「タバヌシvsゴーレム遊び比べキャンペーン」開催!

 イタリアを代表するデザイナー二人、タッシーニとルチアーニの新作がこの冬、同時期に発売されました。
 それがタッシーニによる「タバヌシ」とルチアーニ(アッキトッカとの共作)による「ゴーレム」です。

 いずれも、良い意味で「こじらせ感」のある、好事家向けの―いや、好事家であっても受け入れられない人は少なくないかもしれません―タイトルであり、テンデイズゲームズとしては、「ぜひ、この二作を遊び比べて欲しい!」というところから、この度、遊び比べキャンペーンを行うことといたしました。

参加方法:
 「タバヌシ」、「ゴーレム」を遊んだら、ハッシュタグ「#タバヌシvsゴーレム」を付けて感想を、Twitterで呟いてください。

 かならずしも、両タイトルを遊んでいただく必要はなく、一方のタイトルだけでも問題ありません。
 また、優劣を付ける必要もありません。
 お気軽に呟いてみてください。

実施期間:
 1月29日から2月28日

期間中に呟いてくれた人の中から抽選で3名様に景品をプレゼントいたします。

※コロナウィルスによる感染症の状況があまりよくありません。国や各自治体の発表を踏まえた上で、ゲームを楽しむ際には十二分な感染症対策を行ってください。
※この企画は、感染症が拡がりを見せる中での、ゲーム会やパーティーを奨励するものではありません。節度をもった行動をお願いします。

 

【ゲームプレビュー】アーク・ノヴァ-新たなる方舟-

 昨年のエッセンシュピールでの販売が少部数だったにも関わらず、現地の人気投票「スカウトアクション」で一位となり、その後もBoardGameGeekの注目ランキング「THE HOTNESS」でも常に上位(というより、ほぼ一位!)に位置している「アーク・ノヴァ」。
 その「アーク・ノヴァ」日本語版が、いよいよ2月中旬~下旬の発売となります。
 詳細な紹介はあらためて行う予定ですが、簡単な紹介を少し早くお届けいたします。

 日本語ルールをこちらにアップロードいたしましたので、合わせてご覧いただけると参考になるかと思います。→アーク・ノヴァ日本語版ルール

 まず、この「アーク・ノヴァ」は、「どんなゲームなのか」ですが、プレイヤーは、科学的に管理された動物園の運営者となり、動物の生態に応じた囲い地を用意し、さまざまな動物を保護するための保全活動を進めることになります。しかし、そのためには動物園としての人気を高め収入に繋げたり、いろいろな後援者を頼ったりする必要もあります。これらを200枚を超えるカード、個人ボードなどで表現した本格的な戦略ゲームが「アーク・ノヴァ」なのです。

 さて、その「アーク・ノヴァ」、一回目の紹介ではありますが少しマニアックに進めて行きたいと思います。
 というのも、この「アーク・ノヴァ」は、これまでに発表されてきたさまざまなゲームのさまざまな要素をこれでもか!ミックスしたとも言えるタイトルになっており、例えば、BoardGamesGeekでも、このような画像が投稿されていたりします。→リンク
 そこで、このプレビューでは、これまでに発表されてきたタイトルと合わせて、「実際のところどうなんだ?」という形で紹介していきたいと思います。

テラフォーミングマーズ的カードプレイが面白い!

 世界で圧倒的人気を獲得し、今や2010年代~20年代を代表するボードゲームとなった「テラフォーミングマーズ」。
 膨大な枚数が用意されたカードを組み合わせてプレイし、ゲームごとに異なる展開が楽しめる点、それらが生み出すシナジー効果を活かす面白さは、「テラフォーミングマーズ」の影響下にあると言っていいでしょう。
 200枚を超えるカードは、主役でありゲーム展開の主軸となる「動物カード」、永続的なものも含めてより特徴的な特殊効果を持ち活用の仕方が腕の見せ所となる「後援者カード」、ボーナス得点に繋がる「保全計画カード」があり、カードを見ているだけでもゲーム好きにとっては刺激的、やはり一番の魅力と言えるのではないでしょうか。

シヴィライゼーション:新たな夜明け的アクション選択が悩ましい!

 「アーク・ノヴァ」でプレイヤーは、各手番、5種類のアクションカードの中から一種類を選び、そのアクションを実行することになります。
 このアクションカードは、手札と言うわけではなく、個人ボードに用意されたスロットに並べられています。
 スロットは、左から右へ1から5が割り当てられ、そのスロットの数値に応じた強さでアクションを行うことができます。すなわち、1よりも3、3よりも5にあるカードの方がより強力ということになるわけです。
 そして、使用したアクションカードは、それまで置かれていたスロットから1のスロットへと移します。他のカードは、そのカードが置かれていたカードを埋めるように右へと詰めることになります。
 この仕組みにより、同じアクションを効果的に続けて行うことは難しく、どのタイミングでアクションを実行するかの判断がポイントとなるわけです。
 これは、「シヴィライゼーション:新たな夜明け」でも見られた仕組みで、非常にシンプルな仕組みでありながら、アクションの組み立ての面白さ、悩ましさは十二分に感じられるものになっているかと思います。

ブルゴーニュ、オーディン的タイル配置パズルが奥深い!

 カードプレイと並んで、もう一つのメインとなるのが個人ボード上にさまざまな大きさの囲い地やは虫類館、鳥類館、ふれあい動物園と言った動物を飼うための施設や、ロープウェイ、特殊なサル山などの特別な建物のタイルを配置していく、動物園を作り上げるという要素です。
 ボード上をタイルで埋め切ることはもちろんのこと、埋めることによってボーナスを獲得できるマスもあり、いくつかの制限の中で効率よくタイルを配置していくパズル的な面白さがあり、この部分だけでも「一要素」という枠に収まらない奥深さがあります。
 

テラミスティカ的開放システムが気持ちいい!

 さまざまなカードの効果が積み重なることによって、より手が加速、拡大していくのはもちろんですが、「テラミスティカ」や「ハンザテウトニカ」のように個人ボード上に用意された収入や効果が開放されていくことで、さらに手が進むような仕組みも用意されています。
 収入を増やしたり、特別なトークンを獲得したり、アクションカードをレベルアップさせたり、ワーカーである職員を増やしたり……一つ一つの効果はそれほど大きな効果ではありませんが、これらの効果の多くはゲームを通して影響があるため、着実に開放していくことはとても重要です。
 また、それによりプレイの自由度、戦略の幅が広がるため、プレイングの気持ちよさにも繋がっているのです。

ガンジスの藩王的得点システムに痺れる!

 こうして、それぞれのプレイヤーの動物園は拡大し、保全計画も推進していくことになります。
 しかし、「アーク・ノヴァ」の得点システムは非常に凝ったものになっており、どのように動物園を拡大し、保全計画を推進していくか、安易に行っていては決して勝利することは出来ないのです。
 そのポイントは、二つの勝利点トラックにあります。
 それが動物園の人気、アピール力を表す「訴求点」と、どれだけ動物の保全に関わり学術的な貢献を行ったかを示す「保全点」です。
 最近、日本語版も出版された「ガンジスの藩王」でも見られた仕組みですが、「アーク・ノヴァ」でも、この二つの得点トラックを逆のサイドから進めていき、交わったところでゲーム終了となるのです。
 訴求点は、人気の高い、愛らしい動物や勇ましい動物を飼う(カードをプレイする)ことで上がることが多く、収入の底上げに繋がっています。
 保全点は、直接的な得点行動である保全活動を行ったり、希少な動物を飼うことで上がることが多く設定されています。
 訴求点は、比較的上げやすく収入にも繋がるため注力しがちなのですが、保全点のほうが最終的な得点に直結するように作られているため、注意が必要です。 
 このバランスに気を配りつつのプレイが大きなカギとなるでしょう。

強く断言します!ただ盛り込んだだけの安直なゲームではありません!

 ゲームには得てして「オリジナリティ」が求められることがあります。
 そういう点では、この「アーク・ノヴァ」はいささか分が悪いかもしれません。
 しかし、これだけの要素をこれだけ高いレベルでまとめ上げたゲームは他になかなか見ることはできないのではないでしょうか。
 そういう意味では、「アーク・ノヴァ」は唯一無二の存在感を放っており、2022年、間違いなく注目すべきタイトルだと思います。

 このブログでは、「アーク・ノヴァ」の魅力や面白さをさらにお伝えしていく予定です。
 ぜひ、ご期待ください。

「ラ・グランハDX版」Kickstarterについて

 1月24日(日本時間では1月25日)から、人気戦略ゲーム「ラ・グランハ」の新版のKickstarterでの出資者募集が始まりました。
 →Kickstarterプロジェクトページ
 このプロジェクトページにあるとおり、リテール版(一般発売版)について、テンデイズゲームズで日本語版を販売することが決まっています。
 ただ、その点しか触れられていないため、Kickstarterでバッカーになるべきか、日本語版を待つべきか、迷われている方もいらっしゃるかもしれません。というより、そもそも、情報が少ないかと思いますので、こちらで詳細を質問形式でまとめておきたいと思います。
 これらを参考に、プロジェクトへの出資や日本語版購入の参考にしていただければと思います。

※この記事は、1月25日に書かれたものです。よって、情報も1月25日現在のものとなります。Kickstarterでのプロジェクトは、その性質上、計画が進行するにつれ、内容が変更となる場合があります。ご了承ください。

Q.Kickstarterで出資すると日本語版が届くのですか?
A.いいえ。日本語版は届きません。このプロジェクトは、版元であるBoard&Dice社が直接行うものであり、Board&Dice社が発売しない言語版については、出資の対象とはなりません。

Q.テンデイズゲームズが発送やサポートを行うのですか?
A.いいえ。Board&Dice社による直接の対応(もしくは直接の委託先)となります。

Q.大型版「La Granda」も日本語版は発売されますか?
A.いいえ。日本語版は「La Granja Deluxe Master Set」のみとなります。

Q.日本語版の発売はいつ頃ですか?
A.Kickstarter版とほぼ同時期の予定です。(2022年内)

Q.日本語版発売の時にAdd-Onも買えますか?
A.その予定です。ただし、詳細はまだ決まっていません。また、お求めいただけるとしても、限定数量やテンデイズゲームズ直販のみとなる可能性が高いです。

Q.日本語版にストレッチゴールのアイテムは付きますか?
A.はい。「ラ・グランハDX版」においては、Kickstarter版と一般発売版の差はありません。そのため、達成したストレッチゴールを含めた内容となります。

Q.日本語版はいくらくらいになりそうですか?
A.定価が90$なので、税抜で9500円~12000円くらいになる見込みです。

Q.これまでに発売された「ラ・グランハ」とどこが違うのですか?
A.アートワークの刷新、アップグレードされた内容物、ステファン・フェルトやアンドレイ・ノヴァックらによるモジュール形式の拡張同梱が大きな変更点です。

Q.出資の参考にルールが読みたいです。
A.ローカライズ用のデータ等が一切届いていないこと、現時点で聞いているスケジュール等から、プロジェクト中の日本語ルールの公開はありません。

 続いて、迷われている方向けに出資したほうがいいのか、日本語版を待ったほうがいいのか、簡単にまとめておきます。

・英語が苦手でよくわかりません。
日本語版がオススメです。テンデイズゲームズでは、このプロジェクトについて、出資前、出資後、商品到着後のサポートを行うことはできません。また、ゲームに含まれるカードに言語依存があります。

・ちゃんと届くかどうか心配です。
日本語版がオススメです。Board&Dice社は非常に信頼のおける出版社ですが、Kickstarterの性質上、予期せぬトラブルが起る場合があります。また、発送に際しての手続きやトラブル対応が必要となる場合があります。

・大型版「La Granda」がほしいです。
プロジェクトへの出資(英語版、フランス語版、スペイン語版)がオススメです。日本語版の制作は今回のプロジェクトのメイン、ベースとなっている「DX版(Delue Master Set)」のみとなっています。大型版の日本での一般販売の可能性もありますが、あったとしても、日本語版ではなく、また数量も極めて少なくなる見込みです。プロジェクト中にこれらの点が確定までいくのは難しいかと思います。

・アドオンをどうしても手に入れたいです。
プロジェクトへの出資(英語版、フランス語版、スペイン語版)がオススメです。日本語版では、限定となる可能性が高いです。

【ゲーム紹介】ゴーレム(Golem / Flaminia Brasini, Virginio Gigli, Simone Luciani / Cranio Creations / 2021)

インパクト大のパッケージ

パラメーター上げモンスター爆誕!

 いまやイタリアを代表するデザイナーの一人として、常に注目を集める存在となったシモーネ・ルチアーニと、イタリアのゲームシーンを世界に知らしめた第一人者ともいえるデザイナーチームのアッキトッカが手を組んで発表した最新作が、今回紹介する「ゴーレム」です。

 ゲームの概要としては、プレイヤーは、ゴーレム伝説発祥の街「プラハ」を舞台に、プレイヤーは「ゴーレム」に命を吹き込み、街の中でさまざまなアクションを実行させ、より高い得点を獲得することを目指すというもの。しかし、勝手に街を闊歩するゴーレムを常に支配下に置いておかねばならず、これは決して簡単ではないのです。

 さて、この「ゴーレム」、メインとなるシステムは「パラメーター上げ/パラメーターコントロール」。「パラメーター上げ/パラメーターコントロール」を簡単に説明すると、ルチアーニを人気デザイナーに押し上げたタッシーニとの共作「ツォルキン」でも見られたシステムで、ゲームを通じ、さまざまなトラックを進めていくことで、得点効率を上げたり、ボーナスを獲得したり、収入レベルを押し上げたりを行っていくことになるというもの。
 この「パラメーター上げ/パラメーターコントロール」は、他のシステムと組み合わされ……例えば、ワーカープレイスメントをメインに据えつつ、アクションの結果としてパラメーター上げがあるというようなことが多いのですが、今回の「ゴーレム」は、「パラーメーター上げ/パラメーターコントロール」が、ガツンと主役に据えられたゲームになっているのです。
 いや、「主役」という表現でも生ぬるいかもしれません。「パラメーター上げ/パラメーターコントロール」に偏執的なまでのこだわりが感じられる「パラメーター上げモンスター」と言ってもいいくらいの内容なのです。

どこを見てもパラメーターと開放要素があるのみ!

 普通のゲーム紹介であれば、アクションがどうだとか手番がどうだという話をするところなのですが、「ゴーレム」においては、それは相応しくないでしょう。
 というわけで、このゲームの主役となる「パラメーター」、また、改良することで開放される要素を見ていきたいと思います。

 「ゴーレム」に用意されたパラメーターと改良、その効果は以下の通りとなります。

個人ボード
・研究トラック(「知識」収入アップ、場に出せる書物の数アップ)
・研究進展タイル(書物を出せる場の開放)
・ゴーレム向上タイル(ゴーレムの特殊効果開放)
・ゴーレムトラック(「得点」収入アップ)
・アーティファクト(さまざまな収入の開放)

メインボード
・三列ある街の「通り」(通りに対応する種類の収入アップ)

 と端から端までがパラメーターなり開放要素となっています。さらに、これらはほぼすべてが最終得点にも関連してくるため、ゲーム終了時を見据えて上げたり開放していく必要があります。
 プレイヤーは、ゲームを通じ、これらをひたすら上げ、開放するためにアクションを繰り返していくことになるのですが……このあたりの詳細はのちほど詳しく紹介するとして、それぞれのパラメータと改良について、さらに掘り下げてみたいと思います。

要素が詰まった個人ボード

 まず、「知識」に関連した研究トラックと研究進展タイルです。
 この研究トラックを上げることで、「知識」の収入がアップすると同時に、場に出せる書物の数そ増やすことができます。
 書物は、獲得し場に出すことで、特別なボーナスを得ることができる特殊カードなのですが、同じ色の書物は同じ場に出すことになり、場に出す度にそれまでに出していた書物のボーナスも再び得ることができるのです。研究トラックを進めることで、場に出せる数も増えることになります。「コンボ数を増やす」と考えるとわかりやすいでしょうか。
 しかし、もちろん、そう易々とは許してくれません。
 まず、そもそも書物を出す場を開放しなければ、そもそも同じ色の書物しか出すことができず、著しくプレイの幅は狭くなってしまうのです。
 研究進展タイルによる改良は、その場を増やしてくれるのです。さらに、タイルごとに固有のボーナスもあり、単に場を増やすにとどまりません。どのようにゲームを進めていくかを見据えて改良することが重要です。
 場を開放し、数を増やし、収入を増やし、さらなるアプローチをする―研究トラックと進展タイルひとつとっても、この一連の流れを作らなければならないところに、「ゴーレム」の難しさと面白さがあるのです。

 次は、ゴーレム向上タイルとゴーレムトラックです。
 このゲームのタイトルにもなっている「ゴーレム」は、町中でさまざまなアクションを実行できるものの、そのほかに特別な能力や、もたらしてくれる恩恵はありません。しかし、ゴーレム向上タイルの改良することで、ゴーレムに新たな力を付与し、より強力な存在へと押し上げてくれるのです。
 また、ゴーレムトラックを進めることで、収入として得点を得ることができるようになります。タイトルになっているだけあって、ゴーレムの強さは即ち勝利への近道というところでしょうか。
 しかし、概要でも触れたように、ゴーレムを支配下に置いておかなければなりません。ゴーレムトラックを進めることにより、街にいるゴーレムは通りをより早く進むようになってしまい、結果、プレイヤーの支配力を容易く超えるようになってしまうのです。

 プラハは、錬金術でも有名な街です。錬金釜を用いてアーティファクトを作ることで、プレイヤーは収入の内容を自分なりに決めることが出来ます。
 まず、決められた黄金駒を大釜に配置することで、まず、ボードに用意された収入を開放することになります。
 次に、そのアーティファクトを改良することで、異なる内容でいくつか用意された改良タイルを配置することになり、ボードに用意された収入に改良タイルの効果を組み合わせることで、収入の内容を自分なりに決めることが出来るのです。
 自分の戦略にあったものを伸ばすのか、自分の弱いところを補うのか―ここまで説明してきた研究トラック、ゴーレムトラックにも当てはまるのですが、改良と開放において提示される選択肢は、常にプレイヤーを悩ませてくれるでしょう。

独特な色使いのメインボード

 さらにメインボードにもプラハの「通り」として表現されたトラックが用意されています。
 それぞれの通りに置かれた助手を薦めることで、基本的なリソースの収入を増やすことができます。
 また、各通りにはゴーレムも置かれることになります。ここまでゴーレムを支配下に置くことが重要であることは触れましたが、この通りにおいて、助手がいるマスまでに置かれたゴーレムであれば、支配下に置くことができます。コストを支払えば、助手よりも先に置かれたゴーレムも支配下に置くことはできますが、もちろん、そのコストを安易に支払っているようであれば勝利は遠いものとなるでしょう。
 この通りに置かれたゴーレムもトラックと言っていいかもしれません。ですが、趣は大分異なります。というのも、ゴーレムは命を与えられた存在だけあり、プレイヤーの意思とは別に自らの足で進んでいくのです。
 通りの各マスにはアクションの描かれたタイルが置かれており、ゴーレムを働かせることでゴーレムがいるマスのアクションを実行することができます。
 しかし、ゴーレムが自らの足で進んでいく以上、魅力的なアクションが目の前にあるにも関わらず、狙って実行できると限りません。これは、プレイヤーにとってアンコントローラブルな要素ではあるのですが、決してストレスを受けるようなランダム要素ではありません。むしろ、アンコントローラブルであるが故、今、提示されているアクションを実行することでどれだけ自分に利があるのかを考えるのは、このゲームならではの妙味と言え、この揺らぎを大胆にゲームに取り入れているところにルチアーニとアッキトッカの凄みさえ感じると言っても言い過ぎではないでしょう。

すべては3アクションに凝縮されている

 ここまで各種のパラメータ、開放要素を紹介してきましたが、では、それらの要素にどのようにアプローチしていくのかを次に紹介していきます。
 プレイヤーは、各ラウンドで通常のアクション選択といえる「マーブルアクション」を2回、プレイヤーの分身でもある「ラビ(神父)」と呼ばれるワーカー駒を用いた「ラビアクション」を1回の計3アクションを実行することになります。そして、これを4ラウンドに渡って行うことになります。
 そうです。たったの12アクションで、前述のパラメーターを上げ、開放要素を開放していかなければならないのです。この辺りにも、私が「ゴーレム」を「パラメーターコントロールモンスター」と評する理由があります。
 
 これだけのボリュームと真っ向勝負でアクションを選択していく悩ましさだけでも面白さは十二分ですが、「ゴーレム」は、このアクション選択自体にもしっかりと面白さを盛り込んでいます。

 まず、通常のアクションに該当するマーブルアクション。
 各ラウンドで、ユダヤ教の会堂の名が付けられた「シナゴーグ」と呼ばれるコンポーネントに色つきの球「マーブル」を入れることになります。入れられたマーブルは、アクションが割り当てられたレーンにランダムで振り分けられることになります。
 それぞれのレーンからマーブルを選び取り、対応したアクションを実行するのがマーブルアクションです。
 このとき、重要なのが、振り分けられたマーブルが多いアクションほど、アクション効果が高くなるということです。すなわち、4個のマーブルのあるアクションのほうが、2個のマーブルがあるアクションよりも効果的となるわけです。
 自分の実行したいアクションにマーブルがより多く振り分けられていればいいのですが、そうでないことも多いでしょう。
 また、アクションを実行する際には、マーブルを選び取ることになるため、アクションが実行されるごとにマーブルが減ることになり、対応したアクションの効果は弱められることになります。
 マーブルの個数と、アクションの実行順に気を配り、より効果的にアクションを実行しなければなりません。なにせ、4ラウンドで8回しかマーブルアクションを実行することができないのです。
 さらには、マーブルの色にも注意しなければなりません。各ラウンドごとに用意された人物カードのボーナスを得るためには、カードに描かれた組み合わせでマーブルを取らなければならないのです。
 手番数が少ないことから、ボーナスを取れたかどうかの差が相対的に大きくなることはおわかりかと思います。どのアクションを実行するかはもちろんのこと、マーブルの色もまた軽視できないのです。
 しかし、ただ、考えるポイントを増やし、窮屈なだけではありません。他のレーンのアクションを実行できる「模倣」アクションや、マーブルが減ってしまうもののラウンドの最後にマーブルを入れ直した上でアクションを選択する権利を得る「パス」が用意され、プレイヤーはじっくりと自分の戦略と向き合えるように作られているのです。

人物カードにも注目すべし

 各ラウンド、1回ずつ実行することにある「ラビアクション」ももちろん重要です。
 いずれも特殊な効果が用意された、この「ラビアクション」、どのようなアクションが出てくるのか、なんと、引かれたタイル次第という、ランダム要素になっているのです。それも、ラウンドごとに異なるアクションが出てくることになるのです。
 オーソドックスなマーブルアクションに対し、特殊な効果ばかりのラビアクションは、活かすことができれば強力なアクションですが、それだけに選択の難しさもあるのです。

いずれも独特な効果を持つラビアクション

もちろん、ゴーレムの存在感は大!

 ここまで軽く触れてきましたが、タイトルにもなっている「ゴーレム」についても今一度、しっかりと紹介しておきましょう。
 ゲームのセットアップ時、そして、ゲーム中に作られたゴーレムは、ボード上の通りにあるマスに置かれます。
 このゴーレムは、マーブルアクションの「労働」によって働かせることで、各マスに対応したアクションを実行させることができます。
 労働アクションにおけるマーブル数は、そのまま「働かせることが出来る(=アクションを実行することができる)ゴーレムの数」になるため、各プレイヤーに用意されたゴーレム4体すべてをボード上に置いていれば、アクション数にものを言わせることができるようになるのですが、さきに説明した通り、ゴーレムを支配下においておくことは「ゴーレム」において難しいポイントであるため、「ゴーレム」をいたずらに増やすことは危険かもしれません。
 支配下におけるかどうかは、各通りに置かれた助手次第。助手が置かれたマスと同じか、手前までのゴーレムは支配下に置いていると見なされます。助手をより進めているかがすなわちゴーレムへの支配力になるわけです。
 しかし、助手をどれだけ進められるかもアクションの効果に依るところである上に、通常のマーブルアクションでは進めることはできません。限られた機会の中で助手を進め、その上でゴーレムを確実に活用するのは、決して簡単なことではないでしょう。
 さらに、ゴーレムは、プレイヤーに恩恵をもたらすほどに、支配下に置くことも難しいものになっていきます。
 ゴーレムに対応するゴーレムトラックを進めることで、収入として得点を得ることができるようになるのですが、と同時に、ゴーレムはよりボード上を早く進むようになっていきます。そして、それは、支配下に置くのをより難しくすることを意味するのです。

 扱いが難しくとも、大きな力を秘めたゴーレムですが、ゴーレム自信の力を開放することで、さらに強大な存在になっていきます。
 支配に置きやすくなったり、労働をより多く実行する機会を得たりと、開放することで得られる効果はいずれも強力です。どの効果をどのような順番で開放していくかもまた悩ましいものとなるでしょう。

 手に余るようになってしまったゴーレムは、解体することで取り除くことが可能です。
 解体することで得られるボーナスも用意されているため、積極的に解体したほうがいい状況も少なくないでしょう。
 しかし、支配に頭を悩ませつつもゴーレムを置いておいたほうがいいのか、それとも解体し、支配にかかる労力を他に割いたほうがいいのか。
 ここにも悩ましい選択が待っています。

そして最終得点計算へ……パラメーター上げの醍醐味、ここにあり

 こうして4ラウンドを行った後、ゲームは終了となり、最終得点計算へと進みます。
 ゲーム中、さまざまな要素を開放すると同時に、各カテゴリーに対応した「燭台」を獲得することになります。
 カテゴリーごとに、「対応した燭台の数」と「各カテゴリーでの得点に関係する要素(例えば完成させたアーティファクトの数など)」を掛け合わせたものを最終得点計算中に獲得します。
 ゲーム中に進めたり開放した要素が最終得点に直結する仕組みになっていることで、いわゆる「得点行動」を積極的に取らずとも最終結果に繋がるように作られているのは、非常に気持ちのいいポイントです。もちろん、進めること、開放すること自体がとても難しくはあるのわけですが……。
 
 最終得点計算において、「目標カード」も無視できません。
 描かれた条件を達成することができていたかどうかでボーナス点を得ることができるのですが、異なる種類、系統の目標カードを達成していたならば、その種類数に応じて追加ボーナスを獲得できるのも大きなポイントです。
 もし、目標カードを戦略の柱のひとつにするならば、なにかの要素に特化するだけでなく、満遍なくさまざまな要素に注力する必要が出てくるのです。
 ここまで読んできた方なら、それは決して容易いことではないのはおわかりでしょう。

 パラーメーターのひとつひとつ、開放要素のひとつひとつ、そのすべてがゲームの結果に直結しているというのは当たり前のことかもしれません。しかし、この手応えこそがゲームの醍醐味であり、それを存分に味合わせてくれるのは、「ゴーレム」の、いや、パラメーター上げゲームの強みと言えるでしょう。

ルチアーニ&アッキトッカが放つモンスターに真正面からぶつかれ

さまざまな形で用意されたパラメーターと開放要素に、限られた手番数の中、どうアプローチしていくか。
 ただ着実に積み重ねていくだけでも簡単ではないでしょう。
 しかし、「ゴーレム」に用意された各要素は、必要なコストと進めること、開放することで得られるリターンとのバランスや、ゴーレムに見られるような扱いの難しさなど、隅々まで考えられたものになっており、ただアクションを積み重ねるだけの要素には留まりません。
 
 さらには、マーブルの振り分けやラビアクション、書物カードに見られるランダム性にどう対処していくかという点で、臨機応変さも求められることになります。
 もちろん、このランダム性は、リプレイビリティーにも繋がっていることは言うまでもありません。

 そのボリュームと随所に見られるこだわりから「モンスター」と評しましたが、決してややこしいだけのゲームではありません。
 むしろ、ルチアーニとアッキトッカが「世のコアゲーマーをなんとしてでも満足させるぞ」という意気込みのもと、過剰なサービス精神で作られたゲームのように思えるのです。
 ぜひ、彼らの渾身の一作であるだろう「ゴーレム」を真正面から受け止めてみてください。

「ゴーレム」は、一月下旬発売予定です。