「ペアーズ」ルールコンテスト:入選作発表(3)

みなさま、大変、お時間をいただくことになり、申し訳ありません。
5月、6月、7月と募集をいたしました「ペアーズ」ルールコンテストの入選作を発表させていただきます。
あと、(ソリティア、二人専用を中心に)5作品ほど残っており、それらについては審査が終わり次第、入選作があれば発表させていただきます。

以下の作品について、審査させていただきました。

・Trumps
・ローボート
・ピギーバック
・ROUTE21
・ラミーポーカー
・クラッシュ
・クプル
・Nothing!
・フルーツマーケット
・オークポーカー
・U30
・オンリーワン
・皮算用
・ペアーズバック
・チキンオークション
・チャレンジフォーザレコード
・東京都知事選挙

これらの中から、以下の作品を入選作とさせていただきました。

・Trumps
・ラミーポーカー
・クプル
・Nothing!
・オンリーワン
・皮算用
・ペアーズバック

入選作については、あらためてルールを紹介させていただきます。

 

ゲーム紹介:アベニュー(Avenue / Eilif Svensson, Kristian Amundsen Ostby / Aporta Games)

avenue

シンプルなペンシルパズル系のゲームですが、得点計算システムにより、より高い計画性が求められ、その展開は非常にスリリングという、ゲーマー心をくすぐられる一作です。

プレイヤーは、道を描きこむためのシートを一枚受け取ります。
ラウンド中に行われるのは、引かれたカードに描かれた形に道を、どこかのマスに描き入れることを繰り返すだけです。
各ラウンドの開始時に指定される農場が、そのラウンドの得点計算の対象となります。
ラウンド終了後、描き入れられた道をたどり、その農場から繋がっているブドウのシンボルの数が、そのまま得点となります。

しかし、このゲームでは、得点計算の際に「それぞれのラウンドごとに獲得する得点は、前のラウンドよりも高くなければならない」というルールがあり、もし、前のラウンドよりも得点が低くなってしまった場合は、得点は一切獲得できないばかりか、ゲーム終了時にマイナス点も受け取らなければなりません。出たとこ勝負で道を描き入れていては、決して高得点には繋がらないのです。

高得点を獲得するためには、すぐには使いどころのない道をその後の展開を見据えて「布石」として描き入れてもいいでしょう。そのために、ラウンド中に一度だけ、道を描き入れるかわりに次のラウンドの得点計算対象となる農場を知るという選択も用意されています。
また、ひょっとしたら、ほどほどのところでそのラウンドの得点に見切りをつけ、先々により有用となりそうな道を描くことに注力したほうがいい場合もあるかもしれません。
農場からの得点だけでなく、ゲーム終了時のボーナスとなる、城からの得点を重視してもいいでしょう。
どんな選択であれ、高得点を獲得するためには、高い計画性も求められるのです。

「ドゥードゥルシティ」と非常に近い見た目をしていますが、ゲーム性は大きく違い、ゲーム終了のタイミングをめぐる駆け引きが重視されていた「ドゥードゥルシティ」と比べ、こちらはよりストレートなペンシルパズル系ゲームに仕上げられています。
とはいえ、スリリングな得点システムにより、ゲーム好きも唸らされる内容。
「アベニュー」、きっと幅広い方に楽しんでいただけるはずです。

ゲーム紹介:キャピタルラックス(Capital Lux / Eilif Svensson, Kristian Amundsen Ostby / Aporta Games)

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手札のカードを「中央の場に出す」か「手元に出す」かの二択を繰り返すだけながら、強烈なジレンマと駆け引きを存分に味わえるゲームが登場しました。
デザインは、出版元であるアポルタゲームズを率いるオストビー&スベンソンのコンビです。

ゲームが開始されたら、まず、配られた5枚のカードについて、ドラフトを行います。
とはいえ、「2枚選び取って、隣のプレイヤーに渡す」を二回繰り返すという、ごくごくシンプルなもの。
このゲームは、とにかく端から端までシンプルさが貫かれています。

そのあとは、冒頭に書いた通り、手番で行うのは、「中央の場」か「手元」のいずれかに、手札から一枚を出していくということだけ。(なお、出したカードは、色ごとに分けて置かれることになります。)

そして、手元に置かれたカード、それぞれの色ごとに数値を合計し、プレイヤーの中で、より多い値となることを目指します。これも実にシンプルな目的です。

capitallux_blog

であれば、出来るだけ手元に出していけばいいということになるわけですが、もちろん、そんな単純な話でありません。
というのも、中央に出されたカード、それぞれの色ごとの合計値が、手元に出されるカードの「許容値」のようなものになり、手元のカードの合計値は中央のカードの合計値を超えてはいけないのです。
もし、超えてしまうようなことがあれば、ラウンド間の得点計算において、手元に置かれた(超えてしまった色の)カードはすべて捨てなければならず、それはもちろん圧倒的な損失です。

これだけでは、中央の場にカードを出すことは損のように思えますが、中央にカードを出すことで、色ごとに用意された特殊効果の恩恵を受けることが出来、これもまた決して見過ごすことはできません。もちろん、状況によっては、その効果によって大きくゲームが動き、逆転に繋がることも少なくありません。
だからといって、この特殊効果は派手なものではなく、効果を最大限に生かすには、的確に状況を見極める必要があるでしょう。このあたりにもデザイナー二人のセンスの良さがうかがえます。

もちろん、それぞれの駆け引きには、ラウンド開始前のドラフトによって起こる手札の推理と把握がカギとなってくるのは言うまでもありません。

ここまでそぎ落とされたゲームは、いかにも現代的で洗練されたものであると感ずる一方で、90年代のドイツゲームが持っていた魅力のようにも思え、長くゲームを楽しんできた方にもたまらないものがあるのではないでしょうか。

多くのゲームファンに楽しんでいただきたい、強烈にオススメの一作です。

第二回東京ドイツゲーム賞:テンデイズゲームズ講評

公式ページにて発表がありました通り、「第二回東京ドイツゲーム賞」の審査が終わり、大賞作、特別賞受賞作が決定いたしました。
http://www.newgamesorder.jp/tokyogermangamescompetition

ここでは、それぞれの受賞作について、テンデイズゲームズサイドによる各作品への評を発表させていただきたく思います。
※二次選考に残った各作品への講評や総評は、あらためて発表させていただきます。

 

大賞:グラバー

二次審査でのプレイでは、そのポテンシャルは感じられたものの、あまりの「まとまりの良さ」から、いわゆる「優等生」的な印象が強く、それ以上のものがあるかどうか懐疑的なところもあったのですが、最終審査でのプレイ(ある種、ゲームにとって「意地の悪い」プレイングになることが多い)では、二次審査での印象をゆうゆうと超えてしまい、文句なしに大賞作として推させていただきました。
さまざまな要素がすべて嫌味なく、無理なく絡み合ったシステムとしての完成度は高いのはもちろんのこと、テーマや背景設定がもたらしてくれるエッセンスがゲームとしての面白さに繋がっている上に、「笑い」や「バカバカしさ」を生み出してくれることも多く、そのバランス感覚、センスには驚かされるばかりでした。例えば、このゲームでは建物カードの初期セットアップによって、展開が変わることになるわけですが、デザイナーさんが設定したいわゆる「おすすめセット」の構成を見て、展開をイメージし、そして遊ぶことでも、そのセンスの良さは強烈に感じることができました。
システム的なところに目を向けると、デザイナーさんが中心的なシステムと言っている通り、「交渉」がゲームのメインになっているのですが、ゲーム初心者にとっては難しく、時にきついものとなることが多い交渉ゲームにあって、「交渉におけるスタンス」がカードドロー(と若干の選択)によって決められることで、難易度を下げること、ドラマ性の創出、テンポアップ等に成功しており、大胆な試みといえる「カードドロー」を取り入れた交渉ゲームを、ただ成立させるだけでなく、はっきりとゲームの長所に結び付けたことにはただただ唸らされました。
そのほか、「プレイヤーごとに手に入れることのできる資源の固定化」、「戦略の指針を生み出すことに繋がっている信頼度のパラメーター設定」などなど、注目すべきポイントやアイデアは実に多く、大賞作は「グラバー」以外に考えられなかったと言っても大げさではありません。

テンデイズゲームズ特別賞:BAG-GAI

「シンプルな競りゲーム」という言葉はそれなりの頻度で聞くことがあるかと思うのですが、実際にゲームとして面白く、かつ、新鮮なアイデアに触れられる作品が実際にそれなりにあるかというとそうでもない、というのが実際のところではないでしょうか。
その現在にあって、この「BAG-GAI」は、「まだ、こんなアイデアがあったのか!」と素直に驚くことのできる作品でした。
タイトルのもとになった「爆買い」ノリを楽しめる、多くのゲームが持つ魅力のひとつである「ごっこ遊び」感あふれるところも大きな魅力でした。
競りの対象となる「バッグ」と得点のバランスが少しタイトに感じられたので、少しバランスを練ったものであらためて遊んでみたいと強く思います。

テンデイズゲームズ特別賞:陰陽道

最終審査には残らなかった作品ですが、その存在感と個性の強さに惹かれ、特別賞受賞とさせていただきました。
陰陽道をゲームにするにあたり、「思いついたアイデアをとにかく盛り込みました」という体であり(少なくとも私にはそう見えました)、そしてそれゆえ、ゲームとしては破たんしているように思えたのですが、ギリギリのところで成立し、そのうえで、さらにゲームとして面白さを感じるものにまとまっているのは、デザイナーさんのセンスなのか、剛腕なのか・・・。
粗の多い作品であることは間違いなく、決して大賞候補足りえないのですが、私としてはそのほとばしる何かyくわからないパワーに魅力を感じ、簡単に見過ごすことのできる作品ではありませんでした。「グラバー」のような圧倒的な完成度の高さを持った作品に出会えた一方で、こういったインディースピリットほとばしる作品にも出会えたことは、審査員として感謝するしかありません。と同時に、それだけの作品であれば、審査員が、一個人の判断であっても、もっとも惹かれた作品に賞を上げるべきではないかと思わされたのです。