【スタッフ神田の視点】ペーパー・ダンジョンズ:拡張 サイドクエスト

 このエントリーは、テンデイズゲームズスタッフ神田が、自らの視点でゲーム内容を読み解き、紹介していきます。

 ダンジョンRPGをテーマにしたロールアンドライトゲームとして人気を博した「ペーパー・ダンジョンズ」の世界をさらに広げる拡張セットが販売されます。この拡張セットではタイトルにもある新たな目標「サイドクエスト」の他、パーティーに特殊能力をもたらす「アーティファクト」や、それらを守護する「副官」が登場することで、プレイヤーはより濃密なダンジョン探索に挑むことになります。

◆そもそも「ペーパー・ダンジョンズ」とは?


 「ペーパー・ダンジョンズ」は、「D&D」に代表されるダンジョン探索、ダンジョンクロウルをテーマにとったロールアンドライトゲーム(ダイスを振って用紙に書き込むゲーム)です。プレイヤーはウォリアー、ウィザード、クレリック、ローグの(TRPGなどではお馴染みの編成の)パーティを率いて、ダンジョン攻略に臨みます。
 ゲームでは全部で8ラウンドを行い、各ラウンドでは6個振られたダイスの中から3個を選択し、ダイス1個ごとに1アクションを行います。アクションには「キャラクターのレベルアップ」「マジックアイテムの作成」「ポーションの作成」「ダンジョン内の移動」の4種があり、ダイス目によっては選択できないアクションもあるので、どのアクションを選ぶかが重要になります。
 第3ラウンド、第6ラウンド、第8ラウンドの終了時にはボスとの戦闘があります。ボスを打ち倒せる戦闘力をパーティが有していれば大きな得点を獲得できますが、そもそもボスと戦うためにはボスが待つ部屋まで到達しなければならないので、どこまでレベル稼ぎを頑張り、どこから探索を本格化するかのバランスも重要です。
 第8ラウンド終了後、プレイヤーはパーティの成長度合いや作成したマジックアイテム、道中で倒したモンスターや集めた財宝などから得点を獲得し、最も多くの得点を獲得したプレイヤーがゲームに勝利します。

◆新要素「サイドクエスト」


 この拡張の目玉でもある「サイドクエスト」は5番目のアクションとなる「サイドクエストの達成」が加わります。これは「サイドクエスト」の名前通り、本筋の目的とは関係のない、でも達成すると嬉しいことがあるサブクエスト的な存在なのですが、用意された3つの課題すべてを達成することで大きな得点を得られるため、無視できない存在です。
 サイドクエストの達成には特定のダイス目が要求されます。最初のクエストでは特にダイスの要求はないのですが、2番目のクエストでは特定の出目が要求され、最後のクエストでは特定の出目に加えてダイス色の指定までも加わります。
 また、こうした課題をクリアしたとしてもそれだけでは得点にならず、ダンジョン内の特定のチェックポイントに辿り着いてようやく得点になります。このようにサイドクエストの達成は実に手間がかかるのですが、得られる見返りは大きいため、今回の冒険の新しい戦略の柱として機能します。

◆新要素「アーティファクトと副官」

アーティファクトはパーティに新しい能力を与えたり、得点をもたらしたりするアイテムです。例えばアーティファクト「月光の鏡」は「1度だけダンジョン内の任意の部屋に移動する」といった驚きの効果をもたらします。

 こうした強力なアーティファクトはダンジョン内の宝箱から見つけることができるのですが、宝箱は常に番人となる「副官」が守護しています。副官は高レベルのモンスターなので、パーティが十分に成長していない場合、大きな損害を被ることになるかもしれません。

 ゲームにはアーティファクトカードが16枚あり、セットアップ時に人数に応じた枚数の山札を作ります。副官を倒したプレイヤーはこの山札から「好きなアーティファクトを選んで」獲得します。
 ということは、より早く副官を倒したプレイヤーほど強力なアーティファクトを獲得できる可能性が高まるということです。一方で、前述の通りに副官は強力なモンスターなので、どこまでパーティを育ててから挑戦するかが悩ましい…… これは大きなジレンマと言えましょう。
 また、プレイヤーのパーティだけではなく他の冒険者のパーティも貴重なアーティファクトを探し求めています。こうしたフレーバーを表現するためにラウンド2、ラウンド5、ラウンド7の終了時には山札からは3枚のアーティファクトが取り除かれてしまいます。
 こうした事情も含めてアーティファクトの獲得は急ぐべきなのですが、「サイドクエストの達成」も含めてやりたいアクションは数多く、状況は常にプレイヤーに重要な決断を迫るのです。

◆その他細々とした調整もあり、大きくパワーアップ


 「ペーパー・ダンジョンズ」は基本ゲームでも完成度の高い作品ではありましたが、プレイ体験をより向上させるために細部の調整が行われています。例えば拡張では、便利な「クローバー」や「ブーツ」の出目は1ラウンドに1個までの使用制限が入っています。
 また、より強大なボスに挑戦したいプレイヤー向けにボスの能力を底上げする「困難/悪夢モード」も実装されています。パーティが育ち切ってしまってボスとの対戦が物足りないと感じた方はぜひ新しい難易度にチャレンジして頂きたいと思います。
 「ペーパー・ダンジョンズ」は馴染み深いテーマ性とダイス選択の悩ましさが魅力的なゲームでしたが、「拡張サイドクエスト」では、新要素の追加によってその楽しさをさらに強く際立たせています。様々な新要素は加わりましたがゲーム時間自体は変わらず楽しめるので、より濃密にダンジョン探索にのめり込むことができるでしょう。

ペーパー・ダンジョンズ:拡張 サイドクエスト 日本語版
タイトル:Paper Dungeons: Side Quest Expansion
デザイナー:Leandro Pires
メーカー:MeepleBR
発売年:2023年
プレイ人数:1人~8人
プレイ時間:30分
対象年齢:14歳~
小売希望価格:3,300円(税込)

「ペーパー・ダンジョンズ:拡張 サイドクエスト」は、9月16日発売予定です。


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