【スタッフ神田の視点】ファウンダーズ・オブ・テオティワカン

 このエントリーは、テンデイズゲームズスタッフ神田が、自らの視点でゲーム内容を読み解き、紹介していきます。

◆「テオティワカン」と同テーマのスピンオフタイトル

 「ファウンダーズ・オブ・テオティワカン」は、Board & Diceの人気ゲーム「テオティワカン:シティ・オブ・ゴッド」と同テーマのゲームです。しかしながら、この両者はテーマこそ同じものの、実は作者もシステムも全く異なる二作なのです。まずはこの点に触れていきましょう。
 「テオティワカン」の作者は「ツォルキン」「マルコポーロの旅路」の共作者として知られるDaniele Tasciniです(ちなみにTasciniの作品はほとんどが共作で、「テオティワカン」は珍しい単著のタイトルです)。独創性のある仕掛けを盛り込むことに定評のあるデザイナーで、歯ごたえのあるゲーマーズゲームを多数世に送り出してきました。
 かたや今作の作者Filip Głowaczは、いくつかの著作はあるものの、あまりその名前を知られてはいないデザイナーです。同社の「Mandala Stones」が一番名前を知られているかも? くらい。
 そういった事情もあり、個人的には新人デザイナーのチャレンジングな新作に、保険として人気IPのガワを載せたのかなーといった印象を抱きもしました。あるいは「テオティワカン・ダイスゲーム」とか「テオティワカン・カードゲーム」といった本歌取りの内容なのかも……とも推測を働かせたりもして。
 しかも、見た目は個人ボードにポリオミノタイルを敷き詰めていくパズル的な内容。これも今となってはいささか新鮮味の薄れたビジュアルではあり、正直、事前の期待感はそれほど高くはありませんでした。
 ですが、実際遊んでみたら予想外の完成度でビックリしたのです。「え、このゲーム『テオティワカン』と全然違うぞ!? しかもめっちゃ作りが巧みなんだけど!?」
 予想に反してこのゲーム、実によく練り込まれた作品だったのです。なので、「なるほど、これならテオティワカンシリーズに並べたくなる気持ちもわかるなー」と頷いてしまったんですね。
 では、この作品はどこに見どころがあるのか。それをこれから述べていきたいと思います。

◆配置タイミングを計るワーカープレイスメント

 各ラウンドにおいて、各プレイヤーは数枚のディスクをワーカーとして持っています。手番にディスク1枚をアクションスペースに配置することでプレイヤーはアクションポイントを貰い、即座にそれを仕払って対応するアクションを行います。貰ったお小遣いでお買い物をするイメージとでもいいましょうか。
 原理としてはワーカープレイスメントと言っていい……かとも思うのですが、排他性は薄く、メカニズムの力点が多少異なるのでこれは別物と言ってもいいかもしれません。
 というのはこのゲーム、すでにディスクが置かれているアクションスペースにも新しくディスクを重ねてアクションを実行することができるのです。この時、プレイヤーは「積み重ねたディスクの枚数+1点」のアクションポイントを貰えます。つまり、後乗せを狙って効率的にアクションポイントを貰いたいゲームなのです。
 とは言え、それぞれのアクションスペースにはディスクを置ける上限数が決まっているので、アクションスペースが「育つ」のを待っていても自分の手番が回ってくるまでに定員オーバーになってしまうかもしれません。また、アクションで獲得する要素自体は早いもの勝ちなので、ワーカープレイスメント特有のダッチオークション的な趣は健在です。
 また、手番にパスを行うとそのラウンドはもうアクションを行うことができなくなるので、下家を利してしまうことがわかっていても已む無くアクションを選択せざるを得ない局面もあります。このように、本作はアクションを選択するタイミングにインタラクションとジレンマを仕込んだゲームなのです。
 では、最初にアクションを踏むのは不利なのかと思いきや、各アクションスペースにはそれぞれボーナスディスク1枚が配置されていて、最初にアクションを踏んだプレイヤーはこのボーナスを得ることもできるのです。しかもこのボーナスの効果はなかなかに強力です。
 各アクションスペースに置けるディスクの上限は3枚なのでx枚目にディスクを置くことで貰える効果の対応関係は下記の通りとなります。
1枚目:2アクションポイント+ボーナスディスクの効果
2枚目:3アクションポイント
3枚目:4アクションポイント
 一見してちょっとお得感に欠けるのは2枚目の配置ですかね。できれば1枚目の配置でボーナスを貰うか、3枚目の配置で4アクションポイントを貰いたいところです。
 しかしながら、そうそう都合よく手番が回ってくるとも限らず「やりたいけど今じゃないんだー!」と歯ぎしりすることもしばしば。逆に選ぶつもりのなかったアクションが偶然育ったまま目の前に出てきて悩むこともあり。トスのインタラクションを交えたこのプレイ感覚は計画性とアドリブ性の両方を求められて、なかなかにユニークです。

◆ユニークで悩ましい資源管理

 アクションの1つ「建物の建設」では、アクションポイントと同サイズのポリオミノタイルを取って個人ボードに配置できます。こうして配置されたポリオミノタイルは種類に応じて木・石・金の3種の資源のいずれかを産出します。「建物の建設」という名前ではありますが、機能的にはいわゆる資源獲得アクションと言えるでしょう。
 ここでちょっと面白いのが、資源は配置したポリオミノタイルに隣接するすべての空きマスに湧き出す点です。そのため、例えばサイズ1のタイルであれば、最大で上下左右の空きマス4つに資源が湧きますし、凸型のポリオミノタイルであれば、1度で最大8個の資源が得られるワケです。
 つまり、このゲームではタイルを隙間なくピッチリ噛み合わせるのではなく、むしろそれぞれにある程度余裕を持たせて配置した方が効率的に資源を集められるのです。このシステムは単独でもかなり面白い仕組みで、ちょっと違った脳の使い方を要求されて刺激的ですね。
 すでに資源が置かれているマスに新しくポリオミノタイルを配置すると、その資源は消滅してしまうというルールもうまい作りで、資源を使う順番にもプレイングの余地があります。
 さらにボード上には仮面シンボルが記された一まとまりのスペースがあり、それをポリオミノタイルで埋めきることで仮面タイルが貰えます。仮面タイルはいわゆる早取り要素で、即時で得点を得られるため、これもなるべくなら狙っていきたい要素です。
 しかしながら、先述の通り、ポリオミノタイルに覆われた資源は消滅してしまうため、もし仮面シンボルの上に資源が置かれていた場合、その資源を手早く使うか、消滅を覚悟で埋めるかしないといけないのです。この辺りのポリオミノタイルと資源の関係は実に悩ましく、よくできています。

◆ゲームのキーとなる存在「建築士」

 「建物の建設」で獲得した資源は、主に2つのアクションによって消費されます。それが「神殿の建設」と「ピラミッドの建設」です。
 「神殿の建設」では、「建物の建設」で獲得した資源を支払って緑・青・赤の3色のポリオミノタイルをボード上に配置します。
 神殿はこのゲームにおける得点源の一つです。神殿は、建物と同様のポリオミノタイルなので、建物とはボード上の空きマスを奪い合うライバル関係となります。
 そのため、ボード上の限られた空きスペースを資源(建物)に割くか、得点(神殿)に割くかというジレンマがあり、ゲーム中は用地の使い道に頭を悩ませることになるでしょう。
 「ピラミッドの建設」では、ボードの中央部分にピラミッドタイルを配置することができます。ピラミッドは神殿と並ぶ得点源の一つです。こちらも神殿と同様に緑・青・赤の3種がありますが、ピラミッドタイルはポリオミノタイルではないため、建物や神殿とは干渉しません。
 ピラミッドは最大で3段まで建てることができます。1段目には33の9枚、2段目は22の4枚、3段目は1枚のピラミッドタイルを配置することができます。ピラミッドは上段ほど価値が高いので、なるべく高いピラミッドを作りたいところですが、建設には貴重な資源である金が大量に必要となるため、ピラミッドの完成はなかなかに困難です。
 さて、このゲームには都合「建物」「神殿」「ピラミッド」と3種の建築物があるのですが、これら全ては「建築士」駒の位置によって配置可能な位置を制限されています。この建築士の存在は、ある種このゲームの一番のキモと言っても過言ではありません。
 ゲーム中、建築士は個人ボードの4つの辺のいずれかの辺に面しています。手番中プレイヤーはあらゆる建築物を建築士の面する側の辺の2象限、個人ボードの半分の範囲にしか建築物を配置できません。
 手番が終わると建築士は時計回りに次の辺に移動します。そのため、手番によって建設可能な範囲が90度ずつ移り変わっていきます。
 この建築士駒による配置制限は大変いやらしく、「ピラミッドを建てたいんだけどそこじゃない!」というような場面が頻発するのです。計画的に建築物を建てるためには数手先の展開を見越して準備を整えておく必要があります。

◆シンプルながら頭を悩ませる得点システム

 個人ボードは4つの象限で分割されています。ゲーム終了時、それぞれの象限においてプレイヤーは建てられた神殿タイルの数にピラミッドタイルから算出される倍数をかけ合わせた得点を得ます。このゲームには仮面タイルなどのいくつかの得点要素がありますが、メインの得点源となるのがこの神殿とピラミッドの掛け算によるものです。
 神殿とピラミッドはそれぞれが緑・青・赤の3色のいずれかの色に属し、緑の神殿×緑のピラミッド、青の神殿×青のピラミッドのように、同色の神殿とピラミッドだけを掛け算します。
 従って1つの象限には同色の神殿・ピラミッドを集めるのが基本……なのですが、ここがまた心憎いことに、2つの象限を跨ぐ神殿とピラミッドは両方の象限で得点計算を行えるというウマ味要素があるのです。
 そのため可能ならば象限を跨いでタイルを配置したいのですが、先述の建築士駒の制限により、象限を跨ぐ建設は機会が限られているためラクして儲けるのはなかなかに難しいのです。効率的に得点を獲得しようとするならば、相当なグランドデザインが要求されるゲームと言えましょう。

◆オリジナリティに満ちた硬質なゲーマーズゲームをぜひ

 とまあ、主要な要素を書き出してみましたが、どこをどう切り出しても悩ましさが湧き出てくるゲームです。得点システムがシンプルな掛け算なのでプレイの道筋は極めて明瞭なのですが、先述の建築士駒の制限や資源の確保、使う順番などを考えると一筋縄では行きません。
 4人プレイならゲームを通して12手番と手番数もタイトなため、寄り道している暇もなく、あれが足りない、これが足りないと言ってる間にラストスパートに突入する印象です。
 また、結構なボリュームを備えつつも「テオティワカン」からの借り物要素はまったくなく、独自のゲーマーズゲームとしてハイレベルな仕上がりとなっているのは特筆すべきポイントです。共通点は資源を集めてピラミッドを建てる……くらい?
 「テオティワカン」は、コンボ感強めで資源をドバドバ手に入れてドバドバ使うバブリーな作りなのに対して、こちらも資源はドバッと手には入るんですけど、それを効率的に使うには一苦労という出口戦略の難しさがあり、プレイ感は相当に異なります。
 運要素はタイルのめくりとボーナスタイルの並び順ぐらいで全体としてはかなりドライでメカニカルな手触りです。個人ボードいじりがメインなのでインタラクションはそこまで濃くはないのですが、ディスク配置とタイルの先取りに関して絡みは十分で、狙っているタイルの色が被ると手番順のアヤで泣くこともあり、要所要所でボードゲームならではの駆け引きを感じられる内容です。
 一か所難点を上げるとすると、手番最後に建築士駒の移動を忘れやすいという点があります。ここは何かしらコンポーネント上の補助があってもよかったかもしれません。
 他プレイヤーに影響を及ぼさない箇所なのでうっかりを見落としやすい点ですが、前述の通り、建築士駒の制約が効いたゲームなので、参加者全員でチェックを行うなどして防いだほうがよいでしょう。
 といった感じで、「ファウンダーズ・オブ・テオティワカン」は、大変に見どころが多いゲームです。正直無名に近いデザイナーの作品に「テオティワカン」の名前を与えるのは結構なチャレンジではないかとも最初は思ったのですが、遊んでみるとやすやすとハードルを越えていて、これは凄いことをやっているんじゃないかと思います。これはBoard & Diceのデベロップの腕前なのかしら……?
 本家「テオティワカン」に比べると処理もスッキリしてますし、一回りコンパクトになったプレイ時間でお手頃感もあります。どちらが遊びやすい内容かと言えば、これは本作で間違いないでしょう。
 とは言え、「テオティワカン」も完成度が高く、乗りこなし甲斐のある戦略ゲームなので、ゲーム好きの皆様にはぜひ両者を遊び比べて頂いて、どちらがより自分好みかを確かめて頂きたいです。
 また、本作ではBoard & Dice製品ではお馴染みの感もあるソロプレイモードも搭載しています。AI「最初の創設者たち」を相手取り、スコアアタックに挑みましょう。
 実際に遊んでみることで「なるほど、そういうことか!」と膝を打つ部分が多いゲームなので、ルール確認がてら挑戦してみるのもいいかもしれません。

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