未プレイの人向けの「テラミスティカ」紹介

1.「テラミスティカ」ってどんなゲーム?

「テラミスティカ」は、ファンタジー世界を舞台とした土地開拓と拡大再生産の重量級ゲームです。この世界に住む合計14種の勢力はそれぞれの住処を広げるために、様々な土地を自分好みの土地(本拠地)に改良します。

例えば「マーメイド」は、「森」を改良して本拠地である「水辺」を作り、そこに自分たちの建物を建てます。一方で「岩山」を本拠地とする「ドワーフ」は同じ「森」でも「水辺」ではなく「岩山」に改良したい勢力です。どちらにとっても「森」は将来の自分の新しい住処の候補であり、ここに土地開発の競争原理が生まれます。

一方で、このゲームは土地競争で争うだけのゲームではありません。各勢力は友好的に交易を営む間柄でもあり、隣り合って建物を建設することで様々なリソースに変換できる「パワー」を得ることができます。
そのため、だだっ広い空き地を独り占めできたとしても、お隣さんがいないと今度はパワー不足に苦しむことになります。

そのため、効率的な発展のためには、人より先に有益な土地を確保しつつもご近所付き合いを欠かさない、そういったつかず離れずの「ハリネズミのジレンマ」のようなバランス感覚が要求されます。この敵対的&協力的な関係がゲームを通して振り子のように移り変わるところが本作の特徴的な部分です。

2.重そうだけど本当に遊べる?

正直に言えば、軽いゲームではありません。初回はルールの把握にも時間がかかります。
ただ、ゲームを通してやるべきことは、どれだけ多くの建物を建てられるか、もう少し欲を言えば得点に絡めて建設を行えるか、というところに尽きるので、見通しのいいゲームではあるでしょう。
先述の「パワー」は他のゲームにはない要素で、その扱いも独特なので、ここは慣れが必要なポイントかもれません。

プレイ時間は人数にもよりますが、3時間程度。慣れると2時間程度でしょうか。
プレイ人数は5人まで対応していますが、お勧めは4人プレイです。5人プレイはかなりマップが窮屈で、2人プレイは逆にマップがスカスカになりがちです。
つかず離れずの悩ましさがこのゲームのキモなので、人数によるプレイフィールの振れ幅は大きめな作品と言えます。

3.プレイ中どこが面白い?

ゲームは全6ラウンドで構成されていますが、各ラウンドの境目で建設した建物から収入が入ります。建物を建てれば建てるほど収入が増え、その収入を使ってまた新たな建物を建てる…… この加速度的な拡大再生産がこのゲームの持ち味です。

また、基本ゲームだけでも14種類もの勢力があるため、それらを使い分け、各勢力ならではの長所、戦略を見つける楽しさがあります。ゲームに慣れてくれば一見使い方が難しい勢力にチャレンジする楽しさもあります。

また、セットアップによりゲームごとに得点条件が大きく変わるため、それに合わせた勢力選択、ゲーム運びなど、毎回異なるゲーム展開が生まれるのも大きなポイントです。このラウンドで家を建てたいけど、得点的には次ラウンドに回したいー、といったジレンマにプレイヤーはずっと悩まされます。

4.どんな人に向いている?

「テラミスティカ」の重要な特徴として、囲碁や将棋のように運要素がないゲーム、という点があります。ただ、運要素こそありませんが、各プレイヤーの動きは読み切れるものではないので、そこで勝負のアヤが生まれます。

そういった意味では、ワイワイ楽しむよりもじっくり楽しめるゲームを求める方にお勧めのゲームと言えるでしょう。一つのゲームをやり込みたい研究意欲のある人なら延々と遊び続けることができる奥の深さがあります。

5.初めて遊ぶときのコツ

先述の通り、「テラミスティカ」は運要素の薄い拡大再生産のゲームなので、序盤の動きを間違えると後で苦労します。1ラウンド目では勢力の特性に合わせて勢力独自の特殊能力をアンロックする「砦」か、得点や収入をもたらす恩恵タイルを得られる「神殿」の建設を目指しましょう。

また、慣れないうちは後で開拓しようと思っていた土地を先に取られて行き詰ってしまうことがままあるので、土地を開拓する強みのある勢力を選ぶと状況を打開しやすいです。具体的にはどんな土地でも自分の本拠地に改良できる「ノマド」や、スコップの改良コストが安い「ハーフリング」あたりでしょうか。

というのは、本作はゲームに用意されている基本の改良方法(労働者3個で1改良)がめちゃくちゃ重いのです。なので、この方法での土地改良はどうしてもそれしかない場合に選ぶ窮余の策で、基本的にはもっと安上がりに土地を改良できる別の手段を探すことになります。

6.なぜ10年以上遊ばれているのか

結論から言えば、「テラミスティカ」は他のゲームでは代替できないユニークな楽しさを備えているからです。それは発売から10年以上が経過した今でも変わりません。「テラミスティカ」は実はマネするのがめちゃくちゃ難しいゲームなのです。

最大の特徴であるプレイヤーごとの非対称能力は「コズミックエンカウンター(1977)」に端を発するメカニクスなのですが、このメカニクスはプレイヤー間のバランスが取りにくいという大きな弱点を持ちます。この不均衡を「コズミックエンカウンター」では直接攻撃や運要素で均し、多くの後継作品もその手法を倣ったのですが、「テラミスティカ」はそのどちらも選ばず、緻密なバランス調整でゲームを成立させたところにエポックがあります。

特に14勢力の組み合わせからなる様々なゲーム展開のプレイアビリティの高さは特筆もので、かつ運要素が介在しないことによる勝敗の納得感やパスのタイミングなど小技を利かせる余地もあり、何度も遊びこんで上達を実感できる懐の深さを備えています。

発売から時間が経過したことで、宇宙を舞台にした「ガイアプロジェクト」、プレイ時間を短縮して陣取り要素に特化した「テラノヴァ」、様々な能力の組み合わせを楽しめる「革新の時代」など、様々な派生作品も生まれています。これらテラミスティカユニバースの作品の存在も本作の人気の証左と言えましょう。

初回プレイのハードルこそ低くはないものの、一度遊んでみれば戦略ゲームの奥深さをどっぷりと味わえる「テラミスティカ」の世界。未プレイの方は一度試してみてはいかがでしょうか。

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