今、「ガイアプロジェクト」ではなく「テラミスティカ」を遊ぶ6つの大きな理由

 2012年の発表以降、ユーロ系ヘビーストラテジーゲームシーンを代表する一作として多くの人に楽しんでいただいている「テラミスティカ」。
 引き続き、高い人気を誇る一方で、派生作の「ガイアプロジェクト」と比較され、その上で「ガイアの方がいいよ」と言われることも少なくありません。
 また、店頭などでお客様から「どっちがいいですか?やっぱりガイアプロジェクトですか?」というように訊かれることもあります。

 先日、再版分が入荷したこともあり、2021年、「ガイアプロジェクト」ではなく「テラミスティカ」を遊ぶ理由をお送りしたいと思います。

 もちろん、どちらが優れているか、ということではありません。それぞれの魅力を今一度、みなさんに知っていただき、参考にしていただければと思います。

 なお、今回の記事作成にあたり、「テラミスティカ」の熱烈なファンであり、かなりのプレイ回数を誇る、せんせーさん(Twitter:@ T_Irie6037)にご協力をいただきました。

1:経験値を積みやすい

 ゲームごとにいくつかのボードを組み合わせるモジュラーボードを採用した「ガイアプロジェクト」と異なり、「テラミスティカ」のボードは固定ボードです。
 このことにより、「テラミスティカ」では、セッティングの段階で、大きくボード構成が変わることはありません。
 そのため、一回一回のゲーム経験を、次のプレイに向けてよりいいプレイングをイメージをしたり、活かすことが比較的容易です。
 「テラミスティカ」を遊んだ後、「初期配置をあそこにしておけば」、「あっちに延ばしたほうが、この種族の強みを活かせたはず」といった感想から、すぐにでも次のプレイをしたくなった人も少なくないと思います。
 この経験値をダイレクトに活かしやすいというのは、「テラミスティカ」の大きな魅力の一つといって間違いないでしょう。

 一方で「ガイアプロジェクト」のセットアップにおけるランダム性は、ゲームごとにアプローチを変える必要性が高く、経験値というより、ゲームの根本的な部分に対する深い理解をより求められると言っていいでしょう。
 「ガイアプロジェクト」のランダム性による「リプレイ性の高さ」が魅力として触れられることも多いですが、「経験値を次のプレイに活かす」ということも、次のゲームプレイへのモチベーションとしては決して劣るものではなく、そのリプレイ性は「ちょっと毛色の違うもの」と言えるのではないでしょうか。

2:相手の行動を読む面白さ

 「テラミスティカ」は、基本的には王道的な(素直な、と言ってもいいかもあしれません)アクションが強いゲームです。また、その「強いアクション」は、場面場面で、ある程度絞られています。
 このことにより、プレイ経験を積むと、プレイヤー間で相手がどのようなアクションを実行するかという読みが比較的容易にできるようになります。
 手の読み合いの面白さがプレイを重ねるごとに上積みされ、自分のプレイングの上達も実感できることでしょう。

 「ガイアプロジェクト」はQICアクションに代表されるように、選択肢の幅が広げられ、アクションの自由度も高められています。
 さまざまな戦略を試す面白さ、妙味がアップしており、「どちらの戦略がより優れているか」を競うという点は大きな魅力ではあります。
 しかし、「テラミスティカ」の効果的な手を打ち合い、その読み合いを繰り返す面白さは、やはり大きな魅力と言えるでしょう。

3:慣れるとプレイのテンポが早くなり、ゲーム時間が短くなりやすい

 「王道的なアクションが強い」ということを「2」で述べました。
 この利点は、まだほかにあります。
 さまざまなアクションを吟味しなければならないという状況は、プレイを重ねることで少なくなり、そのプレイはより洗練されたものになります。
 そのため、さまざまな状況での思考時間は、プレイを重ねるほどに短くなっていくでしょう。
 プレイ時間が短くなれば、より多くの遊ぶ機会をもたらしてくれるでしょう。

 このことは、「定石化しやすい」ということに繋がり、それをネガティブに捉える方もいるかもしれません。
 しかし、「テラミスティカ」は、多人数ゲームであり、ある程度定石化したところで、すべてのケースに対応することは決して簡単ではありません。
 また、そのことにより、「相手のアクションを読む面白さ」はより高められていると言っていいでしょう。

 また、「テラミスティカ」が本来持っている拡大再生産的な面白さや、ボード上のせめぎ合いは、ゲーム展開に起伏を生み、プレイは毎回ドラマティックであり、「定石(に近いもの)をなぞる」ような印象はありません。
 やはり、むしろ魅力に繋がっていると考えていいでしょう。

4:他プレイヤーとの協力関係による妙味

 「テラミスティカ」は、陣取り要素がある一方で、他プレイヤーと協力関係を作ることがシステムに組み込まれ、それをプレイに活かすことが重要となるゲームです。
 交易所のコストダウンやパワー授受など、一回一回の恩恵は少ないながらも、その積み重ねは大きく勝敗に関わってくることになります。

 「テラミスティカ」の陣取り要素において、他プレイヤーを閉じ込めるようなプレイングも可能です。
 このことにネガティブがイメージを持たれている方も少なくないように思います。
 しかし、果たしてそうでしょうか。
 協力関係を作ることがある程度重要である以上、いたずらに他プレイヤーを閉じ込めるより、共存共栄を選択するほうがゲームの勝敗においては有利であることも多いのです。
 もちろん、鍵となるマスを押さえることは極めて重要です。
 相手をどう活かし、自分はより優位を保つか、その押し引きの悩ましさ、面白さがある、ということです。

 説明書の推奨配置を見ると、「テラミスティカ」は二軒とも他プレイヤーと隣接していますが、「ガイアプロジェクト」では一軒隣接に留まります。ひょっとしたらこのあたりに、設計思想が見え隠れしているのかもしれません。

5:種族の使い分けが楽しい

 「いやいや、『ガイアプロジェクト』だってそうでしょ?」と思われた方、それは正しくもあり、間違ってもいます。
 
 種族ごとの異なる特性をどう活かすか、は「テラミスティカ」、「ガイアプロジェクト」の最大の魅力のひとつ、であることは言うまでもありません。

 しかし、その特性の持たせ方は少し異なります。
 発売当初は、非常に個性的に思えた「テラミスティカ」の種族特性は、「ガイアプロジェクト」と比較すると、ややおとなしめなものになっています。
 このことにより、異なる種族を使った時であっても、ある程度はそれまでのプレイ経験を活かしやすいということに繋がっています。
 それでいて、さらに特性を巧みに活かすことができれば、勝利に近づきます。
 もちろん、個性的かどうかということについても、「テラミスティカ」の種族特性も十二分に個性的です。
 この種族間の特性バランスの良さは、「テラミスティカ」において特筆すべきポイントでしょう。

 「ガイアプロジェクト」は、「テラミスティカ」と比べ、より種族特性は個性的なものになっています。
 種族ごとに新鮮なプレイ感覚を得られるというのはもちろん魅力です。また、個性的なだけに、活かしきった時の気持ちよさもあります。

 「テラミスティカ」の種族間の特性バランスの妙味をとるか、個性的な種族特性を活かす面白さをとるか。
 あなたの好みはどちらでしょうか?

6:拡張セットを加える度に新鮮な発見ができる

 「テラミスティカ」では、「氷と炎」、「商人たち」という二種類の大型拡張セットが発売されています。
 これらの拡張セットを購入することで、新しいボードや、新しい種族、新しい要素、ボーナス得点システムなどを追加することが出来ます。

 「テラミスティカ」の拡張セットは、いずれも完成度が高く、決してその人気にあやかった安易な商品ではありません。
 また、「拡張要素は、すべて加えたほうがいい」ということでもなく、基本セットだけでも十二分な面白さ、奥深さがあり、そこへ拡張セット(要素)をどのように加えるかによって、新鮮なプレイ環境、戦略の試行錯誤などを繰り返し楽しむことが出来るのです。

 もともとランダム性の高いセットアップを取り入れた「ガイアプロジェクト」は、プレイごとの新鮮さは基本セットだけでもかなりのものがあると言えます。
 しかし、現状では拡張セットは発売されておらず、「テラミスティカ」に拡張セットを加えたほどの大きな変化を味わうことはできません。
 あんなに大好きだったゲームも、いつかは飽きてしまうこともあるでしょう。
 その時に、すでに拡張セットが用意されている「テラミスティカ」は、また新しい気持ちを呼び起こしてくれる作品となるでしょう。

最後に

 というわけで、お送りした「今、テラミスティカを遊ぶ6つの理由」、いかがでしたでしょうか。
 
 「ガイアプロジェクト」との比較を軸としてありますが、冒頭でも触れたように異なる魅力を持った作品であり、どちらが優れているかということではありません。
 また、ここで触れた内容が、ある人にとっては魅力であっても、ある人にとっては欠点となることもあるでしょう。
 
 「テラミスティカ」、「ガイアプロジェクト」のどちらで遊ぼうか、どっちが自分の好みに合っているだろうか、そんな時にこの記事を参考にしていただけると嬉しいです。

 「テラミスティカ」、「ガイアプロジェクト」のいずれも、名作であることは間違いありません。
 ぜひ、それぞれを遊び比べて、自分にとってより響く方はどちらなのかを考えみてください。