増やしたり……一つ一つの効果はそれほど大きな効果ではありませんが、これらの効果の多くはゲームを通して影響があるため、着実に開放していくことはとても重要です。
 また、それによりプレイの自由度、戦略の幅が広がるため、プレイングの気持ちよさにも繋がっているのです。

ガンジスの藩王的得点システムに痺れる!

 こうして、それぞれのプレイヤーの動物園は拡大し、保全計画も推進していくことになります。
 しかし、「アーク・ノヴァ」の得点システムは非常に凝ったものになっており、どのように動物園を拡大し、保全計画を推進していくか、安易に行っていては決して勝利することは出来ないのです。
 そのポイントは、二つの勝利点トラックにあります。
 それが動物園の人気、アピール力を表す「訴求点」と、どれだけ動物の保全に関わり学術的な貢献を行ったかを示す「保全点」です。
 最近、日本語版も出版された「ガンジスの藩王」でも見られた仕組みですが、「アーク・ノヴァ」でも、この二つの得点トラックを逆のサイドから進めていき、交わったところでゲーム終了となるのです。
 訴求点は、人気の高い、愛らしい動物や勇ましい動物を飼う(カードをプレイする)ことで上がることが多く、収入の底上げに繋がっています。
 保全点は、直接的な得点行動である保全活動を行ったり、希少な動物を飼うことで上がることが多く設定されています。
 訴求点は、比較的上げやすく収入にも繋がるため注力しがちなのですが、保全点のほうが最終的な得点に直結するように作られているため、注意が必要です。 
 このバランスに気を配りつつのプレイが大きなカギとなるでしょう。

強く断言します!ただ盛り込んだだけの安直なゲームではありません!

 ゲームには得てして「オリジナリティ」が求められることがあります。
 そういう点では、この「アーク・ノヴァ」はいささか分が悪いかもしれません。
 しかし、これだけの要素をこれだけ高いレベルでまとめ上げたゲームは他になかなか見ることはできないのではないでしょうか。
 そういう意味では、「アーク・ノヴァ」は唯一無二の存在感を放っており、2022年、間違いなく注目すべきタイトルだと思います。

 このブログでは、「アーク・ノヴァ」の魅力や面白さをさらにお伝えしていく予定です。
 ぜひ、ご期待ください。

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