第二回東京ドイツゲーム賞:テンデイズゲームズ講評

公式ページにて発表がありました通り、「第二回東京ドイツゲーム賞」の審査が終わり、大賞作、特別賞受賞作が決定いたしました。
http://www.newgamesorder.jp/tokyogermangamescompetition

ここでは、それぞれの受賞作について、テンデイズゲームズサイドによる各作品への評を発表させていただきたく思います。
※二次選考に残った各作品への講評や総評は、あらためて発表させていただきます。

 

大賞:グラバー

二次審査でのプレイでは、そのポテンシャルは感じられたものの、あまりの「まとまりの良さ」から、いわゆる「優等生」的な印象が強く、それ以上のものがあるかどうか懐疑的なところもあったのですが、最終審査でのプレイ(ある種、ゲームにとって「意地の悪い」プレイングになることが多い)では、二次審査での印象をゆうゆうと超えてしまい、文句なしに大賞作として推させていただきました。
さまざまな要素がすべて嫌味なく、無理なく絡み合ったシステムとしての完成度は高いのはもちろんのこと、テーマや背景設定がもたらしてくれるエッセンスがゲームとしての面白さに繋がっている上に、「笑い」や「バカバカしさ」を生み出してくれることも多く、そのバランス感覚、センスには驚かされるばかりでした。例えば、このゲームでは建物カードの初期セットアップによって、展開が変わることになるわけですが、デザイナーさんが設定したいわゆる「おすすめセット」の構成を見て、展開をイメージし、そして遊ぶことでも、そのセンスの良さは強烈に感じることができました。
システム的なところに目を向けると、デザイナーさんが中心的なシステムと言っている通り、「交渉」がゲームのメインになっているのですが、ゲーム初心者にとっては難しく、時にきついものとなることが多い交渉ゲームにあって、「交渉におけるスタンス」がカードドロー(と若干の選択)によって決められることで、難易度を下げること、ドラマ性の創出、テンポアップ等に成功しており、大胆な試みといえる「カードドロー」を取り入れた交渉ゲームを、ただ成立させるだけでなく、はっきりとゲームの長所に結び付けたことにはただただ唸らされました。
そのほか、「プレイヤーごとに手に入れることのできる資源の固定化」、「戦略の指針を生み出すことに繋がっている信頼度のパラメーター設定」などなど、注目すべきポイントやアイデアは実に多く、大賞作は「グラバー」以外に考えられなかったと言っても大げさではありません。

テンデイズゲームズ特別賞:BAG-GAI

「シンプルな競りゲーム」という言葉はそれなりの頻度で聞くことがあるかと思うのですが、実際にゲームとして面白く、かつ、新鮮なアイデアに触れられる作品が実際にそれなりにあるかというとそうでもない、というのが実際のところではないでしょうか。
その現在にあって、この「BAG-GAI」は、「まだ、こんなアイデアがあったのか!」と素直に驚くことのできる作品でした。
タイトルのもとになった「爆買い」ノリを楽しめる、多くのゲームが持つ魅力のひとつである「ごっこ遊び」感あふれるところも大きな魅力でした。
競りの対象となる「バッグ」と得点のバランスが少しタイトに感じられたので、少しバランスを練ったものであらためて遊んでみたいと強く思います。

テンデイズゲームズ特別賞:陰陽道

最終審査には残らなかった作品ですが、その存在感と個性の強さに惹かれ、特別賞受賞とさせていただきました。
陰陽道をゲームにするにあたり、「思いついたアイデアをとにかく盛り込みました」という体であり(少なくとも私にはそう見えました)、そしてそれゆえ、ゲームとしては破たんしているように思えたのですが、ギリギリのところで成立し、そのうえで、さらにゲームとして面白さを感じるものにまとまっているのは、デザイナーさんのセンスなのか、剛腕なのか・・・。
粗の多い作品であることは間違いなく、決して大賞候補足りえないのですが、私としてはそのほとばしる何かyくわからないパワーに魅力を感じ、簡単に見過ごすことのできる作品ではありませんでした。「グラバー」のような圧倒的な完成度の高さを持った作品に出会えた一方で、こういったインディースピリットほとばしる作品にも出会えたことは、審査員として感謝するしかありません。と同時に、それだけの作品であれば、審査員が、一個人の判断であっても、もっとも惹かれた作品に賞を上げるべきではないかと思わされたのです。